第1話 宿屋の息子
エメラルダ王国の北方にかつて世界を統べていた国があった。
現在ではゴールディア王国、シルバディア王国、ブロンディア王国の三つに分かれている。
その三国には勇者ゴッドがもたらした三種の神器が祀られていた。
いずれ闇の魔王の封印が解けたとき、再び現れる勇者に託す為、三王家によって厳重に保管されていた。
その三国の内の一国、ゴールディア王国の王城の一室に一人の老婆がいた。
老婆は一心不乱に水晶玉に魔力を込めているようだ。
老婆の名はメア・スカーツ。
ゴールディア王国宮廷魔術師の長である。
「むぅ…。」
水晶玉は黒く染まっている。
「やはり…、闇の魔王が復活したのか……。」
ゴールディア王国近辺に近頃魔物の出没が増えた為、王にその調査を命じられた。
騎士団による魔物討伐では原因は不明なまま。
よって宮廷魔術師のメアに魔術での調査がまわってきたのだ。
「ならば…勇者が現れるはず…」
調査対象を新たな勇者に変更し、再び水晶玉に魔力を込める。
すると…4人の人影が現れる。
だが、3人の姿はぼやけており、はっきりとわからない。
1人だけはっきりとわかるその姿を見て、メアは驚愕する。
「こ、これは……なぜ、この子が………?」
そこには、メアがよく知る少年が写っていた。
ゴールディア王都にある宿屋「真紅の指輪亭」。そこに件の少年がいた。
「母さん、冒険者ギルドに行ってくるよ。」
伝票と格闘する母親に声をかける。
声に反応し、母―サリナが顔を上げる。
「あら、もうそんな時間?最近街の外が物騒らしいから気をつけなさいね。」
「わかってるって!」
返事をして駆け出していく。
少年の名は、ライアン・フレイト。
宮廷魔術師メアのひ孫である。
たまに家業の宿屋を手伝う傍ら、新米冒険者として活動している。
最近魔物が活発化しているため、ベテラン冒険者達は強めの魔物討伐で忙しく、簡単なクエスト類が溜まりに溜まっているらしい。
そのせいか、新米にも仕事が多く回ってきている。
当然ライアンにも、その仕事が回されてくる。
冒険者ギルドに着くと真っ直ぐ受付カウンターへと向かう。
「あら、ライアン君。今日も仕事受けてくれるの?」
カウンターにいる受付の女性が話しかけてくる。
「はい。俺でも出来るやつ、ありますか?」
「ちょっと待っててね…。」
受付の女性がカウンター内で仕事内容をチェックし始める。
すると、カウンター奥から厳つい中年男性が現れる。
「おう、ライアン待ってたぞ。」
受付の女性が振り返る。
「ギルドマスター?どうされたんですか?」
「ライアンに指名の仕事が入ってる。」
ギルドマスターと呼ばれた中年男性がライアンへと近づいてくる。
「指名…?でもまだライアン君は駆け出しですよ?指名依頼なんて…」
受付の女性が困惑の声を上げる。
「依頼主はメア様だ。これなら納得だろう?」
「ひいばあちゃんが…?あんまりそういう事しないたちなんだけどなぁ……」
ライアン自身も困惑する。
「とにかく、そういう訳だ。詳しくは王城に行って聞いてこい。」
「……わかりました。」
そう言ってライアンは困惑したまま冒険者ギルドを出て行った。
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