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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
ダンジョン編
87/181

84. 魔法展覧武会 1


 三月一三日赤曜日。

 オーラン魔法学校では全校集会が行われ、魔法展覧武会の特別選抜者六名、選抜者一四名、補欠五名の計二五名の発表が行われた。


 一位:セージスタ・ノルンバック(一A一組)

 二位:ミリアーナ・ノルンバック(四A一組)

 三位:ミクリーナ・ウインダムス(一A一組)

 四位:ロビナータ・ウインダムス(四A二組)

 五位:ライカ・ポラッタ(一A一組)

 六位:ルードティリア・ナルア・フィフティーナ(一A一組)

 七位:モラーナ・ポラッタ(三A二組)


 以下、選抜者には八位の生徒会長から始まって、その後は五年生が続き、補欠にもう一人四年生が入っていただけで、全て五年生だった。


 上位七位までが下級生に占拠され、五年生は複雑な思いで、とにかくざわついていた。

 否、一位に一年生だなんて、全校生徒がざわついていた。


 想定では五位と六位は五年生が入ると思われていたが、ほんの一週間でライカ、ルードティリア、モラーナの三人が急成長してしまった結果だ。


 また、一A一組とは何ぞやと思うのは当然で、休憩時間になるたびに、見知らぬ上級生が複数人で覗いていく。


 そのほとんどが、

「生徒会のミリアーナさんとロビナータさんは、優秀だって知ってはいましたけど」

「それより優秀な弟に妹って」

「ああ、あの二人が、そうですね」

「それと一緒なのが五位で、もう一人のエルフが六位ですね」

 などと駄々洩れの興味だけでなく、ぶしつけな憤怒や怒りの入り混じった視線を投げかけてくるから、居心地が悪いったらありゃしない。

 まあ、駄々洩れの噂のほとんどが女子生徒で、憤怒や怒りの多くが無言でにらむ男子生徒だったりするのだが。


 それが午後になると、

「一位のセージスタ君って、アイテムボックスが使えるんだって」

「レベル8の魔法が使えるって聞いたわよ」

「うっそー⁉ それおかしいでしょう」

「わたし、レベル10だって聞いたんだけどー」

「レベル10なんて、ウ・ワ・サでしょう。そんな人いる訳ないじゃない」

「ウソじゃなモーン」

「レベル8だって一流の冒険者でしょう。それだっておかしいじゃない」

「すごい一年生が入ったって噂あったでしょう。それがあのセージスタ君なんだって」

「そうなんだー。見た目普通なんだけど」

「うん、なんかキリってしない顔よねー」

 失礼な上級生である。

「なんでもあの四人とも身体強化まで使えるそうよ」

「うっそだー⁉ …って、それホ・ン・ト?」

「あの三人の女の子も、レベル3の魔法まで使えるんだって」

「そりゃー、身体強化まで使えればそのくらい当然かー」

「わたしはレベル4の魔法までって聞いたわよ」

「わたし、まだレベル2なんて使えないYOー」

「アンタはレベル1だって、まだまだじゃない」

「アンタだって似たようなもんじゃない」

「うっさいわねー」

「ねえ、どれがホント?」

「とにかく、すごいのよ!」

 と、どれが本当なんだか、嘘なんだか、よくわからない噂話的になっていた。

 一A一組か一Aに組に弟や妹がいれば、もうチョット正確なことがわかったかもしれない。

 同じ一年生に弟や妹がいたとしても合同魔法練習でも、練習内容が違えば接点はほとんどない。ましてやセージは図書館にいる時間が長い。

 それらが伝言ゲームのように錯綜した情報では無理のないことだ。

 それにしてもクラスの前だけじゃなく、学校中でもちきりの話題だった。


 ミリア姉も生徒会長にいろいろと訊ねらたり、それはロビンちゃんも別の生徒会役員からだがあったそうだ。

 時には何気ない会話で、先生にも訊ねられたりもしていた。


 三年生ではモラーナちゃんも質問攻めに有ったりしたそうだ。


 そんなこんなのうんざりする二週間が過ぎた。

 もちろんセージたちは、その間に魔法展覧武会の準備も行った。


 ダンジョンの情報は相変わらず遮断されたままだった。


 ダンジョンについてはエルガさんに訊いてもほとんど知らなかった。魔電装置(マジカルボルテックス)や魔石に関係することしか興味はないみたいだ。エルガさんらしい。

 リエッタさんはギランダー帝国のダンジョンに入ったことの話をしてくれたけど、ダンジョンはそれぞれがユニークで特殊だから、比較してみても参考になりません、という回答だった。


  ◇ ◇ ◇


 三月二四日黒曜日。

「今年も、魔法展覧武会を無事、開幕できました。

 皆さんは日ごろの成果をいかんなく発揮して、怪我の無いよう………」

 校長先生の挨拶に、大会責任者の魔法課筆頭主任のルデン先生の注意事項の説明、生徒会長の選手宣誓も終わって、大きな魔法学校のグランドで“魔法展覧武会”が開始された。


 一年生のクラス対抗団体競技:水水大戦争。

 一A一、一A二の二チーム、一B一、…、一B四の四チーム、一C一、…、一C三はまとまって一チーム、一D一、一D二もまとまって一チームの計八チームと、何故だか、僕・ミクちゃん・ライカちゃん・ルードちゃんの一チームで、計九チームの対抗戦だ。

 え、どうしてこうなった。


 水球大作戦。

 バトンタッチで二〇(往復四〇)メル先に置かれた円柱の水槽に水を入れる。

 要は競技をしながら魔法の成果を発表する場で、ここ数年競技名は変われど、内容の変化はない。


 円柱の水槽は大体五リットル~六リットル程度で赤いラインが引かれていて、そこまで早く水を入れれば勝ちとなる。

 上に巨大な如雨露(じょうろ)が乗っているから入れやすそうなんだけど、僕たちの水槽だけメチャクチャ太く、二〇倍の一〇〇リットルほど入るんじゃないか。


 観戦する家族が太い円柱水槽を見て、ざわつき出す。

 興味津々な生徒は「ありゃないわよねー」などと、楽しそうに囁きだす。


 魔法力のハンデとして一A一と二の二チームは走者が三人。四組あるBチームは四人、CとDの二チームは五人となって、バランスを取っている。

 僕たちの走者は一人で、距離が四〇(往復八○)メルだ。

 これを競うって、でも負ける気がしない。


 生活魔法“0”のリリッシュ(ごくごく少量の水)、“1”のバブリッシュ(ごく少量の水)。

 水魔法だと“1”のウォーター(水球)、“2”のビッグウォーター(大水球)などが水を出す有名魔法だ。

 ただし一年でも僕たちを抜かすと、ランクAだとバブリッシュやウォーターを使えるものは本の数人だ。


 魔法核と魔法回路が“1”になってない人がほとんどの一年は、できる魔法は生活魔法のリリッシュしかないし、それもあやしい人がいるくらいだ。

 魔法による洗浄効果に、わずかな水が出る程度だ。

 量は水魔法との相性だから何とも言えないけど二〇ミリリットル出せればいい方だ。少ないと数ミリリットルだ。

 バブリッシュだとそれが倍から三倍程度になる。

 ウォーターだとそれが五〇〇ミリリットルから一リットルとペットボトル(小)一個から二個程度なる。

 習熟度と相性でかなり増減するけど、三バカ筆頭のキジョーダンでペットボトル(小)一個程度だ。

 ビッグウォーターはその二リットルとペットボトル(大)程度の量だが、やはり習熟度で大幅に増減する。


 魔法総量とため込む水の量が合わないチームもあるが、そこは各人がリバイブウォーターの給水が二回まで許可されているし、体調管理の先生も付いているから心配無用だ。

 ここ最近の授業の中でリバイブウォーターの体験学習も済ませているから給水による魔法の回復も問題が無い。


「えー、注意事項・制限事項は、魔法レベル2までとします。

 判定の先生も付きますからズルはしないでくださいね」


 一年生の視線が一斉に僕たちに向く。

 レベル5のウォーターフォールのマシマシ一回で済んだのに。ま、いっか。効果マシマシの個人魔法もあることだし、ほかの手を考えよう。

 それに判定の先生って、僕たちのチームにしか必要ないじゃん。


 他のチームは一回全員が走った後だが、体調を見ながら走者を決められる。

 ただ、僕たちは決まった順番で、ぼくが四番目なのは決定事項なんだって。


「みんなやるわよ! オーッ!」

「「オーッ!」」

 こういった時には、戦闘意欲おう盛のルードちゃんが気合を入れる。

 ミクちゃんとライカちゃんが、それに応じてこぶしを上げる。

 僕の方をキッとにらむ視線×3。

「……オー…」


  ◇ ◇ ◇


『さあ、いよいよ一年生の全体競技の“水水大戦争”ですが、ルデン先生、どのような競技なんでしょう』


 生徒会主催の放送は少々前から開始され、グランドに流れている。

 MCは生徒会広報で五年生のマロンだ。

 お付き合いで解説するのは、大会責任者で魔法課筆頭主任のルデン先生だ。


『チームごとに分かれた競技者は、自分のチームの水槽の赤いマークまで、魔法で水をいかに早く入れるかを競う競技です。

 魔法を覚えたての一年生には大変な競技だと思います』

『そうなんですよねー。わたしも一年生の時にクラスメイトと一緒にヘトヘトになりながら水汲みした記憶がよみがえってまいりましたー。

 本当にキッツイんですよ。

 一年生の皆さん頑張ってくださーい』


『競技を説明します』

 とマロンんが新たまる。


『二つのAチームは一回の走者が三名、四つのBチームが四名、CとDの二チームが五名で往復四〇メルを走り、水槽に給水します。

 それをバトンタッチで交代して一番早く赤いラインまで給水したチームの勝利となります』


『特別選抜者チームの走者は一名で、往復八〇メルに約二〇倍の給水量ですから、わたしなんか想像もつかない量なんです。

 おっかしいですよね。わたしだったら、完璧に死にます』


『あと特別選抜者チームには制約があって、レベル2までの魔法しか使用できないんです。

 やっと不完全ながらもレベル2を放つことができるよになった、わたしには不要な制約なんですが。とんでもない一年生ですねー』


『えー、話は変わりまして、今年は特別選抜者に四名の一年生が入ったという、異例中の異例の年だそうですが?』

 マロンがルデン先生に訊ねる。

『それは校長、お願いします』


『それでは校長先生お願いしまーす』

『激動する世の中で、魔法界が大きく変わるんじゃないかと思っています。

 彼らの成長に期待しています。もちろん他の生徒も同様に成長を期待していますよ』

『校長先生、無難なご回答ありがとうございましたー』

 どうやら広報担当のマロン、物おじしないようである。


『それでは、あの太い(ブットイ)水槽に入れる、特別選抜者に四名のチームの勝算のほどは。

 四名が抜けた一A一の勝算は、大人数で臨むCやDチームの健闘など、いかがでしょうか』

『特別選抜者チームは予想が、まったくつきません』

『それは特別選抜者一位のセージスタ君の所為でしょうか』

『セージスタ君だけでなく、全員現状で上級魔法学校の受験資格をはるかに超える魔法の才能がありますからね』

 観客席にシートを敷いて座る様々な家族に動揺が走る。

 目を見張り、改めて四人に視線が注がれる。


『四人ともそれほどなんですかー?』

『あまり細かいことは言えませんが、とにかくものすごい才能の塊りの四人です』

『それではその他の予想は』

『走者数にハンデを付けているので、何処が勝ってもおかしくないですね。こちらも予想がつきません』


『放送席には、生徒会副会長で特別選抜者の四年生のミリアーナさんと、同じく生徒会会計で特別選抜者の四年生のロビナータさんにも来ていただきました。

 二人はそれぞれ、一年生の特別選抜者のセージスタ君とミクリーナさんのお姉さんでもあります。

 ミリアーナさんに伺いますが、セージスタ君の魔法の才能はどんなものでしょう』

『マロン先輩、私に聞かないでセージに聞いてくださいって何度も言いましたよね』

『まあ、そう言わずに。

 最初はミリアーナさんが魔法を教えたんですかー?』

『アイツは知らないうちに勝手に覚えてたわよ』

『あのー、そんなことってあるわけないですよねー』

『それがあるのよ。あの非常識には』

『ロビナータさんもそう思われますか』

 MCのワタシ、マロンが、手振りでトーンを落とすように指示を出すが…。

 二人は見ちゃいない。


『うん、あれは非常識。

 ミリアちゃんといつか二人でぶった切ってやるって頑張ってるけど、かすりもしないんだもの』

『ええ、身体強化をもっと上げなくっちゃっ』


『えー、姉二人のぶっちゃけ、過激な冗談はさておきまして、…(タラリと汗が)…ルデン先生、勝手に魔法を覚えるってあるんですか?』

『あり得ませんね』

『それはどうしてでしょう』

『魔法回路ですね。どこからかしら魔法陣を複写しなければ魔法を発動することができません』


『せんせー、それウソだー!』

 ミリアが突っ込む。

『どうしてでしょう』

 ルデン先生、チョット、ムッとしてイマス。

 ミリアーナさん、チョット止めて。


『だって、セージって五才の頃から自分で魔法回路作ってたもの』

『『……『えー!』……』』

 放送席近辺、および先生たちパニック状態。


「「……「えー!」……」」

 ぶっちゃけに、観客席に上級生など学校中騒然、愕然だ。

 パパとママが頭を抱えだす。


『…センセイ』

『…、えー、ミリアーナさん、セージスタ君は五才から魔法陣を自分で作成していたんですか…』

『ホント、何聞いても答えてくるしあったま来るったらありゃしない。

 魔法文字や魔法記号だってスラスラ答えるんだけど、こっちは判断できないっでしょう』

『センセイ!』

『ああ、すまん。

 えー、魔法回路に魔法陣を自作するのは、上級魔法学校を卒業して、研究所で勉強してからというのが一般的ですね』

『ということは、セージ君は五才の頃から上級魔法学校の卒業レベル以上だったってことですか』

『そ、そうなるかな。

 いやいやいや、あり得ませんから』


 パーン。

 響き渡る競技開始の音響魔法の音。


『各チーム、一斉に走り出しました。

 特別選抜者チーム早いです…えー』

『ミクリーナ、ミクね』

 マロン先輩の視線の問いかけに、ロビンが答える。

『ミクリーナさんも身体強化が使えるのでしょうか。

 あっという間に水槽に到着、ビッグウォーターも大きいですね。

 三リットルほどあるんじゃないでしょか。おどろきです』


『ほかのチームも頑張ってください。

 懸命に水を造り出す一年生は、見ていてほほえましいです』


『転んでも、メンバーに励まされながら立ち上がって、次のランナーにバトンを渡しています』


『早い、早い。

 特別選抜者チームの第二走者の…』

『ライカちゃん。ライカ・ポラッタちゃんね』

『そのライカさんですが、資料によると錬金魔法が得意だとか、綺麗な真ん丸なビッグウォーター。お手本みたいな魔法ですねー』


『情報が入りました。

 特別選抜者チームは一二〇リットルを給水するそうです。

 気が遠くなりそうです。

 その他のチームは六リットルだそうです』


『皆さん頑張って下さーい』


『特別選抜者チームはエルフのルードティリアさんです。

 こう見てると皆さん身体強化ができているように見えますが。ルデン先生』

『レベル1の細胞活性(アクティブセル)と、それの成りかけですね。

 練習のたまものでしょう。シッカリと使いこなせています』

『習得するには、どのような練習をすればいいのでしょうか』

『体内の魔素と魔法力を円滑にコントロールするための訓練ですね』

『具体的には』

『瞑想と運動の併用が最適です』


『噂のセージスタ君です。

 は、早い。あっという間に水槽に到着……え、センセイ…』

『ありえん……』

 バトンを地面に置いたセージは、個人魔法のハイパービッグウォーターをマシマシで、ほぼ二〇リットルにした水球を左右の手に出現させていた。


『…ルデン先生!』

『ふ、普通は、同一魔法を一緒に発動すると、イメージの相克が発生して、どちらかの魔法が不発になるか、下手をすれば両方とも不発に……なるはずなんだが…』

『でもあれ、どう見ても一緒、同じ魔法ですよね』

『ありえん……』

『判定は白、どうやらあの大きさでレベル2の水球のようです。ルデン先生』

『いや、無理だから……』

 ルデン先生が真っ白、廃人になった。


『えー、ミリアーナさん、あの魔法はご存知ですか』

『知らないわよ』

『そうですか。ミリアーナさんとロビナータさんは、どれほどの水球を出せますか』

『ビッグウォーターならミクちゃんと一緒くらいね』

『私もそんなもの。レベル3ならもっと出せるけど、それはミクも一緒ね』


 ちなみにセージは個人魔法化した“ハイパービッグウォーター”を、急遽脳内で『複写』した。

 競技前から、そして三人が競技中にも、できるだけだが魔法陣の定着作業を行った。

 そして、二枚のレベル2の魔法回路、魔法陣ハイパービッグウォーターを、並列思考でコントロールして、更に有り余る魔法力を利用してマシマシで増幅・行使した魔法だった。


『水球が多き過ぎて少々こぼれたようですが、あっという間に、特別選抜者チームは三分の一を超えました。

 ほぼ五〇リットル。えー、それよりやや少ないようですが、ものすごい量です。

 他のチームはまだ一リットルも入っていなません』


『えー、ルデン先生。

 ……仕方がありません。

 えー、他のチームも頑張ってください。

 特別選抜者チームは先頭のミクリーナさんにバトンタッチしましたー』


『え、一A一チーム、走者が倍の四人になりました。

 一B三チームは、六人、六人です』


 バトンタッチするたびに倍の走者が出ていく。

 特別選抜者チーム以外のチームも水の量が一気に増えだした。


『二周目の特別選抜者チームは、アンカーのセージスタ君が強大な水球を作り始めました』


『すごい。すごいです。

 特別選抜者チームは、一〇〇リットル間近まで入ってしまいました。

 倍の走者になった他のチームも、懸命に追い上げていますが、一番入っているチームで、半分の三リットルといったところでしょうか』


『汚い。えー、申し訳ありません。

 えー、特別選抜者チームの走者が三倍です。三倍の走者になった模様です。

 ルデン先生、競技中に、このように何度も規則が変更になるのって、いいんでしょか』

『特別選抜者チームに、あれだけの力量を見せつけられてしまえば、仕方ないのではないのでしょか』

『そうなんで……すね。

 皆さん頑張ってください』




『一位はトップを維持し続けた特別選抜者チームです。

 他のチームも、あらあら、とうとう全員で、水槽に向かいました』


『全チーム、水槽をいっぱいにした模様です』


『すごかったですねー。特にセージスタ君は圧巻でした。

 ルデン先生、総評をお願いしまーす』


『一年生とは思えない、魔法の才能にあふれた生徒たちを確認できたことは、他の生徒たちの模範となってくれたものと思います。

 一緒に競技した生徒もこれを励みに魔法に精進してください。

 他の学年や、見に来た弟さんや妹さんへの、よい刺激になったことと思っております』


『どうもありがとうございました。

 ミリアーナさんとロビナータさんも何かありますか』


『非常識、いつか切る!』

『ミリアちゃん、今度こそだよ!』


『はーい。楽しい競技、一年の皆さん、どうもありがとうございましたー。

 退場する一年生に温かい拍手を、お願いしまーす』


『えー、次は、二年生の“水水大戦争Ⅱ”です。

 さすが二年生にもなると、水の量が一〇リットルになりまーす。

 えー、特別選抜者チームの一二〇リットルのことは、忘れてくださいね。

 えー、忘れられないって、そこは仕方がありません。

 新たな気持ちで二年生を応援してくださいねー』


 三年生は、“お湯お湯大戦争”で給水した水を、火魔法で温める(沸騰ではない)競技で、チーム内で水魔法と火魔法に分かれて行われる、競技だ。


 四年生と五年生はクラス発表だ、そうはいってもクラスCとDは、それぞれ合同発表だから数は減る。

 すべてのクラスが、的を標的に見立て、クラスのみんなで撃破して魔法の成果を発表する場になっている。

 特例が認められているのが特別選抜者や選抜者で、自分の発表を優先してクラス発表に参加しなくてもよいことになっている。

 毎年、模擬戦闘を行う特別選抜者の多くが、クラス参加を辞退していたが、今年はだれ一人欠けることなく、全員参加のクラス発表となった。


『はーい、みなさーん。

 これで午前の部は完了です。

 無事何事もなく、楽しい発表会と競技でした。

 お昼休憩の後は、お待ちかねの選抜者たちによる発表や、模擬戦です。

 選抜者の皆さんはゆっくり休んでくださいね。

 皆さんもおいしいお昼を堪能してください』


 午前の部が終了、昼食休憩となった。


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