5 鬼畜外道のライム
※この物語は不定期投稿です。
お知らせです。この話で三人称から一人称にします。正直VRもので三人称って誰かが遊んでいるのを遠目から見てるような感じがするのと人間性を出すためです。
まぁライムを示す言葉が「ボク」になったり、文中にあった()が地の文に入ってライムがお喋りになるだけです。
あと今回残酷な描写がちょっと発動するヤバい回となります。
今回は戦闘回……これ戦闘なのかなぁ。
8/21『深夜テンションで色々とおかしかった文章の修正』
『兎が色々可哀想だったので文章を加筆』
『【Tips】がなかったので追加』
11/6『狂鬼の下方修正』
── 始まりの町エイネル ハエリア商業区 ──
◇
組合を出ると組合に所属している店に向かっていた。受付嬢クレアから教えてもらったのだが冒険者は組合所属店だと商品の割引やサービスが受けられるらしい。
「組合から出て、右手に真っ直ぐ……」
そこから5分ほど歩くとショッピングモールを想起させる大きいと思っていた組合より巨大な建造物が立っていた。
この商業区は元々他の場所に比べて背の高い建物が多かったがこのショッピングモールは群を抜いている。
近場には周囲の建物に駐車場のない代わりなのか、パーキングエリアまであり、いくつかの馬車と馬ではない生物が引率する馬車もあった。
「でっか!? てかこれ色々とおかしいだろっ! 確実に五階はあるぞ……」
ショッピングモールをよく観察してみればコンクリート造りでガラスを多分に使用している言わば近代風建築なのだが中世西洋風の建築と妙に合っていた。これが職人技なのだろうか。
店内に入ると冷房が効いていた。これ自体は別にいい、魔道具で簡単にできることで過去作にも出ている。
てか、ほぼ現代人のイメージするショッピングモールとか、この世界の建築技術だけ突出しているような気がする。
ボクは入り口の近くにあったパンフレットを手に取り、近くの椅子に座る。
ファンタジーはファンタジーでも“最後の”が語頭に入るのではないかと思わなくもない。
このショッピングモールは冒険者総合組合の所属組織の一つであるガバレ共同商店組合が運営する大型複合商業施設ニューパレスというものなのだとか。
ニューパレスはガバレ共同商店組合に所属する商店が店を出しており、50という2ページに及ぶ店舗数を誇っている。
また階数毎に出ている店舗が決まっているようで一階は青果市場と精肉市場が集まっており、一部には料理店もある。
二階は日用品などの手に取りやすいものからブランドものの服やアクセサリーなどが売られている。またフードコートもあるらしい。
三階は魔道具なのだが一言に魔道具と言っても手のひらサイズから建物に匹敵する大きさのものまであり、込められた術式も術の数だけあるためすべてのエリアを使い尽くしている。
四階は冒険者組合所属店だけあり、冒険者専用コーナーとなっている。例えばポーションや魔物避けと言った薬品や武器防具などが売られているのだが不思議なことにスーツ専門店がある。
五階は高級指向と言った店が多く、別のページに商品の値段があったのだが八桁は超えていた。
もうこのショッピングモールだけでこの町は回せると思うほどに必要なものを集めました感がある。
関係ないけどニューパレスって名前のそういう系のお店ありそうだよね。ショッピングモールなのにそれでいいのか。
「んと、薬は四階か」
パンフレットを折り畳み。エスカレーターに向かって歩く。
「今さらだけど人多いなぁ」
ショッピングモールらしく人はかなり多く休日並みにはいる。また獣人やエルフ、ドワーフ、他にも種族問わず来ているようで近代風の建物にファンタジーな存在がいるというギャップでちょっと頭が混乱している。
その後、人混みをかけわけてなんとかエスカレーターに乗ることができた。
◇
──始まりの町エイネル前 春風吹く草原──
買い物を終えると町の外に来ていた。今回買ったのは下級ライフポーションを四つと丈夫な縄だ。合計で七百五十ギルかかったのが割と痛い出費。
目的の物を買った後はショッピングモールを探索していたのだが魔道具コーナーが面白いものが多く、つい見て周り、気がつけば一時間もすれば日没と言った時間である。
──フィールド《 春風吹く草原 》に到着しました。
「へぇ、春風か。確かに気持ち良い風が吹いてるねぇ」
強い風で髪があおられるのを抑えつつ、辺りを見回すが思ったよりは人が少ない。まあ夜になれば魔物が凶暴な種類になるから当然か。
ふと草むらを見ると草と同化している若草色のウサギがいた。このゲーム定番の魔物であり、マスコットキャラにも採用されている草原兎くんである。
獰猛ではないのだがこいつ、割と食えないやつなのだ。人に近づくとその可愛さで魅了し、隙を突いて奇襲する。さすがに人を殺すほどの威力は持っていないが気絶はするため、そのうちにアイテムや食料を奪う憎い野郎だ。
ボクも初心者の頃、何度こいつに騙されたことか。
もし恨んでいる魔物はと聞かれれば大抵がグラスラビットと答えるだろう。このゲームのマスコットでありながら最もプレイヤーに恨まれている存在だといえる。
野生のくせにモフモフの毛を撫でてみると「ラビッ〜」とウサギらしからぬ鳴き声を漏らす。
抱き上げても逃げるなどせず大人しい。この純粋そうなくりくりの目の奥では獲物が引っかかったとか考えてるんだろうな。
「…………」
「ラビッ?」
くりくりとした目に可愛らしい見た目、抱き抱えても暴れない大人しさという人気が出る要素を兼ね備えたあざとかわいいウサギを注視しているとウサギの頭に何か表示される。
〈 草原兎 : レベル0 〉
「ん? あぁ《 研究心 》のパッシブ効果か」
「ラビッ」
ついでに解析をしておく。魔物相手には初めてだからね。
《 研究心 : 解析Ⅰ 》
数秒もすれば解析結果が表示された。
〈 草原兎 : レベル0 〉
【種族】草原兎
【状態】なし
【弱点】物理、火 【耐性】
【無効】 【吸収】
『詳細』
草原を生息地とするラビット種。
モフモフとした毛並みと可愛らしさから絶大な人気を誇る動物だが冒険者からは嫌われている。
その可愛らしさで人を騙し、気絶させアイテムを盗んでいく可愛らしさとは無縁の性質を持っている。また肉食の魔物がいた場合、危険性が増すためグラスラビット絶滅計画が何度か発案されている。
敵対すれば果敢に自分より強い者にも立ち向かっていく勇敢な兎と一般人は思っているが性質は全くの逆、強者に媚を売り、簡単に裏切る小物である。だが肉食獣にとってはただの餌なのですぐに狩られる。
肉は柔らかく鶏肉を思わせる淡白な味で美味しいため、一部の地域ではグラスラビットを飼育し、高級肉として販売している。
「食われとる……」
「ラビッ……?」
食えないやつが食われているとか衝撃なんだけど。
ちらっとウサギを見るとこちらを見るくりくりな目と目が合う。なんとなく腰に差したアイアンダガーを見せびらかすとふるふると震え出し、まるで「倒さないで」と懇願するかのように目が潤んできている。
「へぇ……」
撫でてみると殺されないと思ったのか気持ちよさそうにラビラビ鳴き出す。
このウサギ、中々に策士だ。もし初心者がこのウサギに出会ったら簡単に騙されるだろう。
「ラビィ……(くかかっ、ナイフ見せられた時はどないなるかと思うたけどワイの可愛さには勝てなかったようやな。いや人間は馬鹿やなぁ、腹の下になに隠してるかわからん魔物を簡単に抱え込むんやからな。あぁ、このまま騙して奪いたいわ。服は論外やけど革の鎧とナイフは中々の業物や。是非巣に飾ってやりたいわぁ。こんなん人間が持ってええもんやない、ワイのようなラビットの中のラビット、キングラビットが持ってええもんやからな。素直に渡してくれへんかな)」
などと考えているかはわからないがろくでもないことを考えている気がした。
油断している今が丁度良い。ゆっくりとウサギを降ろそうとする。
「ラビィ?(なんや? もうええんか。もっとワイのプリティでもっふもふな毛並みを触ってもええんやで? キング、いやゴッドといっても過言じゃあない毛並みを触らんのは今だけ堪能しときぃ。その隙にワイ自慢の蹴りを食らわせたらからな)」
「ふっ!」
油断していたグラスラビットに全力で膝蹴りをぶちかます。
「ッブラ゛ァビィィィ!?(痛ってえええ!? はぁ? はぁ? 己何しとんねん。ワイを、ワイを蹴りおったな! ラビッ父さんにも蹴られたことなかったのに!)」
膝に叩きつけるようにして蹴ったため、あまり吹き飛びはしなかったがダメージは与えられたようでHPは残り半分を切っていた。
「ラ、ビッ……ラビィ!(ぐぅぅ、痛い……ええわ、ええわ。そないなことするんやったらワイにも考えがある)」
膝蹴りを食らったグラスラビットはふらつきながら体制を整えると何が起こったか分からない顔をしていたが状況に気が付いたのか、怒ったかのように地団駄を踏む。
これだけ賢ければ仲間に出来そうだけどいつ裏切られるか分かったものじゃない。
「ラァビィィ!!!(食らえや下等生物! ラビットトルネードキィィック!!!)
ウサギというだけあり、発達した足を使ったステップは空いた距離をすぐさま詰める。
驚異の跳躍力で果敢にもドロップキックを放つ。
確実に初心者ならば食らってしまう一撃だ。
だがボクは迫る脚を掴むとグラスラビットの勢いを利用しながら回転し、地面に叩き付ける。
「ラビッ!?(何ぃ!? ワイ、必殺のラビットトルネードキックが防がれた!?)」
意表を突かれたグラスラビットは抵抗することもできず、地面に叩きつけられた。骨が折れる音がし、グラスラビットの表情が苦痛に塗れる。
「ビ……ィ……(こんな……ところで負ける……なんて……ワイの、ナイフが……がくりっ)」
「よし、終わった」
やっぱ序盤の雑魚敵といえばグラスラビットだ。倒すとTRPをやっているなと実感できる。
グラスラビットが光となって消えたことを戦闘終了と判断したのか、インフォメーションが流れ始める。
──アイテム《 草原兎のもも肉 》を二個入手した。
──経験点を5点獲得した。
──称号《 初めての戦闘 》を取得。経験点を5点獲得した。
──称号《 初めての不意打ち 》を取得。経験点を5点獲得した。
──称号《 突然の裏切り 》を取得。経験点を5点獲得した。
──称号《 外道行為 》を取得。経験点を5点獲得した。
「何気にインフォがディスってくるのひどくないか? いくらなんでもあの程度で外道とは呼ばないだろう」
あの程度、大抵のTRPプレイヤーならやる行動だ。溜まった鬱憤を晴らすかのようにグラスラビットを殺戮する姿は珍しくないからね。
ちなみに称号とはその者が何をやったかを示すもので取得すると経験点が貰えるというボーナス的なものである。
たまたまグラスラビットが目に入ったので近づいていくとピクッと耳を震わせると一目散に逃げていってしまう。
どうやら見られていたようだ。あいつら仲間が倒されているのを見ると逃げる特性を持っているのだ。実に面倒なルーチンだと思う。
その後も最初のグラスラビットから離れた場所にいたグラスラビットに近づくも、何故か逃げられてしまうのでグラスラビット狩りは断念することにした。
多分だがボクを見かけたグラスラビットが忠告したのだろう。どうせなら奴らの前でグラスラビット肉を食べてみたかったのだがそれはまた今度やることにしよう。
ふとゲーム内時間を見てみると一五時半を指していた。日没が確か一六時くらいだから三十分はいける。
「ちょいと奥の方にでも行ってみようかな」
気軽な感じで奥に歩いていくと若草色の猪を発見した。どうやらこちらには気付いていないようで呑気に草を食べている。
いくらボクが隠密技術を常に使っているとはいえ、野生動物が気付かないのはどうなのだろう。グラスラビットは気がついたのでかなり呑気な性格なのだろうか。
「……あれは多分草原猪かな」
《 研究心 》のパッシブである名前看破が弾かれたのでアーツを使うまで名前がわからない。
《 研究心 : 解析Ⅰ 》
そういえばグラスボアを見るのは初めてかもしれない。他のボア種は見るのだがもしかして固有種なのだろうか。
折角だし、仮称グラスボアくんを実験台、もとい協力者となってもらおうか。
ボクの友人の一人にスパイや工作員してた人に教えてもらったステルスの為だけに覚えた隠密技術を活用すれば簡単に近づける。
ちなみにこの隠密技術、音や気配はともかく不思議なことに臭いも消すことも可能なのだ。ボクの才能的にやろうと思えば出来なくもないがかなり面倒なのに何故か簡単に出来てしまった。
またこの隠密技術を使っていると熱源センサーも動感センサーの反応も悪くなり、異能や異才を探知するPSI探知機も反応なし。
メディックも検査してくれたのだが観測不可能な不思議パワーによってボクの存在自体を覆い隠すということまでは分かったが後はお手上げ状態という不可思議な技術である。
ボクがしたいことには仮称グラスボアは殺してはいけないので目を突き刺すのはなしだ。
考えた末、行動不能にしたいので足の腱を切ることにした。そうすれば少なくとも逃げることはなくなるだろう。
距離を縮めると同時に、鞘からアイアンダガーを抜剣する。腰を落とし、仮称グラスボアの後ろ足を両足とも斬り裂く。
「ブ、ボア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!?!?」
急に奔る痛みに仮称グラスボアが悲鳴をあげるが、まだ終わらない。勢いを殺すと、暴れようにも後ろ足に力が入らない仮称グラスボアの前足も斬る。
「ボァ゛!?」
「いやぁ、うるさいね」
仮称グラスボアの汚い鳴き声に思わず耳を塞ぐ。
同時に解析結果が表示される。
〈 草原猪 : レベル0 〉
やはりグラスボアで合っていた。このゲームは割と単純な名前が多いからわかりやすくて助かる。まぁ一部オリジナルのモンスターは凝ってるのだが。
〈 草原猪 : レベル0 〉
【種族】草原猪
【状態】部位破損(腱)、混乱、出血
【弱点】斬、火 【耐性】
【無効】 【吸収】
『詳細』
春風吹く草原の固有種。
硬いものに突進していく性質があり、防壁保護のため、町などは防壁の素材に獣避けの魔術を付与しなければすぐ崩落するほどに石頭。
肉は豚のような味でありながら脂がさっぱりとしていて美味である。
またその性質故に頭蓋骨と牙が頑丈なため、様々な道具に使用される。
「やっぱ食べられるんだ……」
世知辛いねぇ。まあそんなことはどうでもいいのでやりたいことをやってしまおう
まずはまだ暴れているグラスボアの顎下を蹴り飛ばして意識を飛ばす。
ちなみにこれはナイア神父という人に教えて貰った意識を飛ばす技である。コツがあれば割と簡単に意識を飛ばせるが下手をすれば殺してしまうので注意が必要だ。
状態異常に気絶が追加されたことを確認すると「鮮血月輪熊も縛られちゃう」が宣伝文句の丈夫な縄で暴れられないよう関節と首を動かさないよう硬く縛り上げる。
後は下級ライフポーションを一本取り出して一滴ずつ出血の原因である四足にかける。
掛けた部位が淡い緑色に輝き、回復が始まる。見た目上は分からないが表示ではちゃんと消えている。
「さぁてと、楽しい楽しい実験タイムの始まり始まり」
ボクがしたかったのはスキル《 解体 》の習得である。色々やりたいことはあったのだがそろそろ資金不足になりそうなのでその解決策として本来なら残らない死体を死体として残す《 解体 》が必要だったのだ。
《 解体 》がないと素材だけ残して消えてしまうからもったいないんだよね。代わりに相応の技術がなければ使えない手ではある。
《 解体 》の習得方法は組合の解体場で仲良くなって教えてもらうか、お金払って技術を教えてもらうかの二択。
仲良くなるまでに所持金が尽きる気がするので前者はなし、後者は三万ギルなんて大金持ってないので選択肢から外れる。
どうするか悩んでいるときに殺すと消えるのなら生きたまま解体すればいいじゃないという発想が出てきたのだ。
「我ながらサイコパスみたいな思考だな」
まあ気にしてはいけない。これがマッドでクレイジーだと言われてもグラスボアくんはボクがこの世界を満喫するために致し方ない犠牲となるのだ。
余談はここまでとして早速解体作業を始める。
アイアンダガーで肉を切らないぎりぎりまで刃を入れると長方形に切っていく。そして肉と毛皮の隙間に刃を入れて剥げば簡単に毛皮が取れた。
このグラスボアくんは斬撃に弱いから簡単に切れる。まぁボクの腕と業物なアイアンダガーで成り立っていることではあるのだろうが。
横腹部分の毛皮を取ると同時に余った初級ライフポーションをぶっ掛ける。緑色の光が迸ると出血は収まったがまだ足りないようで2本使って、やっと新たな毛皮が生えてきた。
何故か回復したはずのグラスボアのHPが減っているが原因がわからないので放置する。
ちなみにこのゲームのライフポーションは対象のMPを消費して回復するというタイプなので実験台のMP切れでこの実験は終了する。
「一度ストレージにしまって、っと」
この回復の感じだと肉を取ってポーションをかければ肉が取れるということができそうだがもう先人は試しているようで結果は無理。
ライフポーションは魔力を吸収し、回復力を異常なまでに強化するものである。残念ながら栄養までは補ってくれない。
先程回復したときにHPが減っていたのは筋肉がタンパク質が足りないとき、筋肉を溶かす自食作用別のように何かで補っているのだろうという説もあるが明確な理由は分かっていない。
ひっくり返して同じ作業をしたのだがポーションが足りなかったため解体作業に移った結果、グラスボアはモツを取り出したところで無数の光となって消え去った。
耐えた方だろう。この肉はボクが責任を持って処理しよう。
「ふぅ、思ったよりも長丁場になったな、さてそろそろ来る──」
──アイテム《 草原猪の毛皮 》を二個入手した。
──アイテム《 草原猪のバラ肉 》を三個入手した。
──アイテム《 草原猪のヒレ肉 》を入手した。
──アイテム《 草原猪のモツ 》を入手した。
──アイテム《 草原猪の魔石 》を入手した。
──経験点を5点獲得しました。
──称号《 不可視の襲撃者 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──称号《 繊細な狙い 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──称号《 狂気の娘 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──称号《 鬼畜行為 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──称号《 慈悲者 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──称号《 必殺解体人 》を取得。経験点を5点獲得しました。
──特殊スキル《 狂鬼 》が習得可能です。
──スキル《 解体 》が習得可能です。
──スキル《 解剖学 》が習得可能です。
──スキル《 狂気耐性 》が習得可能です。
──スキル《 弱点看破 》が習得可能です。
──スキル《 短剣技 》が習得可能です。
──パラメーター《 技力 》がレベル2になりました。
──パラメーター《 速力 》がレベル2になりました。
そして戦闘が終わったと判断されたのか、怒涛のインフォが届く。
「──かな……多くない?」
とりあえず整理していこう。
まず称号から一部は何となく分かるから良いとして《 狂気の娘 》は生きてる生物を解体しようとしたからだろう。ボクだって生きてる生物を解体しようとしたら狂っていると思う。《 鬼畜行為 》はその副産物だろう。
そして《 慈悲者 》はこれは敵対してる生物を回復したからとかだろう。
《 必殺解体人 》は単なるネタ枠である。
次はスキルである。
特殊スキルとアナウンスされた《 狂鬼 》がかなりひどい性能をしていた。
《 狂鬼 》
パッシブ:討伐時にバフ(攻撃力+1、影響力+1)が50%の確率でかかる。また効果時間は10秒だが殺すごとに10秒延長される。
『解説』
狂った人は鬼へと至る。強者をどんな手を使ってでも殺し、生き血を啜る。それこそが我らの生き甲斐なり。狂い鬼に敵は無し。
敵の少ない序盤やボス戦ではあまり役に立たないだろうが雑魚戦や集団戦においては正しく無双できるスキルだろう。
取り敢えず手に入れた経験点を使い、《 狂鬼 》《 解体 》《 解剖学 》《 弱点看破 》を取っることにした。
他は五点だったのだがまさかの《 狂鬼 》だけ二十五点という高さだった。特殊スキルという特別性が故だろうか?
気がつけば日は暮れてもう辺りは真っ暗になりそうである。できれば町の宿にでも泊まりたかったけどこれは無理そうだね。
TRPの仕様として異邦人は合計六時間は眠らなければ《 寝不足 》という強制的にパラメーターをレベル0にする凶悪なデバフが掛かってしまう。
そうなれば町の外に出るだけでHPがゼロなので死ぬという某貧弱な探検家も真っ青な状態になる。
対抗策はログアウトすることで異邦人はログアウトしている間、異界の眠りに着くという設定があり、寝ている判定になる。または宿屋など安全な場所で寝ることである。
とは言っても一日三時間ログインしなければいいだけなのだが。
宿屋などで寝ると《 快眠 》という満腹度が減りにくくなり、スタミナが回復しやすくなる状態になれるだけなので所持金が少なければログアウトを使えばいい。
門が閉まるぎりぎりに駆け込み衛兵さんに怒られるというトラブルがあったものの帰りは何事もなく町に戻れた。
「ま、そろそろ現実でも夜中だし、ログアウトしようかな」
ボクは一旦、ログアウトすることにした。
以前メディックに「昼飯も抜いていたのに夕飯も液体完全食(点滴みたいな感じのやつ)で済ます気ですか」って怒られて流石にそれでまた怒られるのは勘弁だからね。
──ログアウト処理完了。お疲れ様でした。
【Tips:称号】
戦闘、生産、修行など条件を満たせばありとあらゆることで手に入るトロフィーです。特殊な効果はありませんが経験点を一律5点獲得出来るため積極的に狙って取ることをおすすめします。
また称号は「【異邦人】佐藤太郎」のように名前の前に着けることが可能です。
何だこの狂気の娘は……。
生きた動物の毛皮を剥ぐとか恐ろしい子……まぁこの狂気というか、好奇心というか、残虐性はライムの過去によるものなので仕方ない……仕方ないのです。
ちなみにソロモンとダイアにも割と暗い過去があるというね、でももう既に解決したことなのでちょろっとしか出ないと思います。
グロい描写は書けないので大丈夫です。
……仮にそういうシーンがあったら前書きに注意喚起しときますので
次回はリアルパート。多分来週には投稿します。
〈異界渡りの服装【普通】〉
攻撃力:0 影響力:0
防御力:0 抵抗力:0
耐久:00/00
重量:1
補正:なし
『解説』
異邦人が身に付けているだぼっとしたダサい服装。
決して壊れないが防御力がなく、ダメージが直で来るため、早めに変えた方がいい。
また何も装備していないと何処からともなく現れ、服を装備すると消えるという不思議な力が働いている。
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
【ライム】
【経験点】20
【所持金】5250ギル
【特殊スキル】
【狂鬼(討伐する度にランダムバフが付与される)】
【知識】
【解剖学(解体などに補正ボーナス)】
【スキル】
【手技Ⅰ(手に関する行動補正)】
【研究心Ⅰ(名前を見破ることがある)】
【精霊術Ⅰ(精霊術による魔力消費低下)】
【解体Ⅰ(討伐時に死体が残る)】
【弱点看破Ⅰ(相手の弱点を見破る)】
【アーツ】
【手技:魔力放出Ⅰ(武器の保護や能力上昇)】
【研究心:解析Ⅰ(時間をかけて情報を読み取る)】
【能力パラメーター】
【HP(21/21)】
【MP(10/10)】
【SP(6/10)】
【EP(19/35)】
【総合力(7)】
【筋力(1)】
【体力(1)】
【魔力(1)】
【技力(2)】
【速力(2)】
【攻撃力(25)】
【防御力(20)】
【重量制限(8/10)】
【ストレージ(8/10)】
【ユニオンカード×1】
【丈夫な縄×1】
【草原兎のもも肉×1】
【草原猪の毛皮×2】
【草原猪のバラ肉×3】
【草原猪のヒレ肉×1】
【草原猪のモツ×1】
【草原猪の魔石×1】
【装備】
【武器:アイアンダガー(25)】
【防具:レザーアーマー(20)】
【服装:異界渡りの服(0)】
【称号】
【初めての戦闘】【初めての不意打ち】【突撃の裏切り】【外道行為】【不可視の襲撃者】【繊細な狙い】【狂気の娘】【鬼畜行為】【慈悲者】【必殺解体人】
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