↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/88

70.異世界三大便利機能ですよね

 突然だが、異世界転移もののラノベで、あって嬉しい特典は、と聞かれたらどう答えるだろうか。

 俺なら、翻訳、ステータス、インベントリを挙げる。中でも翻訳は必須に近いと思う。

 幸いなことに、俺はこのうち翻訳については苦もなく取得できている。ステータスについては、この世界の仕組みがゲーム的でないので、要らないと思う。

 残る希望は、インベントリだ。確かに圧縮袋という便利魔道具がある世界だが、袋の口に入るサイズしか入れられないし、収容容量が意外と少ない。それと、買うと高い。


 まぁ、作れば良いんだけど。

 既製品の圧縮袋は魔石を使わない魔道具なので、体内魔素がない俺には仕組みからカスタマイズする必要がある。なので、どうせカスタマイズ必須ならもっと俺らしく手を加えて、何でも入る大容量インベントリにしてしまおうと企んでいるわけだ。


 長期休暇明けの教室は、休暇中の情報交換で騒がしかった。中でもホットな話題は、王都のあちこちで目撃情報の相次いだ、ドラゴンの襲来だ。

 目撃された日時やドラゴンの大きさや色、手に何かを吊り下げていた、というところまでは一致した情報だが、大型の魔物だったとか大岩だったとか、持ち物については推測の域を出ないようでてんでばらばらなので、そこまて細かくは見えていなかったようだ。まして、背中に人が乗っていたとは見えなかったようなのも幸いだった。

 もちろん俺たちは、王都にいなかったため見ていない、と口裏を合わせてある。まさかそのドラゴンと毎晩じゃれてるとも言えまいよ。


 そんな教室で俺はひとりでノートに向かっている。魔道具作成は基本的に放課後に自宅でやっていたのだが、流石に難しくて頭が今これでいっぱいなんだよな。


「どこに詰まってるんだ?」


 俺をひとりで放置してくれていたはずの代表格の声が降ってきて、声の元を見上げる。

 前、席の持ち主が他の友人と話している。

 右、誰もいない。

 左、誰もいな……え?


「ぶっ! ちょ、こっちだこっち!」


 ポンと両肩を叩かれて振り返る。背後にいたらしい。


 俺の肩越しにノートを覗いたエリアスは、うーん、と唸った。


「やっぱりよくわからないなぁ、魔法陣」


「そう? 条件分岐しかないし単純だと思うけど」


「しか、って何だ。もっと複雑になるのか」


 まぁ、俺も高校でプログラミングの授業があってやっと理解できたのが実情だけどな。小1の頭でプログラミングのアルゴリズムとかなんて分からないって。


「で? どこに詰まってるの?」


「んー。全部?」


 問題点はどこかと言われれば、全部の機能に渡ってあちこち問題なんだが。

 インベントリってのは、たくさんの機能を備えた複雑な仕組みの倉庫だ。そもそも物をしまうという機能をメインとして。たくさんの物をどこかに保管するとか、しまったもののどれを取り出すか選ぶ方法とか、自動並べ替え機能なんかあったら便利だし。


 全部って、と復唱して突っ込んだエリアスは、それなら、と解決方法を提案してきた。


「機能がたくさんあるならさ、まずはそれぞれ別々に作ってみたら? 一番大事な機能は?」


「物をしまう機能?」


「だろ。なら、まずは1個しまえるものを作ってみなよ。体内魔素を使わない、ってだけで大発明なんだからさ。一個ずつ解決したら良いんだ」


 1個の物を体内魔素を使わず拡張空間にしまう魔道具、か。それならなんとかなるかも。


「それとさ。ドラさんに相談してみな。圧縮袋もそうだけど、どういう原理でしまえてるのか、知ってる必要があるんじゃない? 使う方は知らなくても良いだろうけど」


「圧縮袋の原理、か。そうだね、確かに。なんでこの記述で圧縮できるのか謎過ぎだったんだ」


「ほらな。そこ、根本だろ」


 なるほど、その通りだった。

 とすれば、今はこれ以上悩んでも時間の無駄だな。


 で、だ。

 エリアス以外はエリアスの席近くに集まってわちゃわちゃしてるんだが。


「それで、エリアスだけ何でこっちに来たんだ?」


「そりゃあ、悩んでるリツが心配だったからね」


「さっきまで放っておいてくれたのに、何で今?」


 昼休みにはみんなで食堂に行くんだから、心配はその時でも良いだろうに。もうすぐ朝のミーティングも始まる時間だし。

 問い詰めれば、やっぱり別の理由があったようで、ついと目を逸らした。


「うん、まぁ、あれだよ。向こうでヘリー改造計画始めてな。女性のファッションとか分からなすぎて逃げてきた。そういうのはドイトが得意なんだ」


「ヘリーの改造計画?」


 ボクっ子ヘリーくんとして完成してると思うんだが、あれのどこを改造するんだ。


「やっと恋愛に本腰入れる気になったみたいでさ。あれ、リツの影響でもあるんだぞ」


「ん? 俺?」


「そう。リツってヘリーを普通に女の子扱いするだろ。僕たちだと付き合い長すぎてそういうところ気遣ってやれなかったからなぁ」


「あれ? 俺、ヘリーに好かれてる?」


「大丈夫。男として認識されてない。せいぜい弟?」


「それはそれで複雑なんだけど」


 そんな、はっきり否定しなくても。まぁ、俺としてもヘリーは頼れる仲間のひとりでしかないけど。


「じゃあ、誰か好きなヤツいるんだ?」


「あれは恋愛なのか憧れなのか、僕にはよく分からないけどな」


 あれ、と指示語で言える程度には分かりやすく相手がいるのか。全然気付かなかったけど。誰だろうな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。