22 人生の皮肉
瞬間キレキレマンの伯父さんがいました。もう鬼籍に入っています。
その伯父さんが人生の終わりの方で何度も私たちに言っていたのが「胃ろうはよく考えてからにしろよ」でした。
(伯父さんの妻=伯母=私の母の姉)が脳内出血で倒れたのは四十代でした。
伯父は医師に「胃ろうをしますか? 一度設置したら外せないので、ご家族でよくご相談ください」と言われたのです。
数日前までと何も変わらない外見の伯母のために、伯父は胃ろうを「もちろんお願いします」と申し出て、その先が予想外の展開でした。
伯母はまだ若くて心臓が丈夫だったので、そこから17年間、胃ろうで生き続けました。
伯母は家族のことも見分けがつかなくなりました。
おしゃれだった伯母が老婆のような姿で、ただただベッドの上で目を開けて生き続ける姿を見て、母はお見舞いに行くたびに「地獄ね」と毎回泣いていましたっけ。
あの伯母の姿が忘れられず、私は保険証の裏に「延命措置は望みません。臓器は全て提供します」と書き込んでいます。
健康志向だった伯母は倒れる前、私たちに食の大切さを説いていて、偏食が酷かった私の母はいつも叱られてました。
叱られていた私の母はクモ膜下出血を乗り越え、末期の癌もさほど進行せず、今も生きて人生を楽しんでおります。エグザイルが大好きです。「男くさくていいわよねー」とか言って。
人生はそんなもの、皮肉なもの、ということを私は伯母と母から学びました。
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なぜ胃ろうを外せないのかについては、詳しいことはここに。
PDFなので、スマホで読めるかどうかわからないからタイトルも書いておきますね。
『医の倫理の基礎知識 2018版 人工栄養、水分補給の維持と中止』
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/member/kiso/c03.pdf




