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距離感0な子と恋愛に発展するのが難易度MAX  作者: 鶴時舞
1章

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23/50

23話 羽依

羽依視点となります。

真桜とおでかけの翌日。そーまからラインが届いた。


「今日帰ってきたんだけど、体調悪いから出かけるのは厳しい。ごめんね。」


「いいよ〜。無理しないでね。何か必要なものがあったら持って行くよ!」


「ありがとう。大丈夫だよ。」


ああ、ちょっとがっかりだけど仕方ないよね。


そーまとは、動物園に行きたかった。お父さんと行った思い出の動物園。そーまと一緒だったらきっと楽しかっただろうな。まだチャンスもきっとあるよね。


お母さんにそーまが具合悪いから、ちょっとバイトは厳しそうな事を伝える。


「具合が悪いのは心配だねえ…」


私もお母さんも病気でお父さん亡くした事がトラウマになってる。お父さんも初めは、ただの風邪だったから…


「羽依、悪いけど蒼真の様子見てきてくれないか?果物とおかゆの元を今こしらえるからさ。ちゃんとマスクして行くんだよ。」


「うん、わかった。」


そーまのアパートに向かう。


Tシャツと短パン姿って、めっちゃ家着だけど、そーまなら良いよね。


今はすぐにでも届けたい。


「あ、連絡入れなかったけど…寝てたら悪いし良いか」


部屋の前に付いた。暗いけど寝てるのかな?


チャイムを鳴らすか迷った。鍵は…開いてる?


そーまらしからぬ不用心さに不安な気持ちになる。


そっと開けて様子を見たら、荷物を置いて帰ろう。


カチャリと音を立ててドアが開く、奥で布団に包まってる。寝てるっぽい。


そっとおかゆの入った容器と果物を置いて出ていく。


「え?だれ?」


「あ、ごめんね、そーま。起きてたんだね。玄関の鍵開いてたから。お母さん心配だから見に行ってきなって言ってくれてさ。果物とおかゆ持ってきたんだ。温めようか?」


そういって部屋に入る。


「電気付けるね。」


そーまの顔を見た瞬間、誰だか解らなかった。


「そーま…だよね?」


「うん…ごめん。ありがとうね。もう大丈夫だから」


どう見ても泣き腫らした顔。今もひくひくしてる…


「そーま。ご実家で何かあったんだね。」


「……」


「話せ…ないよね…」


「大丈夫。俺は大丈夫だからさ。」


「大丈夫になんて…見えないよ…」


胸が締め付けられる。


いつも明るくてみんなに気を使ってくれてるそーま。


一生懸命働く、そーま。


美味しい料理を作ってくれる、そーま。


そんなそーまが、迷子の子どもみたいに泣きじゃくってる。


気がつけば、私はそーまを抱きしめていた。


そーまは大きな声で泣いた。


何があったかわからないけど、辛かったんだよね。


いつも我慢してばかりいるから爆発しちゃったんだよね。


良いよ。私が全部受け止めるからさ。いっぱい泣いてね。


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