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21.戦闘訓練の授業もあります

 6時限目は事前に聞いていた戦闘訓練の授業だ。日本の高校に当てはめると、柔道の授業とかその辺かな。

 貴族の人々は支配者階級として君臨する代わりに有事の際には真っ先に戦力として出兵する義務を負っており、無条件で学院に入学できるのもその兵役に就いた際の戦闘能力を育てるため、という名目がある。

 実際、王都の背後に聳える山脈から魔物が溢れる事態が発生すると、冒険者よりも先に家長だとか後継者だとか関係なく貴族家の男たちが徴収されるそうだ。

 つまり、この戦闘訓練の授業には未来の自分たちの命がかかっているわけで、貴族の子どもたちは平民より真剣だ。


 各種武具それぞれの取り扱いや基本的な動き方は初学院で習っているそうで、授業時間が始まる前からみんなそれぞれに得意な武器を手に基本動作のおさらいを始めていた。

 授業では大怪我防止のため木製の武器が使われる。大きさ様々な木剣はもちろん、穂先にクッションを付けたたんぽ槍に、鏃のない弓矢、斧なんかもあった。

 俺が使い慣れているような木刀はないのだが、幅広の片刃の剣ならあった。サーベルの一種かな。


 用意されている木製武器は授業中はどれでも使って良いそうなので、遠慮なく拝借することにした。

 戦闘訓練の授業については、俺の持つ武技は一切隠さず披露することで仲間内で一致している。魔術が使えないから物理戦闘力を育てた、といえば、どれだけ強くてもやっぱり弱くても、不自然ではないらしい。

 日本の剣術がこの世界にどこまで通用するのか。ちょっと興味もある。まぁ、俺なんて道場では並みの力しか無かったくらいのレベルだけどな。周りの門下生たちは現役警察官ばっかりみたいな中での並みではあるぞ。


 軽く柔軟運動で身体をほぐし、十分なスペースを確保して、剣を手に脱力。足を踏み出し踏みしめて、脇構えから。うちの流派で主流の演武の型をゆっくりなぞっていく。

 しばらく動いていると、ヘリーが近づいてきたのに気づいた。剣が届かないくらいの距離で立ち止まり、目が合った俺にニコッと笑う。

 演武の途中で一時停止。


「集合?」


「うん。パーティー戦の演習だって」


 あっち、と指差された方に、それぞれ集まりつつあるのが見える。ゆっくり身体を戻して、ヘリーの隣に並んだ。


「迎えありがとう」


「うぅん。リツくん、すごく綺麗な剣を使うんだね。踊ってるみたいだった」


「武闘は舞踏に通じるそうだよ。まぁ、創作小説の中のセリフだけど」


 いや、そりゃそうだよね、とは思うんだけど。今やってたのは武道というより剣舞に近い。通じないなら奉納演武なんて存在できないよ。


「パーティーはボクらのところで良いかな?」


「うん、もちろん。お世話になります」


「ボクは後方支援担当で、物理戦闘はさっぱりだから。頼りにしてる」


 ついでに、集合場所に向かいながら、みんなのパーティー戦での役割分担を教えてもらった。

 ヘリーは優しい性格らしく、回復と補助の魔術担当。潜在能力は高くないが細やかで器用なタイプ、らしい。細やかで、と自称できるほどだから、本当に細かいところまで目が行くのだろう。

 同じく後衛の火力担当がエリアス。わかる。すごくわかる。大規模魔術とか平気な顔してぶっ放しそう。

 エリアスが魔力を練る時間を稼ぐ、みんなの壁役をしているのが、ドイトだ。武器もデカい盾がメインで、サバイバルナイフ的なゴツいナイフを盾裏に何本か予備に用意しているそうだ。

 最後に、エイダ。彼は中距離牽制および斥候担当だそうだ。フィールドワークで使っているのは個人でカスタマイズした機械弩で、連写ができる高性能武器なんだとか。対人なら銃も使うらしい。この世界、銃あるんだ。授業では自分の武器が使えないため、弓を使用とのこと。

 あれ。つまり。


「物理火力いないの、もしかして?」


「そう。いないの。だから、リツくんに期待大」


「責任重大じゃん」


 おっと。方言失礼。思わず出たよ。


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