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アウトローの下克上  作者: ありんこ
1/1

プロローグ


※この物語はフィクションです。

※基本、主人公の一人称視点です。




チロリン王国は東の人々から『蓮池の国』と呼ばれていた。


ーーー 一見、美しい花々が浮かび上がっているが、少し覗き込むと汚い泥が見える ーーー


蓮というのは泥沼に咲く花らしく、

この国の貧富を表す皮肉の言葉だそうだ。


事実、貴族や平民が暮らす明るい社会のすぐ横で、今にも倒れそうな子供や、裏社会の人間が住み着く黒い路地が見え隠れしている。



そんな路地にこの物語の主人公、テトラもまた暮らしていた。



テトラは少なくともここ3年、麻薬の売人をしている。


この世界の恩恵、耐性スキルが効かない薬なので、もちろん違法行為だ。


だがテトラが薬を売るのには理由があった。


簡単な話、両親も売人で1番金になるのがこれだからだ。


テトラの両親はテトラを酒瓶で殴ったり、首を絞めてくるような奴らだったが、テトラはそんな両親が嫌いじゃなかった。


生活をするために薬を売らなくてはーーーー


テトラは毎朝、そんな事を考えて目覚め、石段から起き上がる。そして、我が家のドアを叩いて『おはよう』を言い、薬の入った麻袋を持って行く。


夜中に母が詰めてくれている、大事な商品だ。


大通りに出て左に曲がり、しばらく行った噴水広場の横手の裏道。

そこがテトラの持ち場で"シマ"だった。


だがそれも、今日で終わりのようだ。



テトラは今朝、身体がふるえ、腕や足に赤々とした水袋ができていた。

不安に駆られ、ドアを何度も叩く。


怒鳴り声とともに現れた久しぶりの両親の目は、怒りから驚き、そしてゴミを見るような色に変わっていった。



そのあと覚えているのは口いっぱいの血の味だけである。


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