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85 目と耳に入らなければ
「その人の人となりを知りたいときは、相手のSNSをずーっと遡って見ていくと、わかるね」
「当たり前じゃん」
「違うよ。本音を上手く隠している人でも、長く遡って読んでいくと、どこかしらに本音が出るんだよ」
「たとえば?」
そこから色々と教えたもらったのだけど、私の言葉で台無しに。
「そこまで時間と手間を使ってまで、その人が隠している本音を知りたいと思わない。他人の本性にも本音にもそこまで興味ない」
「そういうとこだよ、あんたが愛想悪い、社交性ないって言われるのは」
言わせておけばいいじゃないの。
興味がない人に陰でなんて言われても、私の耳に入らなければ、その陰口はこの世に存在しないのと同じ。
世界中の人に愛されようなんて恐ろしいことは思ってないもの。
好きな人に嫌われなければそれで十分よ。
と、歳を取ってから思うようになった。
若い頃はそう思えなくて苦しんだけど。




