魔法の石を使ってみた
その後すぐ、黒さんは砦の奥にある動力炉に納められた。
動力炉っていうからどんだけ大きいんだろうと思ったら、郵便ポストみたいなのがポンと置いてあるだけだった。うん、魔法世界って不思議。
入れ方も簡単で、パカっとふたを開けて、中に入ってる古い石を取り出して、新しい魔法石を入れて、蓋閉めて終わり。うん、簡単すぎた。ほんとにポストだよ……。
それにしても簡単だ。誰にでも開けられそうだなあ。黒さん、盗まれないかしら?
「いや、誰でも開けられるってわけじゃないんだよ」
マー君がエスパーのように心を読んできた。
「顔に出てるからな。心なんて読めるか!」
もう読んでるとしか思えないよ!!心の声に対応すんな!
それはともかく、マー君の説明によると、動力炉は領主もしくはその許可を得たものしか開けられないとのこと。権利の無い人が開けようとするとバチッてなるそうだ。なるほど、だからこないだ石を触ってバチっとなった人を見てみんなびっくりしていたのね。
黒さんが入ると、今までしおしおと光っていた部屋が急に明るくなった。よく見るとポストがものすごく光っている。眩しい、というか目が痛い。出力強すぎじゃない?
「なんということだ!」
領主様は慌てたように近づき、ポスト、じゃない炉の棒っぽいところについているダイヤルを回している。
ダイヤル式なんだ、と変なところに感心していると、ゆっくりと光は弱くなり、暖かなオレンジ色になった。
「最弱でこの明るさとは……」
領主様、また目を丸くしている。
ここでエスパーマミもといマー君の解説が入った。
「俺が知る限り、今まで買っていた魔石は最大出力にしてもこれより弱い明りだったんだ」
「要するに常にフルパワーで使ってたと」
「そういうこと。ここの炉は領地全体に魔力を送る魔法石だからね。砦で使ってる奴の何倍も力がいるから常時最大だった」
「へー」
マー君によると、私の前にいた聖女様は去年他界したそうだ。
御年158歳。浄化しまくって体が綺麗だったのかもしれないけど、まあ長生きしたものだわ。
ちなみにここの最年長は222歳だそうで、一年が長けりゃ寿命まで長いのかと変な感慨を持った。
聖女様が亡くなって、作り置きの魔法石の在庫はまだあるけど心配ってことで聖女召喚したみたい。なのに失敗したので王都は大騒ぎらしい。
まあ、一応成功はしたよね。タイムラグと座標エラーがあったけど。
聖女が生きていると新しい聖女は召喚できないそうなので、見つかったら王都に顔出さなきゃならないだろう。楽しそうだけどタッちゃんやカッちゃん見てると楽しいだけじゃないみたいだしなあ。
ま、その時考えますか。
で、石の話に戻る、と。
「聖女様が亡くなって、魔法石は一気に高騰した。もともと安い買い物じゃないし、王族が独占販売しているのでここに来るのはかけらみたいなもばっかりなんだけどな」
「魔法石って聖女が作ったもの以外はないの?」
「あることはある。魔法石は瘴気が結晶化してできるものだから、瘴気の濃い一部の場所では結晶化することがあるんだ。魔法鉱山って呼ばれてる」
「じゃあ、聖女がいなくても大丈夫なんだ?」
「いや、それがそうでもない。鉱山の石は力の質が悪いんだ。聖女様の石だったら小指の先くらいの石で1年持つところ、鉱山の石だとこぶし大でも10日が限界だし、ずっと鉱山の石だと一年くらいで炉を交換しないと不完全燃焼起こして爆発する」
「なんと!?」
爆発とは穏やかじゃないな。
「まあそんなわけで、本当にメイが来てくれてありがたいし、魔法石を譲ってもらえてよかった。領民を代表して礼を言うよ」
こういうところマー君は領主様の息子だなと感心する。
そういえば、と浮かんだ問いを口に出してみた。
「砦で使ってる魔法石も危ないとか言ってなかった?」
「あ!」
その場にいた全員が固まる。
忘れてたんかい!
この人たちはまず危機管理能力を高めたほうが良いと思う私であった。
読んでいただいてありがとうございます。
切りがいいので短めですがアップしました。




