入学式そしてそれぞれの試験1
魔法ではない(設定上)ので極力詠唱の様なものを省きました。読んでくださる方の想像力に期待です。どうしても必要なところは技名だけ(見た目)だけ入れてます。
ある屋敷に二組の兄妹がいた。
一組は、兄は攻撃・主に炎に属する異能を得意とし、妹は守備・主に回復を得意とした。
兄は10歳にして既に110は有りまだまだ伸び盛り、その所為か眼は自信で満ち溢れている。
攻撃的な異能を使う割に周りに気を使う、所謂リーダー気質だ。そして、赤い目で釣り目がち、髪は赤い髪を短く整えている。
妹は10歳では小柄で兄より頭一つ低い、しかし全員の意見を聞き抑え役に徹する縁の下の力持ちだ。
銀髪でストレートに伸ばした髪を腰に方まで届かせている。
目は水色で澄んだ湖の様な透明感もあるように見える、気弱そうだがその奥に強い意志を覗かせている。
もう一組は、兄が守備・主に結界を得意とし、妹は攻撃・主に風に属する異能を得意とした。
兄は平均的な身長だが知的な感じのする皆のお兄さんといった感じだ。
髪は黒く眼は真っ白という真逆の色だが不思議と違和感を感じさせない。
肩までで整えられていかにも優等生と言った感じだ。
妹は兄と同じくらいの身長だがいかにもお転婆といった感じだ。
髪も目の緑で後ろで縛ったのを肩の所で止めている。
特攻隊帳といった風な表情だ。
そして4人が共通することは、それぞれ欠点を補うような召喚獣を召喚、使役できることだ。
そして、4人は話し合う。
「俺達って4人いたら最強じゃね?」
一人がそういって自慢げに笑って話す、その顔は友人たちの実力を心底信頼している顔だ。
だが、もう一人が
「安心はできないよ?もし、一人一人はそれ程じゃなくても結託されれば4人では何もできなくなるかもしれない。しかも、今のところ僕たちは、訓練もこの4人が中心だ。他の人たちの強さは遠目でしかわからない。しかも、それが本気かどうかも分からない。まー10歳の子供に大人が本気で掛かってきたり、能力を使うとは思えないから仕方ないんだけどね。」
そういうと最初に言った少年の傍らで聞いていた少女が
「それでは、どうするんですか?守人さん、タイプは違っても私たちはそれぞれ護身術程度なら身に付けているし、いざとなったらシロちゃん達を呼べば対処は可能ですが・・・?」
その答えを聞いて守人と呼ばれた少年の隣の少女が
「そうねー・・・あ、そうだ。私たち今十歳でもう少しで中学だけど、高校はどっちかが別の高校に行かない?まー?異能を鍛えてる高校は少ないから限られて、最悪遠くの町に行くことになるけど、都合よくと言ったらなんだけど。私たちは両親いないし、赤司たちのお爺さんのお情けで居候してるわけだから、私らが別の町の異能者の高校で友達を、信頼できる友人を作る。だからあんたらがこっちの町でこの町の唯一の異能者の学校、天神学園に行きなさい。そこでお互いに友人を作り、卒業したとき、異能者で構成された組織を作って世界の戦争・紛争に殴り込みを掛けて世界を支配し平和な世界を作るの!」
というと、赤司と呼ばれた少年が「ふっ」と笑い
「いいんじゃねえか?キリカ。お前にしちゃ上出来な意見だ、方向性も悪くない。じゃーそれまで俺たちは互いにもっと訓練して、それぞれの高校のトップになれるようにしないとな?中学でも異能者は何人かいると思うし、全般的に俺らは自分の能力しか完璧に把握している物がない。爺ちゃんに聞いてみたら、世の中には異能を込めた道具があってそれを作れるものは結構優遇されるらしい。聖蘭と守人ならそういう理屈で物を作るのは得意だろ?お前らはその知識を爺ちゃんに詳しく聞いて調べてくれ。俺とキリカは爺ちゃんに聞くのは同じだけど、主に異能の篭め方、扱い方だ。そして、学校が終われば訓練を今までの3分の2にしてあとは聞き込みと自主勉強、そして解ったことの発表会だ。あーなんだか、楽しくなってきたー。」
そう赤司が言うと、皆苦笑し
「今後の方針も決まったことだし、景気付にタッグマッチでもやりますか?」
と守人が提案
「いいですね」
と聖蘭
「それじゃ、・・・不意打ち・・・ハッ!」
とキリカが空気の塊を出す
バシュッ!
「その隙に、歪曲空間を・・・ほいっと!」
ヴーーーーン
と守人
「・・・っと、あぶねえー、相変わらず、アイコンタクトなしに見事なもんだ。・・・それ、こっちは、これだ。」
バシュッ!
と赤司が熱弾を出す
「それでは、こちらも・・えい!」
と聖蘭が水の壁を出した
こうして、今日も真夜中まで4人の訓練は続き、そろそろかと、就寝を告げに来た赤司たちの祖父が巻き添えで被弾し、4人が説教されるまで続いた。
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それから2年後、4人は中学に進学し、入学式の試験の時に、後に最高のライバルとなる留学生、コーラル・フォン・サンダースという少年と出会う。
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入学式が終わり、4人で駄弁っていると
ピーーーン ポーーーン
「校内放送です今から名前を呼ぶ学生は速やかに且つ迷うことなく校内案内に従い、学園長室に来なさい。遅刻は許されません、制限時間は1時間です。来ることのできなかった生徒は悪いことは言いません1年鍛え直し同じ歳の者が切磋琢磨している中で無力を味わいながら来年下の学年として入学なさい。また、道中嘘をつくことはありませんが襲ってくる生徒がいます。その者達には決して怪我する事のない武器・道具を渡していますが、この学校に入る最低限の実力のない生徒は、当たれば強制的に学校から弾き出されます、よって万一にも自信のない者は当たることなく、攻撃を避け、道を聞き、無事にたどり着くことを勧めます。では・・・蓬莱赤司、蓬莱聖蘭、コーラル・フォン・サンダース、柊守人、柊キリカ・・・・・鳳大吾、速水麗華、森羅菫、以上20名。呼ばれたものはそれぞれの目的がこちらに伝えられている以上理由は解るはず、そしてこの試験の意味も分かると思います。よって万一の場合の反論は受け付けません、それでは。・・・開始!」
「あー、爺ちゃんの言ってたのはこれの事か?でも、俺たちに意味あんのか?一応、学園長の気配は解ってるからそこに向かって進むだけだから、簡単だけどさ?」
そう呟く赤司に守人が
「一応、訳ありで入ってきた者たち全員に対する伝統行事って言ってたから、必要なんじゃ無いか?特定の者たちだけ贔屓してたら、この伝統そのものが無くなるからな。」
そして、その意見に賛同する意見を聖蘭が
「そうですよ、兄さん。お爺さんに太鼓判を押されているからと言って、余裕で行って、もし遅れて「入学させられない、来年に来い」って言われたら元も子もないでしょ?」
と追加で言った。
すると、すかさず赤司は
「あー、はいはい、解りましたよ。でも皆一緒は何となく面白くないから別々にいかね?勿論、一番遅い奴は罰ゲームで一番早かった奴の新技の練習台になるとか?まあ、1回だけ、だけど。」
その言葉でキリカが、ニヤッと笑い
「いいわね、乗った!それじゃあ、ヨーイ、ドン!で行くってことで。」
そこで、二人のテンションに就いて行けなかった聖蘭と守人が
「「それはいいけど、方向どうするの?」」
と聞くと、二人揃って
「「あ、そうだ。忘れてた。(笑い)」」
そして、またしても二人揃って
「「はあーーーー」」
と、ため息をついた。
「じゃあー俺は運動場から周って窓から派手に登場ってことで」
と赤司
「じゃー私はー、空から直接上品にいくわ」
とキリカが言うと赤司は「ぷっ」と吹き出し、大笑いし
「ぶーーっぷぷぷぷ・・・あーっはっはっは・・・っくっくっく!あーおもしれ-!お前が上品て柄かよ!どうせ、窓からコンコン、「はい、どうぞ。よく来ましたね」ってのを想像したんだろうが。俺の予想では、無言で目で笑って廊下を指差すだろうな。てか、俺が学園長ならそうするね?理由は面白いから♪。」
それを聞いたキリカは顔を真っ赤にし、赤司に詰め寄り
「こんの、赤司!あんたもっぺん言ってみなさい、泣いて謝るまでぶん殴ってやる!」
その夫婦漫才を見ていた二人はまた「「はあー、やれやれ」」とため息を吐き
「仲良きことは美しいですがお二人さん、もう既に10分位経っているのでそろそろ出発したいのですが?」
仲良きこと・・で顔を真っ赤にしたキリカが「こ、これは、その・・・」といっていると
「んで?二人はどうすんだ?お前らはどっちかってえとドンパチは得意じゃねえから二人で安全に廊下からってのでもいいが?」
赤司が二人にそう尋ねる、すると
「そうですねー?守人さんどうします?恐らくお爺さんの話なら大丈夫そうですが・・・」
聖蘭が守人に尋ねた。
「うーん」といって、唸っていると、ふと「よし」と頷き
「どうせなら、僕たちも別々に行こう。最初位それぞれでクリアしてホントにこの学校で通用するのか知っときたいからね。」
それに聖蘭も頷き「はい、解りました」と、答えると
「じゃー、僕はこっち側の廊下から。聖蘭はそっち側の廊下から行こうか。確か学園長室は3階の真ん中辺りにあったと思うから、何事もなければ廊下の真ん中で合流できるはずだ。」
「よし、方向も決まったことだし、行きますか?」
それの声と同時に4人それぞれの足元から空気の渦が舞
「レディー・・・ゴー!」
その言葉と共に4人はその場から一瞬にして、消えた。
それを陰で観ていた者が呟く
「あれが例の老師の秘蔵っこ4人組か~久々に楽しい入学歓迎会に成りそうだ。皆、いいかい?相手は入学したてのひよっこだと思って甘く見てると怪我するよ?特にあの中の一人はどうやらあたしたちの気配に気づいてたみたいだからね。誰が担当するかは運次第だけど、ヤバかったら変なプライドは捨てて降参して道を譲りな試験の相手は一人じゃないからね?ギリギリなのを相手にしたなら許すけど。なるべく早く力を見極めて、次に移りな?」
それを聞いていた者が一斉に頷く
「それじゃ・・・散開!」
留学生 コーラル・フォン・サンダースは完全に迷っていた。
彼は非常によく目立つ、まずは背が高い早生まれの13歳にして既に130を超えていた。
さらに、光り輝く金髪にして背中にまで垂らした長髪、碧眼で釣り目しかも何を思ったのか旅行鞄を肩から担いでいる。
そして、今まさに、放送を聞いて、さあ行こうとしたところで校内案内のパンフレットを寮に忘れてきたのにきずいた。
「っ!」
そして、哀れな出迎えの試験官役の生徒が彼の前に現れた。
彼はニヤリと笑い
「丁度いい、学園長室までの道案内をして貰おうか?」
と、言って、一瞬でその生徒の目の前で消え、気が付けば後ろに立ち手刀を首筋に沿わせていた。
「解った、降参だ。案内する。」
そして、彼は一番手の合格者となった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~赤司サイド~~~~~~~~~~~~~~~~
赤司は悠然と運動場を歩いていた。
けれど歩いている間に先回りされたのか、先ほど廊下で感じていたのとは別の気配の主が目の前にいる。
不思議に思いきいてみた。
「なあ、あんたさっき廊下で俺たちの事をみてた奴の仲間だろ、多分試験官だと思うけど。一応聞くよ、アンタの目的は?」
すると気配の主は一瞬びくっとなったが、諦めたのか案外潔く前に出てきた。
「一応気配は消していたのですがよくわかりましたね?それに、補足しておくとあなたが廊下で感じたというのは私の気配ではありません。仲間でもありませんよ?多分あなたと同じ?入学試験を受けに来た者です。・・・おっと、自己紹介が遅れました。私は速水麗華と申します、以後お見知りおきを。」
と言って丁寧に腰を折り、自己紹介をしてきた。
背は平均的だが体つきは12,3とは思えないくらいの色香を放っていた、間違いなくあと、5年もすれば傾国の美女と言われるほどになるだろう。プロポーションではなく雰囲気が違うのだ、赤司は思わず「すげえー、こんなのがいるとはこの国も広いようで狭いな」と思い見つめていた。
眼も髪も黒で腰の方まで流れるように自然に靡いていた。その何気ない立ち姿にまで気品を感じる。
赤司は心中を悟られぬように
「ふーん、じゃあ俺も。俺は蓬莱赤司、赤司でいいぜ?それにしても、あんた存在感が半端ねえな、居るだけなのについ見ちまう感じだ。そんなのは例え気配を消してもなかなか消えねえぞ?」
そういうと、麗華は「ふふッ」と上品に笑い
「それでは、私も麗華と。まあー、お褒め頂いて光栄ですが、貴方も相当存在感有りますよ?何より私は自分で認めた相手以外積極的に話はしませんから。その点ではあなたは合格です。」
といった、そして。
「まあ、立ち話も何ですし、何より試験もあと半分です。そろそろ行きませんか?」
と言って返事をする前に麗華は歩き出した。
それを「はー、キリカとは別の意味でマイペースなやつだな」と呟きながら運動場を再び歩き始めた。
歩いていると頭上から「もー、分からず屋ー」という声がする。
ふと、上を見るとキリカが必死になって校舎の方に引き返していた。
それを見て、腹を抱えて震えて笑ってしばらくすると不意に肩をちょんちょんと指で叩かれ、振り返ると麗華が少し顔を引き攣らせ困惑した表情で聞いてきた。
「あのー、どうしたのですか?急に上を見て笑い出しましたが。」
それを聞き、少し考えた後手をポンッと叩き
「あー、麗華は不可視結界を見慣れて無いのか。今その結界を張った俺の親友が窓から学園長室に行って、門前払いを喰らって慌てて校舎に引き返したとこだ。」
そういって、俺は廊下での出来事を話した。
「なるほどー、それで見慣れていない私には見えなかったのですか。色々と興味ぶか・・・い、所では有りますが、試験官のご登場ですのでお話は後にしませんか?」
そういうと麗華がチラリと後方を見た。
そして俺も横を見ながら
「そうだな、じゃーまた後でという事で」
「ええ、後程」
と言い合い、揃って消えた。
ビュッ!! スカ! ゴーーー!! ジュワーー カン!キン! ダダッ!!
「まー、同じ試験官でも大人と生徒じゃ違いはあると思うから。・・・こんなもんなのか?」
「ごめんねー?対戦相手は籤なんだよ。僕じゃ役不足だと思うけど、我慢して?つまんないようなら、何らかの方法で拘束してくれれば僕も言い訳できるから。他の生徒の所に行くのもハッキリ言って面倒だから、なるべく粘ろうと思うんだけど?」
その言葉にニヤッと笑い
「解った、ちょっと痺れるから我慢しろよ?」
そういって、一瞬で彼の前に行き背中に手を当て、1時間ほど痺れが取れないくらいの電気を流した。
「ーーーー」
声にならない悲鳴を上げる彼を背負い、俺は歩き出した。
「この上かー、やっぱ上昇気流を利用して上に行くと同じに、窓をけ破りその後、復元して到着!ってのがカッコイイよな?・・・よし、ハア!」
すると微かに足元が浮きゆっくりと体が上昇している、赤司はそこで少しだけ風を操り
「学園長室までごあんなーい♪」
とエレベータボーイのようなノリでゆっくりと上がっていき3階の窓に到着すると同時に
バリーン!! シュタッ!!
と、登場した、後ろには派手に登場した形跡がまるで巻き戻しをしているかのように風で集まって
サラサラーー フワーー ピタ!ピタ!
と何事もなかったように復元(熱で溶かした後隙間を潰すようにして冷やされた)された窓があった。
そして、廊下側から
「あーーー!その手があったかーーー!てか、赤司卑怯よ。この勝負は無効よ!」
と喚くキリカがいた。
そして、呆然と成り行きを見守る他の面々がいた。
そいつらを一先ず置き、纏っている雰囲気から学園長に当たりを付け、尋ねた
「まー、とりあえず間に合ったみたいだし?とりあえず、合格かな?」
赤司のその言葉を聞いた女性が
「ああ、派手な登場で面食らったがな。とりあえず、合格だ」
こうして、赤司の試験合格が決まった。
やはり、限定された能力を書く方が面白い。