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距離感0な子と恋愛に発展するのが難易度MAX  作者: 鶴時舞
2章

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25/50

25話 デート(前編)

今日はゴールデンウィークの三日目。天気は快晴、まさに絶好のデート日和だ。


デートの雰囲気を大切にするために、今日は動物園で待ち合わせることにした。


待ち合わせ時間は10時だけど、9時についちゃった。張り切りすぎたかな…


「そーま!」


その声に振り向くと、なんと羽依さんがすでに待っていた。……まだ1時間前ですよ?


「待たせ……ちゃったかな?」


「うん~待ちたかった?そーま来るの早いよ~」


待つ醍醐味を味わいたかったようです。可愛すぎるでしょうそれは…


今日の羽依さんの服装は、ゆるめの白ニットとデニムのショートパンツの組み合わせ。


ふんわりしたトップスとカジュアルなボトムスのバランスがちょうどいい。


そして、すらっと伸びた白い足が健康的で、思わず見惚れてしまう。


「じゃあ行こう! かっぴ~見るのだ~!」


そう言った瞬間、羽依さんが俺の腕にがっちり絡みつき、グイグイと前へ進む。


「ちょ、強引すぎない!?」


「かっぴ~が待ってるのだ~!」


俺の返事なんて聞いちゃいない。

もう、こうなったら——


「……うん、行こう、かっぴ~!」


前にニュースで見た、動物園のカピバラの赤ちゃん誕生の話。あれからちょうど一ヶ月くらいかな?


「こっちだね。あ!いた!」


「温泉入ってる!かわい~!」


羽依さんは大興奮でカピバラの赤ちゃんを見つめている。小さな手足をばたつかせながら、のんびりとお湯につかる姿がなんとも微笑ましい。


だけど、俺にはカピバラよりも、「かわい~!」と目を輝かせてる羽依さんのほうが、100倍可愛い。


……ああ、今日は動物園に来て本当によかった。

挿絵(By みてみん)


「ねえそーま。グッズ買わない?」


「そうだね、これなんてどうかな」


カピバラの帽子らしい。ちょっと被ってみる。


「うわ~すっごい微妙!」


「どれどれ、うわっ微妙!」


可愛いというよりとてもシュール。リアル過ぎるんだなこれは。


二人で思わず笑ってしまう。


「無難にキーホルダーかな。」


「良いんじゃない?とっても可愛いしもふもふしてる~」


よっぽど気に入ったらしいので俺が羽依さんにプレゼントする。


「え!いいの?ありがとう~!」


「お安い御用だよ!ほかも見に行こうよ!」



ゴリラの前に来た。


看板には何やら物騒なことが書いてある。


「ゴリラってうんち投げるらしいよ。当たったら大惨事だね。」


「うん、あ、振りかぶってる。ぎゃーーーー」


羽依さんのすぐ脇を掠めるうんち。いやこれ当たったら洒落にならんぞ。


二人で慌ててその場を退散する。


「ゴリラやばいね。羽依さん大丈夫?」


「うん。大丈夫。侮れないね…一昨日買ったばかりの服、うんちまみれになるところだった…」


「真桜さんと遊びに行ったとき買ったんだね。いっぱい楽しんだ?」


「うん!私、あんなに仲いい友達今までにいなかったかも。そーまと勉強会やってなかったら、あそこまで仲良しになれなかったかもね。」


羽依さん、とってもいい笑顔で真桜さんとの楽しい1日を語る。


「…でね、真桜が一緒に泣いてくれたんだ。なんかもう、すっごく嬉しかったの」


「そっか~。真桜さん本当に優しいんだね。俺にもあんなに一生懸命勉強教えてくれるし。」


「だよね、そーまのことも話してたよ。中学の時、すごいおっかない顔して勉強してたって。」


「ぶっ!俺そんな風に見られてたの?やだ恥ずかしい~」


急にオネエ言葉になった俺に、羽依さんが肩に手を回してくる


「恥ずかしいことなんて無いよ。さらけ出しちゃいな。」


「うわっ、イケメン!」


「ふふふ、可愛い子ちゃん。食べちゃうぞ?」


イケメン風にウインクしてくる羽依さん。


「……やさしくしてね」


「うわっそーま、きもーい!」


ノッたのに仇で返してきた!?


「キモいって言ったら駄目なんだからね!男の子はとっても傷つくんだからっ!」


「うわっ、ますますキモーイ」


羽依さんがニタニタしながら指でつついてくる。ぐすん。


***


そんな他愛もない会話を続けながら、猛獣コーナーを色々見ていく。


「ライオンってさ。頭おおきいよね」


羽依さんがしみじみ言ってくる。うん、確かに。


「体との比率やばいよね。下半身と頭が同じサイズだよね」


「真桜とどっちが強いかなあ」


「そりゃもちろん真桜さんじゃね?」


「だよね~」


それに関しては、だれも疑問に思わない。


「すごかったよ真桜。ナンパしに来た人にさ、なんて言ってたっけ。『私、暴力を振るうわよ』って。ナンパしに来た人すぐいなくなったよ~」


「暴力宣言!?ていうか、やっぱりナンパされちゃうんだね。東京怖いなあ」


「私、そういうの断るの苦手だからさ、真桜と一緒でホント助かった~」


「まあ、真桜さんと羽依さん二人だったらナンパ師もほっとかないか…」


「でね~…」


羽依さんの会話は尽きることがない。俺も時間を忘れて夢中で聞いてた。話し上手なんだよな~


***


やっぱり癒やされるのは小動物コーナーか。


「うさぎや亀に触れられるコーナーだって。さわってく?」


「もちのろんよ!」




いつの時代の人だか……。そういや、最初の頃は「ぽわぽわ天然ちゃん」って思ってたんだけどな。


でも、今はそのイメージとはちょっと違う。


なんていうか、型にはまったキャラじゃなくて——


雪代羽依 っていう、ちゃんとした「一人の女の子」として俺の中で確立された気がする。




「かーわいー!そーま!写真撮って!」


「いいよ~」


スマホで何枚も写真を撮る。うさぎを抱っこする羽依さんは可愛いx可愛いの相乗効果。俺のお宝がどんどん増えていく~。


「そーま!一緒に撮ろう」


うさぎを真ん中に二人でパシャリ。


「よく撮れたね!」


画面を覗き込むと、そこには満面の笑みを浮かべる羽依さん。


本当に楽しそうで、見ているこっちまで自然と頬が緩んでしまう。




「そろそろお昼食べようか?」


羽依さんが提案する。今日は羽依さんが作ってくると言ってたから、期待大だ。


芝生の広場にレジャーシートを敷くと、羽依さんがリュックから弁当箱を取り出した。


「じゃーん!今日のお弁当はサンドイッチ!」


「おお!なんか綺麗だね!」


ちょっと大きめの弁当箱の中には、たまごサンドにハムチーズサンド。これはいちごジャムサンドか。サイドメニューはミニトマトとレタスのサラダにカットフルーツ。彩りが素晴らしく、食欲をそそる。


「手間がかかってる感じがすごいね。早起きしたんじゃない?」


「うん!というかあんまり寝てない!楽しみすぎて眠れなかった。」


「あう…じゃあ、ご飯食べたら横になろうか。ここならちょっと寝られそう。」


羽依さんは嬉しそうに頷いた。


「それはとっても嬉しいかも。さあお食べよ!」


「いただきまーす!」


うん。なんていうか、うまい。うまさ以上の何かを感じる。


「美味しいね。愛情が半端ない感じがする。」


「んふ、色々念を込めたからね…」


「え、なに、こわっ!食べて大丈夫?」


「全部食べてね。うん、美味しく出来たかも~」


こんなに美味しいサンドイッチは初めて食べた。実際味も良かった。キッチン雪代の技が入ってるね。サラダのディップもあの味だ。


「羽依さん包丁以外は何でも出来るよね。包丁は何で駄目なんだろう」


「すっぽ抜けちゃってね。お母さんの真横に、ぐさって。」


「ああ、そりゃだめだ…」


「まあ、ああ見えてお母さん心配性なんだ。色々とね」


お父さんのこともあるし、その影響で余計に過保護になってるんだろうな……。


「じゃあ俺の家で練習しようよ。それなら大丈夫でしょ」


「うん!私の手料理食べてね!」


「楽しみにしてるね」


お腹いっぱいになったところで、羽依さん電池切れ。


俺の膝枕でグーグー寝ちゃってる。寝顔のビジュアルが半端なく良い。


写真撮っとこう。


パシャパシャ。


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