225 マイ フレディ!
アメリカのテレビ番組で、いろんな分野の達人に競わせるのがあるでしょ?
ガラス工芸、お菓子、パンとかで点数をつけて、足切りしていってチャンピオンを決めるアレ。
日本でも似た番組があるけど、参加者の雰囲気が全然違う。
あちらの番組の参加者は、もう、競争心がむき出しで、見ていてたまに(あっ)と目を背けたくなることがある。
審査員に注意された人が「私の意図が全然理解されていないわ」と文句を言うし、チーム戦で仲間が失敗した時にかばう人もいるけれど「(あの人の失敗のせいで)思うように実力を出せなかった」とシビアに言い切る人もいる。
アクの強い参加者がいる回は、しんどくなって見るのをやめちゃう。
日本人だと、そう思ってはいても「口に出すのははしたないこと、みっともないこと」として言わないでしょう?
ま、そういうところが「日本人は口と腹の中が違う」と言われる理由なんでしょうけど。
その手の競い合う番組を見ていると思い出すことがあるんです。
私の店のお客さんで、旦那さんの赴任で長いことイギリスで暮らしていた方に聞いたお話。いろいろお話をしてもらったけれど、その中でも忘れられない話が2つ。
「日本人とは違うなあと思ったのは、学校で頻繁に催しがあるんだけど、イギリスのお母さんてすんごい大声を張り上げて『マイ、フレディ! 天才! もう最高!』とか言うのよ。とにかく我が子を褒める。謙遜なんてしないの。我が子に関しては謙遜する習慣が無いんじゃないかな。日本人の親たちはみんな引いちゃうんだけど、あれはいい影響を与えるかもね。子供の自己肯定感が高くなりそう」
もうひとつは。。。
「イギリスの水道水って硬度がやたら高いのよ。だからヤカンの中が鍾乳洞みたいなことになるの。最初はびっくりしたわね。でも、紅茶の味はいいのよ。紅茶は硬度が高い水の方が美味しくなるんだと思う」
ヤカンの中が鍾乳洞…想像がつかない。どんな? つららみたいのができるわけ?
テレビ番組で猛烈に強気な発言をする参加者を見るたびに、『マイ フレディ! あなたって天才ね!』と叫ぶ母親の姿を思い浮かべます。
(そうやって育てられたんかな)と思うのです。




