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私は今日結婚する。
御巫伊零という男と。
結婚式まで顔を合わせたこともない。
興味もなかったから知らなかったけど、中性的な美しい顔立ちをしていてとてもモテそうな人だった。
「きっと君を愛することはないよ。それでもいい?」
チラッと流し見された。
これは愛のない結婚。
所謂、政略結婚。
「いいよ、別に。それに、もう引き返せないでしょ」
これから愛を誓い合うことになるけど、私達の間に愛なんてものはない。
だって、政略結婚だから。
愛なんてあるわけがない。
「なら、いいけどね。あ、もうそろそろだよ。行こうか、マイハニー」
「うん、分かったよ。腕でも組みながら行く?マイハダーリン」
彼に合わせてダーリンと言ってやった。
似合わなすぎて最早笑える。
「うん、そうしよっか。じゃあ、腕を組んで」
腕を組み、私は純白のドレスを身に纏って歩く。
煌びやかな光。
あぁ、ようやく私は月守から抜け出せるんだ……
そう思ったら、嬉しくなって笑った。