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プロローグ

 男が見ているのは、空と街だった。

 陽が沈みはじめ、それでもいまだ夕日の光が大半を占めている空には、僅かな星の輝きが窺える。

 暗くなるにつれ、街のいたるところで街頭が点きはじめる。

 どこからか吹いてきた風が、男の全身を包む。さらりとした銀色の髪が揺れ、身に着けているコートがはためく。

 男はそっと目を閉じ、一呼吸置いてから、再び目を開く。血のような赤い瞳で眼前の街を見下ろしつつ、男は小さく呟いた。

「……つまらんな」

 様々な意味を込めてその言葉を呟いた男は、くるりと反転して、足場にしていた鉄骨から飛び降りた。


 少年がいるのは、ショッピングモールだった。

 時刻は午後5時、いつもならとっくに家に帰って夕飯の支度をしている頃なのだが、今日に限ってクラスメイトの買い物に付き合わされることになった。

 すでに帰りが遅くなることは、家族に連絡済みだ。もっとも、遅くなる罰としてお土産を買ってくるように二人の妹に言われてしまったのだが。

 少年―大空翔おおぞらかけるは手にした文庫本に視線を落としながら呟いた。

「『お土産よろしく!』って、なんにしようかなー」

 妥当なところでケーキとかだろうが、今のお財布事情を考えるとそんなに高価なものは買えないのが現実だ。かといって安価なものを選んでしまうと、家で折檻を受けかねない。

「お待たせー」

 声が聞こえたので顔を上げてみると、目の前のアクセサリーショップからクラスメイトの女子二人がでてきた。一人は整った顔立ちと均整のとれた体格の少女、もう一人は小柄な体格に大きな丸眼鏡を掛けた少女だ。

「お帰り、買い物はどうだった?」

 翔は文庫本を閉じ、二人に聞いてみる。

 整った顔立ちの少女―水野みずの響子きょうこは、はにかみながら答えた。

「うん、よかったよ。さすが新しくできたお店だよね、日向ひなた?」

 さりげなく話題を振られた小柄な少女―舞園まいぞの日向は、恥ずかしそうに首を縮めながら、

「はい、わたしにも似合う、小物が買えたので」

「そうか、それはよかった」

 口元を綻ばせて、翔は言った。

「さて、と。俺は妹達にお土産を買ってくるように言われたから、コンビニ行ってなんか買っていくけど、二人はどうする?」

「私は悪いけど、先に帰るね。ママが心配するかもだから」

「わたしも、今日はもう帰ります」

「りょうかい。じゃあまた明日、学校で」

 自然な笑顔で女子二人と別れた翔は、家で待っている獣(妹)に捧げる供物を買いに行くため、歩調を速めてコンビニへ向かった。


 少女が駆けているのは、空中だった。

 厳密に言えば無数に立ち並ぶビルの屋上を足場として、跳躍しながら移動していた。

 それ自体が異常な光景のようにみえるだろうが、それは昔の話だ。今の時代は、そんな〝ありえない〟ようなことを〝ありえる〟ようにする技術を持っている。

 それを世間一般の単語で表すなら―【科学】と【魔法】だ。 

 少女は今、身体能力を上げる魔法【飛兎≪ラピッド≫】と、その魔法を効率よく伝達させるための魔導伝達装置―通称MTDを使ってビルからビルへ飛び移っている。

 少女はある程度移動してから、一つのビルの屋上に着地する。そのビルは、視線を巡らせれば街を一望できる高さをしている。今は完全な夜に包まれており、都会ならではの灯りだけが唯一の光源だといってもいい。

「いる……この街のどこかに、必ず奴はいる」

 夜に包まれた街を見下ろしつつ、少女は噛み締めるように呟いた。姿は視えなくとも、直感がそう伝えてくる。

 あの男はこの街のどこかに必ずいる。因縁深い奴が―血のような瞳を持った、銀髪の男は―

「必ず見つけ出してやる、<騎士殺し>……!」

 その信念を再び胸に刻みつけて、少女はまたビルからビルへ飛び移って行った。


 謎めいた男と普通の高校生、そして使命を背負った少女。それぞれが運命の出会いを果たす瞬間ときは、もうすぐそこまで迫っていた。

初めての方こんにちは、久しぶりの方お待たせで…す?まあいいや!いざっくことイズミです。

え~前回、覚えている人は覚えているのかな?己を限界を痛感して作品の一つを終わらせてしまいましたが、今回、なんか、第二回のなろうコンがやるということで、新たな可能性(←新作だよ)を携えて、舞い戻ってきました!ヒーハー!いやあ久しぶりの投稿なので(あと前回のこともあるから)体中から変な汗をたらしつつ、挫折しないように頑張っていきたいとおもいます。あ、あとキーワードにも書きましたが、この作品にはある意味幻の作品の人物とかが登場しますよ。まぁ、性格とか変わってるかもしれんがな!!とまあそんな感じでハッスルしていこうと思います み、見捨てないでね(汗

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