表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
距離感0な子と恋愛に発展するのが難易度MAX  作者: 鶴時舞
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/50

45話 お風呂回

「二人で入るの?」


「うん」


「全裸で?」


「うん」


「恥ずかしくない?」


「それが良いんじゃない~」


羽依がケラケラと笑う。

……あれ? 俺がおかしいのか、羽依がおかしいのか、分からなくなってきた。


「羽依は、俺に裸を見られて恥ずかしくないの?」


以前、少し触れたことはあったけど、裸そのものは見たことがない。

ていうか、見て何もしない自信なんてあるわけがない。


「そこまでまじまじと聞いてくる? そりゃ恥ずかしいよ~。でもね、そーまのそーまを見たいの」


なるほど~。俺の俺が見たいんだな。


……。


!!!!!!


「ダメ! 絶対ダメ! 一人で入る!」


後ろから「けーちけーち!」と非難の声が飛んでくるけど知らん!

いや、そりゃあ、お年頃の異性同士なんだから気にはなるよ。俺だって興味津々だよ……。

でも、一線を越えないという自分の誓いが危うくなるのはマズい。


***


「いい湯だなあ~♪」


雪代家のお風呂はジェットバス付き。スイッチを入れると、水流と気泡が心地良い。


「これは贅沢だなあ……真桜もきっと満喫したんだろうな」


ふと、真桜の言葉を思い出す。


『手で洗ってもらった。全部』


……全部ってすごいよな……。

ああ、想像しただけでヤバいことになる……。

もし今日、一緒に入ってたら、俺の体も手で洗われてたのかもしれない……。


いやいやいや! 考えるのをやめろ!!


さっさと頭と体を洗って出よう。

雪代家の高級シャンプーを手に取ると、ふわっといい香りが立ち込めた。

いい匂いだけど、俺が使うにはちょっとキツめだな……。


シャカシャカシャカシャカ……


――ガチャッ。


背後で戸が開く音がした。

少し冷たい風が入ってくる。


「……」


「来ちゃった。あ、待って。ごめん。後ろ見ないでね。今になって恥ずかしくなってきちゃった……」


良かった。羞恥心がないわけじゃないんだ。

でも、その瞬間、俺の心臓は激しく打ち鳴らされ、まるでドラムが叩かれているかのようだった。

ーー息が詰まるような感覚に襲われ、思わず手が震える。

ーーもう、どうしても呼吸が乱れてしまいそうなほど、胸が熱くなっていた……。


羽依はかけ湯をしてから、俺の頭に手を伸ばし、シャカシャカと泡立て始める。


「お客さん、かゆいところはありませんか~♪」


「あ、あのねえ……いや、気持ちいいんだけど……」


今さら出ていけというのも違う気がする。

雪代家という羽依のテリトリーに入ってしまってる以上、避けられなかった事態なのかもしれない。


「ところで羽依さん。タオルは巻いてらっしゃいますか?」


「タオルは甘え」


おお……なんかかっこいいけど、言ってることがやばすぎる。

後ろを見たい誘惑にかられる。見たらなんて言うんだろう?やっぱり怒られるのかな……いや、怒られる筋合いも無いような、ああ!もう!


頭を流し終えたあと、頭からタオルを巻かれ、目隠し状態にされる。


「あ……あれ?」


「ごめんね。土壇場で意気地なくなっちゃった……」


「いや、大丈夫。大丈夫……だけど……どうして一緒に風呂に入りたかったの?」


「……」


羽依が今どういう表情をしているのか分からない。


「体洗うね。」


羽依の声が少し震えてる。

あ……よかった。ちゃんとタオルで洗ってくれてる。

俺も手で洗われてしまうのかと、ドキドキしたが、ひとまず安心だ……。


「気持ちいい?」


「うん……」


背中を洗い終え、首、手、足と洗っていく。


「ご、ごめんね。そーまは自分で洗って……」


「あ、はい……」


きっと全部見られてしまっている。

羽依の当初の目標は果たせたわけだ。

体を洗い終え、湯で流す。

次に、羽依が髪を洗う。


「そーま、頭洗って~」


甘えたような声になり、そんなこと言ってくる羽依。

手探りでシャンプーを手に取る。髪が長いので2プッシュほどか。

男のようにシャカシャカ洗っちゃ駄目だよな。

ーーコスコス……モミモミ……


「うん、優しくて上手だよ。そーまは頭洗い屋さんになれるね」


「そんな職業あるんだ?儲かるのかな、それは。家族養っていけるかなあ」


「世界ランカーならマンション買えるよ。」


「ランキングあるんだ……奥深いね……」


いつものような軽い会話で、少しずつお互いの緊張が溶けていく気がした。


「トリートメントは毛先から付けるんだよ~。根元には付けないでね」


「了解~」


ーーぺたぺた……モミモミ……

髪を洗い流し、終了。


「体は……背中だけ……良いかな」


「うん……」


タオルにボディーソープを取り、泡立てる。

背中に手をあてた瞬間、羽依の体がびくっとする。


「ひゃん、あ、ごめん。大丈夫だから……」


ーーなんだその声は……反則だろう……。

タオル越しに華奢な体が伝わってくる。

前にはあんなに立派なものがついているのに……。


「……洗ってもらうのって気持ちいいね。……やっぱり……前も……洗ってくれる?」


「いや! 自分で洗ってくれると助かるな!」


羽依がどんな表情でそれを言っているのかわからない以上、俺も踏み込めない。

体を洗い終え、湯で流すと、羽依が湯船に入ったようだ。

ふと、頭のタオルが取り除かれ、視界が広がる。


「そーま。こっち見てもいいよ」


俺はおそるおそる羽依の方に目を向けると、確かに何も付けてなかった。しかし、ジェットバスのおかげで直には見えていない。

羽依に促されるまま、向かい合うように湯船に浸かる。

風呂は結構大きめだから二人でも入れるが、流石に全く触れないわけにもいかない。


「そーまは、私と一緒にお風呂に入れて嬉しい?」


挿絵(By みてみん)


頬を赤らめ甘えたような表情でそんなことを言ってくる羽依。


「もちろん嬉しいけど、恥ずかしさのほうが強いかな……」


「そーまは照れ屋さんだものね。私も恥ずかしいけどね、でも、そーまとはもっと特別なことしたいの」


「え? それって……」


羽依が近寄ってきて俺を抱きしめる。体に当たる羽依の感触が熱く柔らかい。


「先に出るね。ちょっとだけ目を瞑っててね」


そういって羽依は風呂場を後にした。


ーーえ、今の……何?


思考が追いつかない。心臓はまだドクドクと暴れてるし、体の熱がまるで引かない。

気づけば、俺は湯船に顔を沈めていた。


ブクブクブクブク……


ーーこのまま湯気と共に蒸発してしまいたい……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ