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猫デコ  作者: 守雨


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50 アーサーの気持ち

昔ね、過労で何度も倒れているのに頑張っていた時期があってね、今思えば「無事之名馬」ってことが全くわかってなかった。自己評価が低い人間が陥りがちな状況に、鼻の下までどっぷり浸かってた。

頑張って頑張って、這ってでも前進することが尊いと思い込んでいたわけ。


そんな『いつ倒れて迷惑かけるかわかんない必死な人』より、『多少手を抜いていてもコンスタントに働ける人材』の方が組織としては必要だし助かるのに。

若いころの私は、それに気づいていなかった。

昭和の猛烈サラリーマンみたいな感じに働きまくってた。


まだ二十代だったけど、そのうち体が悲鳴を上げるのは当然のこと。


原因不明の40度超えの熱が、毎月のように出てた。

原因不明の酷い腰痛、腹痛、背部痛、頭痛、吐き気、悪寒。

もうさ、原因はストレス一択なのに、敢えて気づこうとしない私がいたの。


私が脂汗流して苦しんでいるし熱もバンバン出るから当然、病院は検査しまくる。

でも何も出ない。血液検査も尿検査も、レントゲンもエコーも全部正常。

だから診断書を書いてもらうこともできず、働き続けたんだけど。


ある日ね「もう頑張れない。このまま頑張ったら、私、きっと心が死ぬ」と思って、退職届を出した。

傭兵を辞めたときのアーサー(スープの森)の心境はこのときの気持ちです。

退職届を見た責任者は驚愕の表情。

そりゃそうですよ。昨日まで馬車馬みたいに働いてた私がいきなり「辞めます」って言うんだもの。


歯を食いしばってキリのいい時期まで待ってから退職したから誰にも迷惑はかけずに済んだけど、あれはギリで危なかったなと思う。もう、何も考えられないほど疲弊してた。

芸能人が唐突に自死するニュースを見聞きするたび、あの時の私だって下手すると危なかったんじゃないかと思う。


退職して半年とか一年とかすぎたら、目から鱗が落ちた。疲労が取れたんだろうね。

「誰にも頼まれてないのに、なんであそこまで頑張ったかね? 私間違ってた」って。


そのあとね、「それ、どういうこと? それを退職した私に頼むの?」と驚くような内容の電話が職場の先輩からかかってきたんだけど、長くなるからこの話はそのうちに。(忘れなかったら書く)


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