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プロローグ ~結果、熱が出ました

 その日と、それまでの日々との違いは何だったのかと問われると、その殆どは、数えあげるほどではなかった。



 早朝、滅多に人前に姿を現さないことで有名なスズリという薄紫色の小鳥が、窓辺に留まって鳴いていたこと。


 その鳥の歌うような鳴き声で、執事がカーテンを開けに来るよりもずっと早く、目覚めたこと。


 朝食のスープをおかわりして、家政婦長兼料理長から喜ばれたこと。


 手伝おうとして、ひっくり返したバケツの水を頭から被り、庭師に心配されたこと。


 メイドとともに落ち葉を掃いて裏庭をきれいにしたこと。

(夕食のあと、『バケツ』と『掃き掃除』の件で、がっつりと執事に叱られたことは落ち込んだけど)



 どれも、身体の弱いわたしには毎日出来ることじゃない。

 それでも、最近は調子が良い日が多くて、特筆すべき程の珍しい出来事ではなくなっていた。



「エリザベス様、おっしゃることの意味がよく分からないのですが、もう一度お願いできますか?」



 ただ一つを、除いては。



「わたし、悪役令嬢を目指したいから、ここで働いてくれてるみんなには暇を出そうと思う」




 わたしの身に起こったことは、決して、大したことではない。

 ただ、その日見た長い長い夢を、わたしは全て覚えていた。

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