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10 図書館



※この物語は不定期投稿です。


 まだエタってません。そのうち別作品に浮気しますがエタりません。

 筆が遅いのは設定がどんどん湧き出てくるせい。




【 6月3日(風) 11:01 】

【 始まりの町エイネル / 東時計塔広場 】



 ミズチとの模擬戦(あそび)後、ボクは広場に戻って来ていた。ボクがログインした深夜とは違い、荷物車や人々が活気に溢れており、ベンチには子供たちが戯れている。

 深夜とはまた違った顔を見せるまだ見慣れぬ町は、旅行好きなボクにとって何とも言い難い感動をくれる。


「ふむ、どうしようか」


 正直言ってボクに計画性なんてない。基本行き当たりばったりなのだけれど何故かそれが人との繋がりとなったり、面白いことに繋がるのだから不思議である。

 それはそれとして目標の一つ、精霊術はミズチとの模擬戦(あそび)で鍛えればいいし、生産にでも手を出してみようかなあ。


 ボクの生産知識はリアルのも含めれば薬学、毒性学、調合、銃器作成くらいかな。薬学や毒性学、調合はアサシン的に覚えた方がいい気がしたので勉強した。結局、あまり使わなかったんだけどまぁ少しは役に立っている。


 銃器に関してはナイア神父が旧式の実弾銃を持っていた。何故持っているかについては教えてくれなかったがそれを分解しては組み立てを繰り返した結果、だいたいの銃の構造、弾の作り方、火薬の調合も分かるようになった。

 ハッキリ言って現代で第二次世界大戦ぐらいに作られた銃器は電子分解エネルギーシールドで消滅するから意味ないんだよね。だからナイア神父も持ててるんだろうし。

 教えてくれたナイア神父曰く『最新兵器より、長年信頼されてきたものの方がイイデス。特に奴らを相手する時は下手な魔術より使いやすいので』とのこと。

 まぁなんで銃器を持ってるかはさておき、そんなわけでボクは作ろうと思えば銃器を作れてしまう。

 多分きっとおそらく近代くらいだと思われるこの世界ではまだポンプアクション式の火縄銃モドキくらいだと信じるとすればフルオートのハンドガンやショットガンは通用するだろう。魔物に通用するかどうかに目を逸らせば……。


 気を取り直して、折角なので新しく生産を始めてみようかと思う。仮に銃工をするならば鍛治、金属細工はあった方がいいだろう。まぁ売ったら術よりも簡単に人を殺せる弾丸が飛び交う世界になってしまいそうなので売れない。

 まぁ銃は冗談としても鍛治というのは生産としては中々王道ではないだろうか。ツテもあるし、アリかも知れない。

 取り敢えず図書館で色々調べてからにしようかな。

 ある程度指標を決め、立ち上がるとマップに従い、図書館へ向けて歩き出した。



 大通りを抜け、しばらく歩くと実に目立つ銀の時計塔があった。太陽の光に照らされ、眩く目を焼いてくる自己主張の激しい建造物とマップを往復して確認するがマップ上では確かに図書館と表記されており、どうやら間違いではなかったようだ。


「……図書館という静謐な場所にしてはどうも自己主張が激しい」


 もう少し静かにならなかったのだろうか。そんなことを考えながらもボクは塔の中に入っていった。

 内部は外とは違い、白銀に輝くなどと言う事はなく、目に優しい木材が使われた、いかにも図書館と言う場所だった。しかし普通の図書館というにはいささか変である。

 まず外の見た目と内部の広さが一致していない。余裕で体育館は超えているだろう。高さについては中央が吹き抜けとなっており、最上階まで見えるのだがあまりにも階数が多くて数える気になれない。

 次に本が物理法則を無視して飛び交っており、某魔法学校を思わせる風景であった。また塔と言う形状も図書館としては不合理であり、それもおかしいと思わせる点である。

 前者二つに関してはまだ魔術を刻み込んだと言うことで納得がいくが形状については疑問が残り、むずむずして少し気持ち悪かった。


「そう言えばソロモンはいるのかな……いや、アイツは絶対居るな」


 何せ無類の読書家なんて自称する程に本が好きな人種である。

 軽く辺りを見渡してみるが特徴的な厨二臭い軍服姿は見えなかったのでおそらく別の階にいるのだろう。

 そのままエントランスから図書館に入ろうとすると死霊術で作られたであろう出来の良い金属製ゴーレムがすっ飛んでくる。

 目の前に来たかと思えば触手のようなものが伸びてきてボクの腕輪に触れてきた。思わず悲鳴をあげそうになったがすんでのところで抑え、ゴーレムがやっていることを観察する。

 よくよく見ると魔法陣的なエフェクトが浮かび、その中には魔術、精霊術、聖神術、陰陽術、降魔術、仙術、死霊術、錬金術の八大術法を表す文様が入っていた。数秒でゴーレムの作業は終わり、改めてウインドウが開く。

 どうやら腕輪が図書館用にアップグレードされたらしい。まず基本的な機能はついているらしく、蔵書検索機能や本の呼び出し、入館料を自動支払いしてくれるものまである。

 すっかり忘れていた入館料は1000ギルで何とか所持金内に収まっていた。もう財布はほぼ空っぽだし、組合の仕事を受けないとなぁ。もしくは野性的な生活でもやってみようか。

 なんとも素敵な思案をしていると一瞬視線を感じたかと思うとソロモンから着信が来た。


「この電話は電波の届かない場所にいるか、電源が入っていません。ピーッという音の後に」

『古いわっ。そのネタ知っているやつなんぞ自然派か、暇人くらいだぞ』

「でもソロモン知ってるじゃん」

『まぁ、そうなのだが……いや、そうではなくてだな』

「んで要件は? さっきの視線もソロモンでしょ?」

『……あの術は相手に悟られないよう使った監視魔術なのだが、相変わらず人間辞めているな』


 いや最新AIと将棋して勝った人間に言われたくない。それでソロモンの要件とやらは術の媒体に使いたいアイテムがあるけど図書館から出るの面倒いし、そだ暇してそうなライムに頼もということらしい。

 いや暇してるけどさ。ダイアもいるし、知り合い結構居るだろうに……まぁやるけどさぁ。


「そのアイテムって?」

『春風吹く草原を超えた先、朝露の森の朝限定で取れる“朝の草露”だ。容器がないと取れないから小瓶でいいから持ってけ』

「んじゃ、明日か明後日くらいでいい?」

『ああ。報酬は3万ギルだ、頼むぞ』

「ほーい」


 金欠に陥りそうだったが早速金が手に入りそうである。取らぬ狸の皮算用とはいえ色々考えが膨らんでいくなあ。

 通信が切られると同時にソロモンからメッセージが届いた。内容は本の題名のようで精霊やら生産といったワードが見えるのでソロモンが適当に本を見繕ってくれたらしい。

 というかアイツに話してないのに、なんで生産してみたいって分かったんだ? まさか脳内盗聴されてる? ……頭にアルミホイル巻かなきゃ。

 冗談はさておいて長い付き合いだから何となく思考が読めたのだろう。ボクだって何となく分かるからね。


 フリースペースを発見すると蔵書検索からソロモンの見繕った本を呼び出すと、本がすっ飛んできて勝手に積み重なっていく。いやぁ便利だね。さぁ読書タイムだ。



 ◇──────◇



 精霊術を語る前に『術とは何か』について説明しよう。簡潔に言えばマナという無垢のエネルギーが感情や信仰によって変質して生まれた力の使い方、カッコ良く言えば人々の願いや想いが現実へと発露したということである。これを『魔法』という。

 魔法と術の差異は「それが誰でも使えるかどうか」である。体系化されて教えられれば誰でも使えるのかということだ。

 そのため今は八大術法と呼ばれている術も魔法と呼ばれていた。唯一の例外として魔術は最古の術と呼ばれて前提となる魔法は存在していない。それだけ人に使われて開発されていたということだ。


 また『精霊』についても説明する。

 精霊とは自然的な存在だ。あらゆるものに宿り、人に有益を与える人類の隣人にしてパートナー。

 彼らは生活のためならば木を樵ることを許し、人が丁寧に作ったものを愛する。逆を言えば彼らは必要外、ただムカついたから燃やしたでは済まない。

 無垢な子供ならば諭して許すだろう。しかしそれが知恵ある大人ならば決して許すことはない。彼らは自然の化身である故に自然の消費は許すが浪費は許さないのだろう。

 精霊は微小精霊と呼ばれる小さな力から生まれる。

 川があったならば川の精霊に、森があったのなら森の精霊に、時には概念や物にも宿る彼らは自然そのものと言っても過言ではない。ただ彼らも自我を持つためあまりにも敬られるのは気圧されるなどと言っている。

 自然災害ともなり得るが接し方を間違えなければ精霊は頼もしい味方となり得るだろう。



 さて話を戻そう。

 精霊術には3つの魔法が元となっている。

 精霊を敬い、力を借り受ける精霊魔法。

 両者の承諾で強制力のある契約を行える契約魔法。

 縁深きものを喚び出せる召喚魔法。

 精霊魔法があることで精霊を見ることができ、契約することで縁を結び、強き絆が共鳴して召喚する。

 これらが合わさり、精霊術は形を成している。

 故に精霊術は友情を司る術と言えるだろう。



 ◇──────◇



「……長ぇ」


 要約すると

 『術は魔法を誰でも覚えれるようにしたものだよ』

 『精霊は自然そのものだけど自然を貰うのは別にいいよ、でも意味なく壊さないでね』

 『精霊術は精霊魔法、契約魔法、召喚魔法で出来てる絆の術だよ』

 ということだろう。


 他にも契約するには一定以上仲を深める必要があるだとか、精霊以外とも契約出来る、上位存在の召喚には詠唱が必要だとかなんとか書いてあった。

 ゲームの知識を溜め込むのは好きと言えば好きなのだが何せ量が量だ。精霊術の本はそこまで分厚くはないのだが一章二章と続きもので最後の七章まで含めるとかなりの量になる。

 おまけに生産系の本も山積みなため、しばらく図書館に篭りきりになりそうだ。


 伸びをしながら箸休めに生産系の本を手に取る。まぁ読書は嫌いじゃないさ。幸いなことに時間はたっぷりとある。さて、明日には読み終えるのかね。



【Tips:エイネルの時計塔】

 エイネルには中央と東西南北、またその間。計9つもの時計塔が聳え立っています。

 昔はミスリル銀を豊富に含む土質だったためか、白銀に輝く塔が4本存在しており、観光名所として有名です。銀塔は空間拡張などが行われて内部は図書館、留置所などに改築されています。

 この塔は当初は中央塔だけだったのですが町の開発に伴い、増えていきました。

 またエイネルの町には塔に関する伝承が伝わっているようです。


 我ながら情報量が多い。


 よかったら感想や「ここおかしくね?」とか要望みたいなのを言ってくれるとうれしいです。感想が来ると投稿頻度が上がります()


 無駄に長くなるのでステータスは省略。

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