24 今日に限って
無念なことがあった。
郵便局に転居届をだしても、たしか期間は2年間。期限が切れたタイミングで『高校の同窓会』名義の手紙が前の住所に行ったらしい。無念第1弾。
そこに同じ苗字の人(ありふれた苗字なので)が地続きで住んでいるので、配達の方にしてみれば実にややこしい状況なわけで、誤配も起きる。
お電話をいただいたので「その手紙は、高校の同窓会からではなく、委託を受けた名簿制作会社からなのです。高い名簿を買ってくれというセールスの手紙なので、気にせず捨ててください」とお願いしたけれど「そうじゃない手紙だったら俺の責任になるから取りに来て」と断られる。無念第2弾。
片道1時間かけてダイレクトメールを取りに行き、「お手間を取らせました」と謝り、菓子折りを手渡す。ここまで4回もやっているので流れるような手際で終わらせた。
「ではこれで。ご連絡をありがとうございました。ご迷惑をおかけしました」
「せっかくここまで来たんだから上がってお茶でも」
「いえ、忙しいので」
「そんなこと言わないで。俺もいつあの世に行くかわかんないんだから」
そのパワーワードを出されたらさすがに断れず、「ではお仏壇にお線香をあげさせてください」と。
仏様と私は仲が良かったので、おうちに上がってお仏壇の前に正座しようとしたら……。
右腿の裏が攣りましたw 無念第3弾。
「いたたたっ」
「なにっ? どうした?」
「脚が攣りました」
「いい、いい、チンて鳴らしてくれたらお線香はいいから」
はー。無念だ。無念すぎる。腿の裏なんて、初めて攣った。流れるような大人の対応をして終わらせたかったのに。
その後、その方の入院治療遍歴を四十分ほど笑顔でうかがい、「おだいじに」と伝えて帰宅。
帰り道、運転しながらユーミンの『DESTINY』の売りフレーズ ♪どうしてなの、今日に限って、安いサンダルを履いてた♪って箇所を歌いながら「やっぱりユーミンは天才ね」と再確認。
私が若い時にさんざんマウントしてきた人の前で足が攣る喜劇w
最後までちゃんとした大人として振る舞いたかったのに。今日に限って腿裏が攣って仏壇の前でコロンと倒れてしまった。
無念だった。




