9 数の感覚が違う
今、とある作品に2万字の加筆をしてる。
締め切りはまだだいぶ先だけど、ちょっと焦ってる。
なぜなら連載している『海辺の町で間借り暮らし』と『スープの森』はリアルタイムで物語が流れているから、間を空けたくない。
間を空けることに関して誰も文句を言わないけど、この季節ならではの話を書きそびれてしまうのがもったいない。
だが猫とも遊ばなくてはならないし草むしりは待ったなし。
焦る。
お向かいのおじいちゃんに庭のことを気づかれた。
「どうした? 庭、今年は雑草生えてんな」
「心の余裕がないの」
「除草剤使わねえのか」
「使いません」
「こだわりか」
「こだわりです」
あとね、田舎暮らしをしてから知ったけど、このあたりではみんな家庭菜園をやっていて、「○○食べるか?」「わあ、嬉しいです!」という会話のあと、キュウリ、ナス、ピーマン、ほうれん草、大根などがレジ袋の大きいやつにぎっしり詰められ、渡される。
「いえ、3個か4個あればもう十分ですから」
「3個ってことはないだろうよ。いいから食べな」
となる。そして毎食ナス料理ピーマン料理ほうれん草料理になる。
もちろんありがたくいただくけど、ご近所の90パーセントくらいを占める後期高齢者夫婦の家ではどうやってこの量を消費しているんだろう。
謎だ。
お花好き同士で会話して「スノードロップの球根いる?」「いります!」とやり取りしたあと、数個いただけるのかと思ったら、でかいポリバケツごと30個とか渡される。
思ってたんと違う。
という毒にも薬にもならない文を書いてないで加筆しなくては。
今、山桜のさくらんぼが道路にいっぱい落ちていて、その話を『スープの森』で書きたい。書かねば。
まずは締め切りがある加筆作業からだ。
ではまた。