42 立ち合い測量で知った話
この家に住み始めて三か月くらいしてから、立ち合い測量をしました。
仲介業者のルールでした。
我が家の敷地に隣接している六人の地主に立ち会ってもらい、境界を確認してもらい、菓子折りを持ち帰ってもらう内容です。
そのとき知ったのですが、我が家と東隣の境界が登録上の境界よりだいぶずれていました。
我が家の敷地が登記簿上よりもかなり広いのです。
大きなコンクリートブロックで一段高くなっている塀は、「他人の土地に食い込んでいます、その分、東隣の土地も東側にずれこんでいます」と言われ、本当の境界には測量をしてくれた人の判断で金属のラベルがコンクリートブロックに貼られました。
悩んだ末に弁護士さんに相談したところ「時効取得」といって、今の土地は我が家のものだと言われました。
「長年にわたり、境界を越えて塀が作られていたのに、地主はなにも手を打たなかった。結果、あなたの土地になりました。ただ、登記上の名義は変えられません」
そういう実にすっきりしない結論です。
その話を近所の親しい奥さんに話したら、「ああ、〇〇さん(我が家の前の持ち主)は土地の広さに執着していたからね」と。
その奥さんの土地と我が家の土地の境界杭を、前の持ち主のご老人は引っこ抜いて木を植えて自分の土地のようにしていたとか。
「うちも測量を入れて新たに杭を打って訂正したんだけど、『ここは俺の土地だ』って譲らなくて大変だったのよ。裁判を起こしてくれても結構ですよ、といったら大人しくなったけど」
この家を建てた方は65歳でこの土地を買って注文住宅を建て、80歳を過ぎて亡くなったのだけど、そんな年齢でも「少しでも土地を広くしたい」なんて欲望があるものなんだなと、そっちのほうが驚きでした。
てか、西部開拓の世界じゃあるまいに、「木を植えたら俺の土地」「塀を建てたら俺の土地」って、どういうことだよ、とむしろ亡くなったご老人に興味が湧きました。
そして、そんなことも全て知らん顔で、この土地を売った不動産会社の担当者(60歳ぐらい)は、これがもう、絵にかいたようなダメな人で、その後、警察や弁護士を巻き込むような大騒ぎになる事件があったのですが、それはたぶんここには書けません。残念。
世の中には、こんなクズがいるんだなと驚いたけど、その不動産会社社員は、今どうしているのかしら。。。




