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距離感0な子と恋愛に発展するのが難易度MAX  作者: 鶴時舞
2章

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35/50

35話 距離感ゼロの甘えんぼタイム

金曜日の夜はお店も賑やかだった。

お酒を飲むお客さんは八時ぐらいから来店して、景気よく飲んでいる。


普通の店なら、羽依さんみたいな可愛い子がいたら、ちょっとは絡まれたりしそうだけど、この店でそんなことができる勇気のある客は存在しない。


「蒼真、羽依。そろそろ上がっちゃって。お客さん空いたら後片付けよろしく!」

「は~い!」


二人揃っていい返事をする。


「あのお兄ちゃん、一生懸命働くね!」


お客さんの声が聞こえてくるのを尻目に、リビングへ向かう。


「いや~しんどい~!」

「毎週のことだけどさ、金曜はハードだねえ」


二人、ソファーでぐだっとする。


「そーま、だっこ」


甘えた口調で、そんなことを言ってくる。

疲れている時の羽依さんは、特に甘えてくっつきたがる。


俺の膝の上に乗り、体を預けてくる羽依さん。

感触がががが……。


俺の手を自分の腰に回し、さらに体を預けてくる。

羽依さんの温もりと、首筋からふわっとただよう女の子特有の甘い香りが鼻をくすぐる。


「ぱくっ」


首筋を軽く甘噛みしてみる。


「ひゃん! そーまだめ~」


可愛く抵抗してくる羽依さん。

首から口を離し、そのまま優しい口づけを交わす。


特別なことが無くても、キスは最近よくしている。

恋人ではないはずだけど、俺に対してだけは距離感がゼロの彼女。


俺の方も、今はそれを受け入れているし、自分からもそういう行為を行っている。

まるで付き合いたてのカップルのような感じ。今はこんな距離感が心地よかった。


「それにしても、お腹にお肉があまりないね」


お腹をふにふにしてみる。


「だめだよ、そーま。無いこと無いからさ」


ふにふに、ふにふに。


「ちょっ、だめだよ~」


もっと上も触ってみたい衝動に駆られるが、そこは我慢。

一線を越えないようにするのが、今の付き合い方の譲れないポイントでもある。


健全な男子高校生としては、死ぬほど抗いがたい。


「羽依さん、お風呂入っちゃってね。」

「一緒に入っちゃう?」


甘えた表情で、そんなこと言ってくるもんだから、俺は思わず。


「てい!」


羽依さんの頭を優しくチョップした。


「ぶ~、そーまのいじわる。じゃあ先に入っちゃうね!」


そう言って、羽依さんはパタパタ~っとお風呂に向かった。


「いや~、耐えるのホントしんどすぎるんですが……」


つい声に出ちゃった。


風呂場の方から、

「耐えなくてもいいのに~」


とか聞こえちゃってるけど、無視しとこう……。


「お風呂出たよ~。そーま、覗きにこなかったね。」

「覗かないよ!?」

「私は『きゃあっ! そーまさんのエッチ!』って言う準備してたのに~」


何言ってんの、この子。


「じゃあ、お風呂いただいちゃうね。」

「いってらっしゃ~い」


……わるい予感しかしない。


雪代家のお風呂に入るのは、これで二回目だ。

この先も使わせてもらうなら、俺のシャンプーとかもあったほうが良いのかも。


俺が使うには高級すぎるんだよなあ。


「遠慮なく使っちゃっていいよ~」


振り向くと、羽依さんがこっそり覗きながらそう言ってる。


挿絵(By みてみん)


「きゃあ! 羽依さんのエッチ!」


でへでへと言いながら、ぴゅーっと羽依さんが去っていく。

どこの不審者おじさんだか……。


いや…もう分かってたけどね……のらざるを得ない……。


***


「ごめんね~、なんか変なテンションで」


風呂から上がると、羽依さんがソファーでぽつりとそんなことを言い始めた。

ちょっとだけシュンとしてるように見える。

やりすぎたのを少し反省しているようだ。


「そーまが泊まってくれるの嬉しいの。だから、つい浮かれちゃって」


浮き沈みの落差がちょっと激しい。

これもまた彼女の魅力の一つと思っておこう。


「気にしなくていいよ。茶目っ気たっぷりの羽依さんも可愛いと思うし」


そう言うと、少し明るい表情が戻ってきた。

やっぱり羽依さんは、笑ってる顔がとても可愛い。


「なんかね、これから毎週泊まってくれるってのがすごく嬉しいの。そーま、うちの子になっちゃいな!」

「え? だとしたらうちらは兄妹? どっちが上なんだろう」


そういや、お互いの誕生日とか知らなかったな。


「羽依さんの誕生日っていつ?」

「六月六日だよ~!」

「おお! ゾロ目か! 俺と同じだね。俺は七月七日だよ」


それを聞いた羽依さんは、ニマーっとしてる。


「ふーん。そーま、羽依お姉ちゃんって呼んでもいいよ?」


ちょっと偉そうな顔つきになった。

表情が豊かで器用だなあ。


「羽依お姉ちゃん~」


ちょっと甘えた声で呼んでみる。


羽依さん、なんだか恍惚の表情でびくびくしてる。

何、ちょっと怖い。


「そーま、羽依お姉ちゃんがハグしてあげる」


ぎゅー。


そんなことしてるうちに、下から声がかかった。


「お客さん捌けたから片付けするよ~」

「はーい!」


その後、三人で片付けをやったが、風呂入ったのにまた汗かいちゃった。

五月でも少し暑めな日が続いてる。


明日の食事会のメニューは……あれにしよう。


ふっふっふ。

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