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4.文明レベルが高いです

 地球基準な俺から見ると中世かなと思える政治形態だけど、文明レベルは中世どころか現代地球と競うほどだと思う。

 例えば、さっき翳されたハンディスキャナみたいなもの。


「さっき先生が持ってたあれ、なんですか?」


「持ってた。あぁ、医療用投影機のことかな。身体の内側を透かして見るための医療機器だよ。骨折や筋肉の断裂から内臓の病巣まで確認できる。といっても見ての通り小型だから医務室レベルの簡易用だけどね」


 つまりそれは、レントゲンとかCTとかそういう類の機械だった。そういう機械が活躍する医療技術レベルなのだということも同時にわかる。

 他にも、室内を見回せば、丸椅子もクルクル回る俺にも馴染みのある椅子だし、何台か並んだベッドや用意された寝具、ベッド毎に分けて閉じられるカーテンとか、俺にとって違和感なさすぎる。

 石油製品は無いのか、プラスチックっぽい素材の物は今のところ見てなくて木製や金属製が多いけど、その加工技術は非常に高度だと思う。地球の工業技術なんて俺も詳しくはさっぱり分からないけど、日本ならプラスチックで作りそうな物が木製だったりする。たまに、どうやって削ってるのか分からないものもある。

 総じて、遜色ない、どころか、地球負けてないかな、くらい。


「どういう仕組みで身体の内側を透かして見られるんですか?」


「うーん。おおざっぱに言うと、対象範囲の魔素配置を投影してるんだよ。魔素っていうのは、世界のあらゆる事象を構成する基礎子でね。その配置結合の仕方によって色々な物体を構成してるんだ。その魔素は特定の電波に反応するから、その反応を使って読み取って投影するわけだね」


 それは、分子、いや、イオンとか電子とかそういう小さい単位のお話ですかね。へぇそうなんだ、としか返せないです。理系ムリ。


「ふふ。ちょっと難しかったかな」


「はい。お手上げです」


 降参して両手を挙げたら、それはこの世界で降参を意味しないようで、ニコニコのまま首を傾げられたけど。


「他に、質問はあるかな?」


「はい。俺はこの後どうなるんでしょうか」


「んー。そうだね。決めるのは学院長だからまだ分からないけど、学院内で起きた不祥事の犠牲者であることは確定だし、最低でも学院の責任で当面の生活補償と独り立ちまでの面倒は見ることになるんじゃないかな」


「元の世界に帰ることはできませんか?」


「どうかな。超古代文明のほとんど眉唾と云われている技術の再現に巻き込まれたと考えると、そもそも超古代文明で帰す方向の技術があったのかどうか、その技術が書かれた文献があるのかどうか、その辺の調査からになるだろうから、結論を得るにも時間がかかるんじゃないかと思うよ」


 それは、検証実験の基になった文献にドンピシャで記述があれば可能性も上がるけど、そこに無かったらほぼ絶望的ってことか。

 そもそも俺的には、眉唾と云われている超古代文明とは何ぞや、ってところからなんだが。


「望み薄なんですね……」


「残念だけどね」


 はぁ。ガッカリだ。


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