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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
ダンジョン編
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83. 思わぬ効果


 三月四日緑曜日はママの助言(命令)に従い、学校を休んだ。

 部屋に閉じ込められて、N・W魔研のことも禁止で、魔法の練習や訓練も無し。

 まあ、自室で短距離テレポートに、ルルドキャンディーの作成、テレポート場所の事前レーダー取得練習と、色々とやっていたけど。


 三月五日白曜日。

 ダンジョンはどうなったかと思いをはせながら、学校へ行った。


 授業は、午前中が国語、算数、魔法学、生き物で退屈な授業だ。


 午後の二時限は一A一と一A二の合同体育で、これは戦闘できるからちょっと楽しい。

 それと魔法展覧武会の準備を開始する。

 準備っていっても僕のじゃない。

 ミクちゃんとライカちゃん、それと断り切れないルードちゃんの強化だ。

 時間も足りないし、普通でやってたらルードちゃんは間に合うとは思えないんだけど。

 まあ、そこは気持ちとしてだ。

 それと自宅じゃないから体内活性化は行わない。


 ルードちゃんとの模擬戦、ただし半獣人の猫耳パルマちゃんとウサ耳ビットちゃんも参加しての三体一だ。

 驚いたことにルードちゃんの魔素と魔法力の体内の流れが、かなり良くなっていた。

 それと魔力眼か魔素感知かは不明だけど、何かしらのスキルが発現しかかっている(ふし)がある。

 僕がホイポイ・マスターでボティス密林にこもってる間にも頑張ってたんだ。感心感心。…って僕偉そう。


 こと戦闘になると張り切るパルマちゃんとビットちゃんも、フェイント交じりと二人で対策を考えていたみたいだ。

 まあ、そこは基礎レベルの大差で物ともしないんだけど。


 次はミクちゃんとライカちゃんペアとだ。

 突然上がった身体能力はミクちゃんが身体魔法を使いこなしてきている証拠だ。近々レベル1になるんじゃないかな。

 それとライカちゃんも身体魔法を取得していた。チョット驚き。

 未熟ながらも身体魔法を行使する二人との模擬戦は楽しかった。

 先生も注目していたし。


 強さのレベルから言うと、ミクちゃんが二位で、ライカちゃんが三位で、ルードちゃんが四位と変動している。

 それ以下はライカちゃんが繰り上がってズレただけで順位に変動は無い。


 今日は、獣人男子とシエーサンチーム。それと女子獣人二人のチームとも模擬戦をこなして、あとはルードちゃんを鍛えてた。


 僕は身体魔法やその他のスキルも使用しない、手抜きとはいえ楽しい模擬戦だ。

 学園生活はこうでなくっちゃ。


 えー、ギジョーダンは近寄っても来なかったよ。


  ◇ ◇ ◇


 学校から帰宅すると本格的な特訓開始。

 ミクちゃんにミリア姉にロビンちゃんは身体魔法の習熟とレベルアップ。


 ライカちゃんとモラーナちゃんはまずは身体魔法の感覚の慣れだ。

 ちなみにモラーナちゃんも取得済みだった。チョット驚き。

 まだレベルは“0”だそうだけど。


 まずはルードちゃんから、魔力眼と魔素感知の付加と、体内の活性化を行う。

 他の五人は目いっぱいの活性化だけだ。


 ルードちゃんと模擬戦を行って、時間を見てルードちゃんはN・W魔研の見習い業務へと向かう。その辺はシッカリとわきまえているようだ。


 ルードちゃんのいなくなった練習場を切り上げ、どういう訳か、僕はみんなに連行されるように、僕の部屋に来ている。


「セージちゃん…」

「あー、まどろっこしい。いい、セージ」

 口を重そうに開いたミクちゃんに、ミリア姉が割り込んできた。


「う、うん…」

 何があったんだ。みんな。


「気持ち悪くならないのよ」


「それじゃあ、説明にならないでしょう!」

 今度はロビンちゃんだ。

「魔法値が“5”を切っても、気持ち悪くならないのよ」


「そうなんです。“3”になると気持ち悪くなっちゃうんです」

 モラーナちゃんだ。

 言葉のリレーか?

「以前は“6”でやめていた魔法練習を、最近みんなは“4”になるまでやっています。

 少しだけど魔法が上手く使えるようになってるのも、なんとなくレベルが上がっただけじゃないかなって」


 モラーナちゃんの言葉にみんながうなずく。


「な、なんだってー…」

 間抜けな声を漏らしていた。


“5”になると若干気持ち悪くなっていたミリア姉も、調子がいい時だけ、魔法値が“5”になるまで練習をしていた。

 それが現在はデフォルトが“4”だって。

 みんな似たりよったりのはずだった。

 正直、魔法の残数が“0”まで魔法を使うことは気分が悪くなって不可能だ。

 もしもそこまで魔法を使ってしまうと最低でも気絶して、しばらくは体調不良が続いてしまって、魔法練習だけでなく生活にも支障をきたすほどだ。


 強制活性化、全力活性感はそんな効果があるなんて。

 僕の『魔法値“0”でも大丈夫』のチートが、複写されるなんて。……絶句だ。


「セージ、アンタは一体幾つまで魔法を使えるのよ!」

「…えー、“1”?」

「なんで疑問形なのよ!」

「えー、調子がいい時が“1”で、悪い時でも“2”だから」

「ああ、そういうことね」

 思わず嘘をついてしまったけど、納得してもらえたようだ。


「「「…すごい」」」

 ミクちゃんとライカちゃんにモラーナちゃんが、驚愕する。


「……全部チート」

 ロビンちゃんも呆れて呟いている。


 ミリア姉すぐに猛獣が獲物を見るような視線で僕をロックオン。欲望丸出しだ。

「じゃあ、私たちもうまくいけば“1”になるまで魔法が使えるようになるってことよね!」

「そ、そうよね」

 ロビンちゃんもミリア姉に右へ倣えで僕にロックオン。

 そこまで活性化に頼るんですか。


「それは無理ではないでしょうか」

 モラーナちゃん、ナイスフォロー。


「どうしてよ!」

「セージちゃんの能力がそっくりそのまま使えるようになるってことは、魔素や魔法力との相性が良くなるってことですよね。

 そのセージちゃんの相性すべてが、コピーできるものじゃない、と思ったので」

「お父さんとお母さんも、優れたものと同じ性能の物を作るの大変だって言ってました」

 魔法具技士を両親に持つ、モラーナちゃんとライカちゃんの言葉には説得力がある。


「それじゃあ活性化を続けてもらってれば、“3”にはなれるってことよね」

「そこまで断定は…」

「多分“2”も、あとはみんなの相性と努力ってことね」

「「「…うん」」」

 ミリア姉の落としどころの提案に、モラーナちゃんとライカちゃんは呆れるが、他のみんなが納得する。


 まあ、活性化は続けるつもりだったからいいんだけど、“1”に、ましてや“0”になるまで魔法が使えるようになったらどうしよう。


 確認したんだけどルードちゃんにも、確認したら、魔法の効果も上がって感覚も良くなってきたってことで、内緒にしておいてってことで魔法の使用限界値のことを伝えたんだって。


 なんだか僕の特殊性がバレるのが怖い。

 チョット活性化は控えようと思う。

 みんなになんて言って説明しようかな。


  ◇ ◇ ◇


 三月六日黒曜日。

 休日の練習はウインダムス家って決まったわけじゃないけど、ウインダムス家に集合して魔法と戦闘の訓練だ。


 あ、時々勉強も入れているし、遊びもしてるし。

 それと今日は、ルードちゃんも参加している。


「今日から活性化は緩く掛けるから、あとは自分で活性化してね」

「なんでよ!」

「いつまで頼るつもり、狩りや戦闘になったら、こんなことできないんだよ。

 そろそろ自分だけで、体内の魔法力の活性化になれる時期でしょう」

「そ、そうね」

「言われたら、反論できないわね」

「じゃあ、軽く出構わないから掛けてよ」

「軽く掛けるのも、あんまり続けないから、早く自分で活性化できるように今日からそれを意識してね」

「わかったわよ」


 本格的に自分自身で戦闘ができるようになってもらうのが本来の目的だから、ちょうどいい言い訳ができた。

 ただしルードちゃんだけは、もうしばらく強く活性化してあげようと思っている。


  ◇ ◇ ◇


 三月七日赤曜日。

「おはよう」

「おはよう」

 あれ? ルードちゃん、魔力眼のスキル付いた? なんか目つきが、というより目に魔法力を集め過ぎ、力み過ぎだよ。


 あはは…と、思わず笑ってしまった。


「なぜ笑う」

 ルードちゃんが、グヌヌ……、となんとなくだけど怒りを見せる。

 なにも、あざ笑った訳じゃないんだけど。

「ごめん。チョットにらみすぎだよ」


「そ、そう。まあいいわ、それより魔力眼が取得できた。お礼を言っておくわ」

「ああ、よかったね。……ハハハ…」

「笑うなー!」

 そういう訳じゃ…「ごめん」。


 身体魔法に、その他の魔法練習、それと戦闘訓練、チョットだけお勉強と遊びで一日が過ぎた。

 みんな魔法が上手く、強力になった。戦闘センスは別として強くなったのも確かだ。


 ルードちゃんの全力の活性化も控えた方がよさそうだ。


 ボランドリーさんたちは一旦帰還した下、オウム返しにまた七沢滝近くのコンビニダンジョン、もとい、七沢滝ダンジョンにおもむいていった。

 パパもまだ発表できるレベルではないとして、何も教えてくれなかった。


  ◇ ◇ ◇


 今週は魔法量の計測、魔法レベルの判定、魔法の発動速度に連射速度、それらの安定度、参考データとして戦闘能力と技術の判定が行わる。

 特別授業で毎日魔法の授業が組み込まれる。

 魔法展覧武会への選抜出場者の最終発表は、来週の赤曜日になる。


 僕の理解は魔法の運動会。

 演じたり競技に参加するのが、日本でいえば小学生だ。

 模擬戦などもあるけど、そんなものとしか思えなかった。


 ただし魔法学校の雰囲気は、やる気に満ちたものが多い。

 一年から三年生は学年参加に、四・五年生はクラス参加となるから、選抜者以外でも見学だけしていればいいってことじゃない。

 それと学校で、学年で、クラスでどの程度の魔法能力かが判明することにも意味がある。

 五年生は卒業向けて、また、上級魔法学校に向けて魔法を極める道に進むかの最終判断の意味合いも強いから、みんな真剣だ。

 四年生も来年に向けての判断基準として、悲喜こもごもとなるのもこの判定によるものだ。


 ホームルームで、選抜者の二〇名に変更はないが、その内の特別選抜者が今年は三名から変更され、六名となったことも告げられた。

 有言実行、制約。

 学校の裁量の細かな変更といえども、学校協議審査会の取り決めで、事前に周知する必要がある。もちろん学校協議審査会のも連絡済みだ。


 一年生にとっては興味津々の判定石――【基礎能力】の総合を色で判定する魔石――を触ってみるのも初めてだ。


 おおよそ五段階で、以下の色に無段階に変化していくのが、冒険者ギルドで使用される一般の判定魔石だ。


 判定魔石は、5以下:ブラック、“10”:ダークグレー、“15”:グレー、“20”:ダークレッド、“25”:ダークパープル、“30”:ダークブルー、“35”:ブルー、“40”:ダークグリーン、“45”:グリーン、“50”:ライトグリーン、“55”:イエロー、“60”:ライトイエロー、“65”以上:ホワイト、と無段階に色が変化する。

 これだと魔法学校生の一年生だとダークグレー前後で判別が難しい。

 国や研究施設、または主要冒険者ギルドには上位の判定魔石もあって、それだと一〇〇以上も計測も可能だ。


 それが魔法学校用の低レベルの詳細判定魔石は、8以下:ブラック、“12”:ダークグレー、“14”:グレー、“16”:ダークレッド、“18”:ダークパープル、“20”:ダークブルー、“22”:ブルー、“24”:ダークグリーン、“26”:グリーン、“28”:ライトグリーン、“30”:イエロー、“32”:ライトイエロー、“36”以上:ホワイトと、かなり詳細が判別できるものを使用する。

“36”以上は一般の魔法石を使用することになっているが、ごく少数が上級法学校の入学試験前に確認する程度のものだった。


 それが論外のセージは一般判定石でも、ホワイトの計測外とある意味想定されていたが、ミクちゃん・ライカちゃん・ルードちゃんの三人が詳細判定石でホワイトの判定不能の、一般判定石での判定となった。

 一年生では前代未聞のことだ。それがいっぺんに四人もだ。


 四日間にわたる複数回の測定の結果。

 セージスタ:判定不能:学年トップ

 ミクリーナ:42

 ライカ:36

 ルード:36

 と判定された。


 ちなみに、ミリアーナ:43、ロビナータ:39、モーラナ:35、生徒会長(五年生):35、と上位八名にやっと五年生が一名入るだけだった。


 その他にも魔法の様々なテストや測定が行われた。


 生活魔法ができるだけの多くの一年生の、おおよその数値は。

【魔法スキル】

 魔法核:0 魔法回路:0

 生活魔法:0 属性魔法:0 (属性魔法:0……)

【基礎能力】

 総合:8 ~ 11

 体力:8 ~ 12

 魔法:12 ~ 16

 クラスAだと、属性魔法の取得が最低二つが条件だ。

 クラスBだと属性魔法が一つ、クラスCだと属性魔法を取得していないものがほとんどだ。



 属性魔法“1”を取得する時のおおよその数値は。

【魔法スキル】

 魔法核:1 魔法回路:1

 生活魔法:1 属性魔法:1 (属性魔法:0……)

【基礎能力】

 総合:12(~+1)

 体力:12(~+2)

 魔法:16(~+3)

 取得時期は個人差はあるが、クラスAだと二年生頃には取得している。

 クラスAだと属性魔法が三つ目とか四つ目(それ以上も)を取得し始める者も多くなる。



 属性魔法“2”を取得する時のおおよその数値は。

【魔法スキル】

 魔法核:2 魔法回路:2

 生活魔法: 属性魔法:2 属性魔法:1 属性魔法:0 (属性魔法:0……)

【基礎能力】

 総合:15(~+1)

 体力:16(~+2)

 魔法:26(~+3)

 取得時期は個人差はあるが、クラスAだと四年生末から五年生末頃となる。

 魔法学校の在学中に属性魔法“2”を取得する者のほぼ全てが、属性魔法を三つは取得している。

 そして属性魔法“2”取得後に、基礎能力が加速度的に上がっていくし、上級魔法学校の入学試験資格が得られる。


  ◇ ◇ ◇


 三月一一日白曜日。

「上位六名中、四名が一年生になってしまいましたか」

 週末の判定会議で、資料を見ながら校長が疲れ気味に声を出す。

 教頭先生も頭を抱えている。


「魔法の威力、発動速度、安定性とどれを取っても、上級魔法学校生レベルで文句の言いようがありません」

「セージスタ君は別格ですが、他の三名の成長も著しく、ここ数日でもどんどん魔法が上達しています」

 魔法課筆頭主任のルデン先生、及びにルイーズ先生が発言する。


「それは四年生のミリアーナさんやロビナータさんも同様ですね」

「私は三年生を担当していますが、モラーナ君も、モンスタースタンピード後に一気に成長しましたね」

 同、四年生、および三年生の魔法実習の責任先生だ。


「やはりセージスタ君が、特殊なスキルで成長を促しているとかですかね」

「そのようなスキルなど聞いたことがありませんが」

「私も聞いたことなんてありませんが、なんでもミクリーナ君とライカ君は身体魔法まで取得していたじゃありませんか」

「一気に二名ですか」

「聞いた話だとロビナータ君に、モーラナ君までここ最近身体魔法を使いだしたそうじゃありませんか」

「ミリアーナさんは、昨年暮れに取得して、歴代最高とされていたのもあっという間に追い抜かれましたからね」

「いずれにしてもセージスタ君ですよ」

 魔法実習を様々担当する先生たちの発言は、会議というより投げやりな雑談、愚痴になってきている。


「静粛に。

 成長促進スキルの話は気にはなりますが、それは別の機会でお願いします」

 校長の割り込みと、皮肉めいた発言で雑談が静まる。


 資料には補欠を含んだ上位三〇名の名前と学年と各種計測値と、各学年の平均値、各クラスの平均値と最高値と最低値が記載されている。


「この資料は学校協議審査会に送って、その了承を持って魔法展覧武会の特別選抜者と選抜者を公表します」

 校長の言葉に、職員全員がうなずく。


「セージスタ君の対戦者を冒険者ギルドに依頼した件はどうなりましたか」

 ルデン先生の質問だ。

 一位と模擬戦をするのは、本来なら魔法課筆頭主任のルデン先生の担当だ。


「それが思わしくありません」

 答えたのはルイーズ先生だ。

「どうしてでしょう」

「いくつか問題がありまして、その一つがダンジョンがボティス密林の中に発生して、その調査で高位の冒険者が掛かりっきりになってしまっているからです」


「中位の冒険者には頼めないのですか」

「入学試験の時に親しくなった冒険者ギルドの職員に確認したところ。

 極秘で多くは教えられませんがとの前置きで、セージスタ君は、戦闘能力だけだとランクCの上位、ことによったらランクBに相当する実力者だそうです」


「ランクCの上位とかランクBとかですか……」

「それ可笑しいでしょう」

 魔法関係の先生のほとんどが騒ぎだすか、絶句する。

 例外は、一般教科の先生たちだ。


「そのため、セージスタ君の対戦相手を都合するのは難しそうです」

「校長。ダメもとになるかもしれませんが、マリオン上級魔法学校の先生に知り合いがいるので、頼んでみてもよろしいですか。本人がだめでも誰かいい人がいないか紹介してもらえるかもしれませんし」

 ルデン先生、言葉は丁寧だが、チョット必死です。

「費用は掛かりますが、やってみますか。

 私からの依頼状が必要なら、いつでも言ってください。

 ダメなら先生のうちどなたかお願いします」

 ルデン先生がホッと胸をなでおろす。


 校長先生の言葉に、周囲の様子を伺う魔法関係や技能関係の先生たち。


  ◇ ◇ ◇


 エルガさんの小型近距離電話(ミニミニフォン)試作機Ⅲ(ガンマ)は増幅のバランスが良くなくあえなく撃沈して、悩んでいる最中だ。

 相談に乗ったら、何かひらめいたそうで、またも電増魔石を作成した。それも二種類だ。


  ◇ ◇ ◇


 三月一二日黒曜日。

 セージ自身の所為と、異界宮(ダンジョン)の所為で、セージたちにララ草原での狩りの許可が降りるはずがない。


 テレポートもままならない。

 まあ、レーダー範囲の五○〇メル程度の短距離テレポートでたまには気晴らしで、城壁の外程度には出かけてみるけど、その程度だ。

 相変わらず長距離(メガ)テレポート用の長距離レーダーや、遠隔視に遠隔感知なんかも取得できていない。

 ルルドの泉のハチミツ入りのルルド水(聖水)のビンは当分放置しかなさそうだ。


 セージは今週もウインダムス邸の練習場で、みんなのレベルアップのお付き合いで過ごした。


 ちなみにルードちゃんのパパさんのラーダルットさんから魔法陣を『複写』させてもらった。

 ほとんどの魔法は僕が知っているものだったけど、新たな発見にワクワクした。

 風魔法は新たなものの他に、いくつか面白いものがあった。

 面白いってのは同じ魔法名だけど、違う魔法陣だ。

 念のためすべての風魔法陣は『複写』させてもらった。

 水魔法は草花を育てる栄養素的な魔法に、風魔法と同様に同じ魔法名だけど、違う魔法陣が見つかったので、『複写』させてもらった。

 光魔法は紫外線魔法に赤外線魔法や集光魔法があった。


 魔失病の秘薬、“妖精の慈愛”というらしいけど、その製法の伝授は、まだエルフの友人と折り合いが付いていないそうだ。


 その代わりといっては何だが、と言われ、あるものの製造方法と特別な魔法陣を教えてもらった。

 それはラーダルットさんが個人で研鑽して、開発した技だからだれに斟酌(しんしゃく)することもなく教えられるってことだったけど、内容にビックリ、感謝、感謝だ。


「これを教えてもらっちゃうと…」

「君への感謝の気持ちだ。受け取ってくれ」

 ってことで“妖精の慈愛”も教えてくれるそうだ。

 もちろん相談している友人――多分ナルア村の責任者的な人じゃないかと思っているけど――、その人を説得してってことだけど。


  ◇ ◇ ◇


 ボランドリーさんたちも無事帰還したそうだけど、パパが教えてくれたのはそこまでだった。


 それとみんなには、魔法力の活性化は(・・・・・・・・)今日で終了(・・・・・)を宣言した。

 魔法展覧武会に向けて自分の力だけで挑んでみてねって、ちょうどいい言い訳ができちゃったもんね。

 ただし困った時やどうして持って時には相談に乗ることも併せて伝えた。


<謝罪>

前章の「友人レベルアップ編」の最終話は、今回となります。


新章の「ダンジョン編」が先に始まってしまって、書き手としては情けないと思いますが、へたくそな作者だと思って、ご容赦ください。


「ダンジョン編」も頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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