180 色に出にけり
古い友人は国文科の出で、結構頻繁に「それは色に出りけりよ」と言う。
「相手にあなたの本音は伝わってるよ。気をつけな」と忠告してくれるわけ。
本来の「色」は恋愛感情を指すから微妙に使い方が違うような気がするけど、問題ない。
なんでこんな話を思い出したかというと、もうかなり前のことなんだけど、とある趣味の集まりでエリートビジネスマンさんと知り合いになった。
その人はSNSをやっていて、本人に教えてもらって見てみたら、その界隈では有名な人だった。
私は頻繁にそのSNSを読んでいたんだけど、ある日「うそぉ……」って思った。まさに友人が言うところの『色に出にけり』だった。
とある趣味で時間・手間・お金・知識を総動員させて、エリートさんが趣味の品を完成させたのだけど、その日のSNSの最後に今後その作品のメンテは奥さんがやるとサラッと書かれてた。いつもそうしている、と。
「は? 怖っ」というのが最初の印象。
創造的で楽しいところは夫がやり、称賛され、面倒で単調で誰にも褒められない管理作業は妻がやる。
「それ、妻が自主的に手を挙げた? 妻が断れない状況で『やっといて』って言ってない?」と思いながら読んだ。もしかして一事が万事そうなのでは?と勘繰った。家の中に上意下達の構図ができてるのでは?と思った。
ちょいちょい「そんなことまで専業主婦の奥さんにあなたが指示してるの?」と思う内容も書いてあった。台所のことまで口を出されたら、専業の奥さんは立つ瀬がないだろうなと思いながら読んでた。
それから二年後くらいかな。共通の友人から「あの人の奥さんはマンションの中で絶対に旦那さんと顔を合わせないようにして暮らしているんだよ。もう何年も」と聞いた。
よくよく顔も見たくないけど離婚する勇気も出ないんだろうなと思った。しんどいよね、双方。
そんな息苦しい生活をしている間にも、砂時計の砂は落ち続けてるのに。
SNSは『色に出にけり』。Xもインスタも投稿者の本質が濃く滲み出る。
そう、『猫デコ』にも私の本音が「色に出にけり」(ΦωΦ)
「これで読者さんに嫌われるかもね」と思いつつ、それでも書かずにいられない。
書いて発散してるんです。




