20 wikiじゃない
いっとき、コメント欄で「事実と違う」「歴史と違う」という指摘を受けて、神経質になっていたころのこと。
とある編集者さんに作中の説明がくどいと指摘された。
「この説明は不要ではないですか?」
「正確に表現しないとコメントで書かれちゃうから、つい」
するとその編集者さんが一瞬間を置いてから注意してくれた。
「守雨さん、読者は面白い小説が読みたいんですよ。wikiを読みたいわけじゃないんです。書き手が読者の感想に左右されるのは危険です。全ての読者が気に入る文章なんか、この世にはないんですから。守雨さんが書きたいことを書くべきです。大ベストセラーを出している作家にだって、アンチはいるんです。小説を書き始めたばかりの守雨さんがコメントを気にしちゃだめです」
このときの「目から鱗」感、半端なかったです。
そうだよねえ、エンタメ小説で、しかも異世界ですよ。
なぜ異世界を舞台にしたか、そもそもの理由を考えてみろよ自分、ですよ。
現実の動植物の性質や分布をがっつり正確に書くことにエネルギーを使って、細部まで正確さにこだわって、結果小説ががつまらなくなったら、書く意味がないよね、と思いました。
なるべく見当はずれなことを書かないように努力はする。
けれどコメントで批判されるのを恐れて本当に書きたいことが書けなくなるのは、違うと思うようになった。
感想欄でわちゃわちゃするの、楽しかったけどね。




