メロスのばか!
私は激怒した。
今日、太宰治の「走れメロス」を読んだ。
ストーリーを簡単に説明しよう。
その国の王は暴君で、多くの臣下や国民を処刑していた。
なんでも王は、人に対する信頼を忘れ、裏切られる恐怖に怯えていたのだ。
それを知ったメロスは、王の住む城に一人で飛びこみ、王に怒りだす。
すぐに捕らえられたメロスは、処刑が決まってしまう。
しかしメロスは妹の結婚式に出るため、王に三日間の猶予を懇願する。
それを許されたメロスは、親友を人質に城を出、走り出した。
何度も悪魔のささやきに苦しんだが、メロスは城に戻ってきた。
人質である親友と抱擁を交わし、自分を処刑しろと叫ぶメロスを見て、王は人を信じることの大切さに気付く。
メロスは許され、王は改心し、国は平和を取り戻して物語は終わる。
私が言いたいのは、「メロス、ばか過ぎないか?」ということだ。
まず、王にキレて無計画に城に押し入るところがおかしい。
作戦をたてたらどうだ。
次に、親友をすぐに人質にするところ。
ためらいもなくその名を挙げるのは、違和感がある。
そしてメロスは、結婚式の後に寝過ごした。
いや、走りまくれよ!
結局メロスは、約束の時刻ぎりぎりまで全力疾走する羽目になる。
もう一つ、人質となった親友もちょっとやばい。
メロスが帰ってくるまで、「どうせ帰ってこないさ。」と馬鹿にする王に、「メロスは帰ってきます。」と言い続けるのだ。
その確固たる信頼は、どこから来るものなのだろうか。
王も、かなりやばい。
裏切られるのが怖いからと、妹や皇后、臣下や息子までもを処刑した。
王にいったい何が起きたのだろう。
ここまでメロスたちにたくさん文句を言ってきたが、最後に言いたいのは、
「メロス、大好きだ!」というメッセージだ。
人間不信の王に、メロスは一番正しい選択で向き合ったと思う。
自分の信念に誠実に従い、王の政治を変えるために走った。
もちろん、「頭使おうよ!」と突っ込みたくなるところもあったが、がむしゃらに、素直に、王との約束を守ろうとする姿は格好良かった。
メロスの嫌いなことは、嘘をつくことと、人を疑うこと。
王とは正反対の考え方だ。
この考え方をしている現代の人間は、少ないのではないだろうか。
私もメロスのように、いや、もちろん頭を使いながら、己の軸にまっすぐに向き合える人間になりたい。