五話
かくして、半年ほどが過ぎた。何度も陛下や側妃様、更には正妃様や王太子殿下などからも揃って注意されたのに、私への態度をあらためず、マリア嬢とさらに親密にするライル様。それを止めないばかりか、自分達も婚約者がいるのにマリア嬢とベタベタする側近候補達。周りから眉を顰められているのにも関わらず、ライル様達への接し方を改めず、成績も悪いマリア嬢。
学園内でも評判の悪い彼らに対して、卒業パーティーをまたずに、鉄槌が下される事になった。色々難航したが、私とライル様の婚約は無事に解消!私や我が家に責は無いと王家からも発表をしてもらった上に賠償金も貰った!良かった良かった!!
ライル様は継承権の順位をかなり下げられた上で暫く休学となった。再度復学出来るか、もしくは継承権剥奪の上で放逐されるかは、今後のライル様次第とのこと。まあ、あの性格や価値観を矯正できる見込みは低いから、後者になるだろうなぁ。
マリア嬢は、実家の男爵家に我が家や王家から抗議が行き、学園を退学の上、修道院送りとなった。せっかく特殊魔法持ちになったんだから、節度ある学園生活を送っていれば、将来は明るかったのに勿体無いな。まあ自業自得である。
あと、ライル様の側近候補達も退学の上、各家で処罰が降った様だ。驚く事に私の入学時にライル様の後ろでニヤニヤしていた奴。アイツがライル様に色々吹き込んでいた元凶だったらしい。我が家の分家の子息だったのによくもまあ……。
当の本人は勘当されて家を出されたみたいだが、それだけで収まるわけがない。その家は我が家の分家として名乗る事を禁じられ、商会からも爪弾きにされた。直ぐに立ち行かなくなって没落するだろう。可哀想だが、貴族の世界では厳しくしなければいけない事もあるのだ。
晴れてフリーになった私だったが、リンスの事で仲良くなった正妃様の紹介で、公爵家の三男にして婚約者に結婚間際で駆け落ちされてしまったという悲しい経歴を持つ、2つ年上の実直で優しい青年と再婚約した。
前世の知識を活かしつつ、様々な商品を開発し伯爵家を盛り立てる私と、実直に私を愛してくれて、時々暴走する私をやんわり止めてくれる優しい婚約者。悲劇の未来を回避して幸せを掴む事ができた!めっちゃ嬉しい!!
そんな日々を過ごしていると、私の友人の1人から驚く事を告げられた。彼女も実は前世の記憶を持っており、この世界は恋愛小説の世界だったと言うのだ!タイトルは《花の乙女と赤き王子の真実の恋》。内容は私が見た悲劇の未来のマリア嬢視点の内容だった。彼女はその小説を他の人から勧められて読んだが、あんまり好きでは無かったそうだ。
『だって、真実の恋とか言いながら、やってる事浮気だったもの。好きになれなかったわ』
『まあ、そうよね。私は未来の記憶として見たけど、あれどう見ても浮気よね』
『『真実の恋?ふっざけんな!ただの浮気でしょうが!!』』
そう2人で叫んだ後、顔を見合わせてプッと吹き出してしまった。
ここが小説の世界だろうと何だろうと関係ない!今が幸せなら万事オッケー!
完
セリフが最後にちょっとしか無いという、何とも言えない内容に……。
小説難しいですね。