59. 魔獣監視とセージの日常2
ルルドの泉にホイポイ・マスターをうまく設置できた、その週末。
四月六日黒曜日はミクちゃんの誕生日だ。
ちなみに僕は五月二三日白曜日が僕の誕生日だ。
それはともかく、昨年末から狩りや図書館で出かけることもあったが、基本僕はノルンバック・ウインダムス魔獣対策魔道具研究所の仕事で家に居た。
ミクちゃんがほとんど通い妻…ゲフンゲフン、稽古も兼ねて通ってきていた。
ウインダムス家に久しぶりに来た。
花束とクッキーを持って。そう、日本の記憶をもとに、個々の食材で作ったから出来はちょっと疑問だし、似たような食べ物もあるので特に疑われる要素は無い。はずだ。
付き添いはというか、ミリア姉も一緒だし、そうなると教育担当兼護衛のヒーナ先生が付いてくる。
久しぶりのヒーナ先生だ。…というか家ではそれなりに一緒に居たけど、一緒に出かけるのがお久だ。
ポラッタ家の妹のライカちゃんと姉のモーラナちゃんもお祝いに来て、とても和やかな一日だった。
僕の周囲の同年代の友人はどうして女の子ばっかりなんだろう。これじゃまるで……、考えるのはよそう。
最近一緒の男性は、ボランドリーさんにニガッテさん、ガーランドさんと、おじさん比率100%のような気もしないでもない。
◇ ◇ ◇
ワニ池とルルドの泉に設置したホイポイ・マスターは二週間置きにメモリーパッケージを交換することになった。
その仕事はノルンバック・ウインダムス魔獣対策魔道具研究所で受けて、担当はホーホリー夫妻で、僕やリエッタさんがサポートする。予備要員としてレイベさんも手伝ってくれることになっていて、ワニ池の時と変わり映えしない。
そして完全に二週間おきにこだわる必要はなく、天候やその他の状況を鑑みて行えばいいのでユトリもある。
冒険者ギルドでは、将来的にはボティス密林の三か所目と、モモガン森林にもホイポイ・マスターを設置して監視体制を築いていきたいそうだが、しばらくは二か所だけで監視していくことになった。
大災厄の影響でここ最近魔充電装置全体が品薄になっている。
ホイポイ・マスターが作れないんじゃ仕方ない。
パパとウインダムス議員(ミクのお爺ちゃん)で、マリオン国でも採用させようと、活動している。
その関係で多忙を極めている。
部品不足。主に均一で高性能な魔石を大量に入手することが困難なので、その手配もしてくれている。
ノルンバック・ウインダムス魔獣対策魔道具研究所の新たな課題も発生した。
パパとウインダムス議員で、ウインダムス総合商社の力を借りて行っていたことのサポートだ。
昨年パパとママと一緒訪れた伯父様であるフォアノルン伯爵領の城塞都市エルドリッジで発生したテロリスト事件で、入手した超小型の近距離電話。
超小型っていってもリュック程度の大きさだが、それの解析が思わしくない。
特に特殊な魔石――謎の電増魔石が更に特殊化していて――の解析に苦心しているそうだ。
それを手伝うことになった。
エルガさん、やる気満々です。
しばらく超小型のマジカルフォンを魔獣対策魔道具研究所で預かることになりました。
あと、屋敷の庭に造っていた魔獣対策魔道具研究所が完成して引っ越して、本格的な研究と解析が始まった。
母屋とつながっているし、一応関係者以外立ち入り禁止となっている。
研究所の一階の開発ルームは、まるでひっくり返ったおもちゃ箱。
決して局地災害の所為じゃありません。
二階の事務所やメモリーパッケージの確認部屋だけは、リエッタさんの防衛で事なきを得ています。
あ、忘れてた。
またまた、給料がでました。
僕がもらったのは五〇〇SH、日本円で二五万円だ。
ゆとりができてきた僕は、作りためてきたイメージ文字を使って、いよいよ個人魔法と言われている、独自魔法を創作したいと思っている。
あとは、投てきも練習し始めた。まあ、あまり練習はできていないけど。
できれば、レイベさんのように“物体加速”のような素敵なスキルを取得してみたいものだ。
◇ ◇ ◇
四月二三日黒曜日。
約四か月に一度の小の月で、二四日が無く、白曜日が抜けて二三日が黒曜日となる。
そして、陶器を名産とするオーラン市では、工芸の神様のミネルヴァ神もあがめられていて、ミネルヴァ神社の“ミネルヴァかがり火祭り”が今日明日の二日間催される。
陶芸神ということもあって、火と土の魔法属性持ちや、錬金魔法持ちなどにも人気の神様だ。
それに伴って陶器祭が今日の黒曜日から翌黒曜日までの七日間行われ、それなりににぎわうお祭りだ。
ミネルヴァかがり火祭りの最大イベントは、大きな月が新月なので真っ暗な夜だ。……実際は、小さな月があるし、星もあるので真っ暗じゃないが。
その暗がりの境内にいくつものかがり火がたかれ、火の付いた特大たいまつを振り回すという、工芸成就を願う勇壮で危ない行事が執り行われる。
舞い散る火の粉に触れると、工芸が上達する、火魔法が取得できるとか言われているそうで、境内は戦場になるそうだ。
真っ暗な中、かがり火に照らされ、ぼうぼうと燃え盛るたいまつの炎に群がる群衆。想像するだけで興奮してしまう。
ポラッタ家のパパさんのゴランダルさんが祭り好きな事らしく、ライカちゃんとモーラナちゃんのお誘いできてみたが、学校が春休みだということもあって子供も多い。
さすがにオケアノス神社のように境内は広くないので、境内の出店は少ないが、ミネルヴァ神社の周辺は陶器店が多く、商店が路上に出店を開いて、いろんなものが売ってるし、いい匂いもするし、にぎやかだ。
モモガン森林のキャンプ地となっている陶芸のモラン村で登り窯を見た所為か、陶芸がチョットだけ身近に感じたような気がした。
「モラン村で作られたものってありますか」
三店で聞いてみたけど、見つからなかった。
ただ知っている人がいた。新しい窯で、なんでも数が少ないんだそうだ。
夜のかがり火を見たいが、初詣での誘拐騒ぎもあって、夕方でさよならして引き上げた。
ゴランダルさんの豆知識によると、ミネルヴァ神は火の神でもあるから、国によっては戦の神として、また工芸の神というより芸術の神としても祭っているんだって。
ここでも地球の神様のパクリか? 知恵とフクロウはどうした。
そうはいっても楽しいことは楽しい。こんなことなら他の神社にも行ってみよー! おー!
四月末に、また大きな地震が発生した。
◇ ◇ ◇
五月二三日白曜日、六才になった。
家族やエルガさんとリエッタさん、ホーホリー夫妻にヒーナ先生、マールさんにミクちゃんにロビンちゃん、ライカちゃんと姉のモーラナちゃん。みんながお祝いに来てくれて照れ臭かった。
ボランドリーさんとニガッテさんもひょっこりと顔を出して、おめでとうと祝ってくれた。
背が伸び身長が一一六センチメルになった。
強さ(総合)は“53”になった。
目標はニガッテさんの“64”――“63”から“1”強くなった――だ。
そして魔法の最大量に至っては“235”と周囲では見たことのない数値だ。
毎日枯渇して頑張っている所為と、ルルドの泉製の聖水で作ったルルドキャンディーのおかげである。…セージ命名。
強さがアップしたのはチョット小型のメガホッグを見つけて狩ることができたからだ。
威力アップした個人魔法、<ハイパー粘着壁>・<ハイパー粘着シート>・<ハイパー粘着弾>で絡めとって、ファイヤー高周波ブレードとなった黒銀槍を突き立て止めを刺した。
血止め効果もある刺突で狩った獲物は、血が空気に触れることがないので酸化しないから臭みも無い。そして、臭みの無い綺麗な肉は、高く売れたのはいうまでもない。
それとやっぱ、強さを手っ取り早くアップさせるには、最低でも自分と同等か、できれば強い魔獣を狩らないとダメみたいだ。
それも一人でだ。
ダブル効果でウハウハなセージだった。
狩りの目標はレベルアップなので、申告制の単独狩りがOKとなっている。あくまでも単体でいる魔獣に対してで、猿軍団は全部パーティー戦だ。まあ、三体程度のゴブリンは一体としてカウントされる魔獣だが。
そして魔獣核と獲物の半分が狩った人の物、半分を残りのパーティーメンバーで分けることになっている。
いざという時のサポートがあるとわかっていることは、心強いサポートでもあるし。
自分に見合った魔獣には、全員が積極的に狩っていった。
経験値アップで魔獣氾濫の対策の一つでもあるってことだ。
ただ、格上の魔獣に単独挑戦するのは魔法が多彩の僕だけだったということだ。
ただし、パーティーメンバーで三番目に強い僕の格上なので、みんなから止められてしまってなかなか狩りができないのが悩みだ。
イメージ文字は慣れてきた所為か案外簡単に作れる。
ただし、イメージ効果による威力アップや効果の改変は慣れた魔法じゃなければ駄目だ。
ママの“ホットブリーズ”のように、火魔法の魔法文字が入るまでじゃないけど、日々使っている魔法は、イメージ効果で魔法回路に影響を与えているってことだ。
それがイメージ文字作成でも影響を及ぼして、作成時のイメージの込め方で、慣れた魔法だと影響や効果が如実に現れる。
そのいい例がマクロを組み合わせて作った自慢の個人魔法だ。
“ハイパー粘着壁”・“ハイパー粘着シート”・“ハイパー粘着弾”では粘着力が格段にアップした。
あとは魔法陣に魔法文字を追加で組み込んだりもしているが、現状はあまりうまくいっていない。
魔法の効果は確かに思ったものになっているのだが、魔法力の増大と効果を考えると今一歩といったところだ。
それでも勉強の効果は出ているので満足だ。
ボティス密林とモモガン森林がその実験場となっている。
魔法も様々なものを今まで以上に積極的に使用している。
◇ ◇ ◇
狩った魔獣の分配方法を変更した結果、冒険者ギルドにチョクチョク顔を出すようになった。
ボランドリーさんとニガッテさんと一緒の狩りだと、ノルンバック・ウインダムス魔獣対策魔道具研究所(N・W魔研)の内部処理って訳にはいかなかったためだ。
以前は狩ったもののほとんどがセージのアイテムボックスに入っていたのもあって、オーラン・ノルンバック船運社に持ち帰って換金して配分していたし、基本狩ったものは各人の物で処理をしていたけど、分配方法が変わった関係で分配を冒険者ギルドにお願いしているからだ。
それと冒険者からあらぬいちゃもん、三人との模擬戦後、冒険者ギルドに顔を出した方がいいということで、主に肉や素材だけだが冒険者ギルドに持ち込むようになった。
もちろんボランドリーさんとニガッテさんが参加しない時には、内部処理で大丈夫だ。
ちなみに薬草・毒草・野草は相変わらず、採取した個人の物として処理している。
そのためアイテムボックス持ちのセージは必然的に毎週冒険者ギルドに顔を出している。
今じゃちょっとした人気者だ。まあ、あくまでも冒険者ギルド内のことだけど。
それと模擬戦を申し込まれてうざい。
ボランドリーさん、何とかならないかなー。
自宅のキッチンに提供する肉は売らずに、もちろん持ち帰っている。
キッチンでは頻繁に持ち込まれる魔獣肉に香草で、香草焼きや香草シチューなどが頻繁に作られている。
かぐわしい香りに美味しいものも多いけど、たまに、まあ僕的にはだけど、きつ過ぎる香りにチョット苦手なときもある。
オーラン市には魚醤のようなものもあるから、淡白な魔獣肉のほんのり香草の魚醤・生姜焼きが僕のお気に入りだ。
概ね家族とメイド、オーラン・ノルンバック船運社の従業員や、託児所の人たちにも好評だ。
そして女性陣や託児所に人気なのが果物が豊富なデザートだ。
◇ ◇ ◇
ホイポイ・マスターのメモリーパッケージの交換作業とそのデータ解析は相変わらずノルンバック・ウインダムス魔獣対策魔道具研究所で続けている。
もちろん冒険者ギルドに毎回報告しているし、冒険者ギルドの事務員が魔獣対策魔道具研究所に来てセータの見方や解析方法の研修している。
冒険者ギルドでも、一般の冒険者にメモリーパッケージの交換を依頼するにはリスクが大きすぎること、またデータの再生には機材の知識が不可欠だったことでこのようになている。
エルガさんが再生装置の強化を行っているから、徐々に見やすく、集計も取りやすくなっているので、早々に冒険者ギルドで解析が行われそうだとはならない。
冒険者ギルドの人員不足と、機材を改造してるってこともあるけど機材不足だ。
現状データ解析は、ママが自宅雇用中の保母さんや食堂の手伝いの余剰人員から機材に強い人から希望者を募り、魔獣対策魔道具研究所のパートとして、協力してもらっている。
正社員になってほしいなって思う人もいるけど、メモリーパッケージを持ち帰った時の山場だけって仕事じゃどうなんだろう。
そういったことで、キッチリ給料も出ている。
僕やエルガさんにリエッタさんは少ないけれど、ホーホリー夫妻やレイベさんにはキッチリと給料を支払っている。
あれ、これってブラックか?
冒険者ギルドにしても、以前はデータ収集が冒険者任せ、冒険者の力量に寄ることしかできなかったこともあって、集計でもすったもんだを繰り返していた。
それが正確な魔獣数がつかめるようになって、統計として扱いやすいデータになって喜んでいる。
そして冒険者ギルドの負担が減ったのが、何よりも喜ばれる要因だった。
解析データからすると、徐々に魔獣の数が増えていることは確かだ。
ただ、メモリーパッケージの交換作業自体では、ゴブリンが多いって実感が有る程度だ。
◇ ◇ ◇
六月中旬、ミクちゃんとの水泳訓練を再開した。週一回か二回程度だ。
ミクちゃんが変わったのは、僕と一緒? に水泳中も腰にキチンナイフを下げて訓練を始めたことだ。
海で泳ぐとヤッパリ気持ちいい。
それと久しぶりに泳いだら格段に速くなってて驚いた。
ミクちゃんには、すごーい、とパチパチと手を叩かれ、喝采されたが。
その水泳訓練にライカちゃんも参加して、チョットにぎやかだった。
速さでいったらヤッパ強さ順、僕、ミクちゃん、ライカちゃんとなる。
「わたしがんばる!」
ってライカちゃんは気炎を吐くけど、魔獣を倒して経験値を得ているミクちゃんに追いつくのだって至難だろう。
ミクちゃんに聞いてみたけど、メタリックビートルを倒した狩りから、力が強くなって体が軽くなったそうだ。ヤッパリ。
その後の狩りでは、一回だけ僕が協力してっていっても前回と同じく体内の魔法力と魔素の循環を手伝っただけだけど、それでもう一回メタリックビートル倒してチョットだけ強くなった。
自分一人では大物は気持ち的に倒せないし、特に獣系の魔獣は動きが早いってこともあるけど、かわいそうって気持ちも強いみたいだ。
結果いつもメガギリスやメガネウラなんかを倒している。
体内の魔法力と魔素の循環は、自分ひとりでもコントロールが随分うまくなっているし、訓練は今も熱心でいろいろとレベルアップした。
時たま循環――活性化までじゃない――を手助けしているが、やり過ぎないように自重している。ミクちゃん個人の頑張りで成長する分には自己責任だし。…まあ、きっかけを作った僕が思うのもなんだし、自重ってのも突っ込みどころ満載だけど。
幼いころは魔法力や魔素の循環がスムーズにいかないことが普通のことのようで、ミリア姉やロビンちゃんもそうだけど、ライカちゃんやモーラナちゃんも同様だった。
ライカちゃんも一回循環を手伝っちゃおうかって思うこともあるけど、それをやるとめんどくさいことになりそうだってことでためらっている。
同様のことはミリア姉とロビンちゃんでも思ったし、その時には少しやっちゃったんだけど。
海だったらと思って、レイベさんにお願いして投てきの練習も本格的にやり始めた。
そう、五才とはいえ総合が“53”もあると半端じゃない。投てき練習の場所に困っていたんだ。
ヤーッ!
かなり飛ぶ。
◇ ◇ ◇
七月、パパの誕生日があって、そしてまたオケアノス祭の時期になった。
超小型の近距離電話の通信系の魔石の解析がほぼ完了した。
ただ高度な技術で作成されたもので、構造が判明しただけで、製造方法はまた別で不明だ。
パパがマジカルフォンを手に入れてから一年の歳月が掛かった。
エルガさんや僕が参加したのが四月だから、それを考えれば三か月か。
マジカルフォンを造り上げるのは、これから試行錯誤の段階だった。
ただ、実験でわかったことだが、この世界では電気の効率が良くないのか、電波の飛びが良くないのか、無線通信の効率が良くなさそうだ。
ローレンツ力“F=IBL”、誘導起電力“V=vBL”だったよな。
電磁気には微分・積分が絡むものが多いが、どうやらその辺になると曖昧になる。
魂魄管理者による記憶の消去によるものだろうか。
はたと思いだしたのが女神様が言ってた“地球の科学がそのまま当てはまらない”、たぶん、魔素や魔法力の存在の影響だ。
魔素や魔法力が干渉して電器や電波に障害や何かが発生してるんだろう。
ホイポイ・マスターのメモリーパッケージの交換作業とそのデータ解析を続けている。
ここ最近、特にゴブリンが突出して増加している。要注意だ。
◇ ◇ ◇
七月一二日黒曜日、一三日赤曜日に盛大にオケアノス祭が催された。
今年のミリア姉とロビンちゃんはそろって浜辺のステージで発表を行った。
ミリア姉のクラスは物語の朗読と合唱を混ぜた創作ミュージカルもどき。もちろん魔法付き。
ロビンちゃんたちのクラスは楽器演奏と合唱で、効果音に魔法を混ぜていた。
深夜の空に雲が多く、満月があまり輝かない夜空以外、騒ぎも無く無事滞りなく終わった。
祭りの最中に、小さな地震が発生した時には、一瞬去年のイーリス落下の再来かと思ったが、何も起こらなかった。
オケアノス神のご加護か、地震の所為なのか、今回のデータ解析で増加していた魔獣が減った。
ホイポイ・マスターの不具合じゃないよね。
でも、交換に行った時はゴブリンだけじゃなく、多くの魔獣を狩ったんだけど。
ブルン兄とオルジ兄の二人からは夏休みは帰宅しないと連絡がきた。
ブルン兄はもう少しで冒険者活動ができるそうだ。卒業までに冒険者活動ができますように。
オルジ兄も将来に向けて、ブルン兄を見習って上を目指すんだそうだ。
二人とも頑張っている。僕も頑張らなくっちゃ。
頑張るっていえばミリア姉だ。
補助魔法はそう何度も行っていないが、補助した時にコッソリとだが魔法力の循環を高めた。まあ、持続効果があるものじゃないんだけど。
そのおかげか<ウォーター>+<ウインド>のレベル1どうしの複合魔法を放てるようになった。
そう、両手から発動させた魔法を、キッチリと重ね合わせ、複合魔法として放ったということだ。
水と風魔法がレベル2となって魔法はかなり上達している。
「そのうちセージを追い抜いて見せるから」と、息巻いていた。
自慢気に見せびらかされたロビンちゃんも奮起して、複合魔法に挑んでいる。
ロビンちゃんには、補助を一回しかしていないから、ミクちゃんやミリア姉と比較すると魔法力の体内循環に淀みがある。
もうチョット時間が掛かるんじゃないかな。
かわいそうに思って、再度、補助魔法で魔力眼を与えました。
魔法力の循環アップ付きで、効果は一〇分前後程度だから、あとは自分の感性と努力しだいってことだ。
ついでにってことで、ライカちゃんとモーラナちゃんにもチョットだけだけど詰まりを取って魔法力の循環を良くした。
目を輝かせて周囲を見回して、すごく感激してた。
ちなみにミクちゃんは、誕生日前に複合魔法を放てるようになっている。
ロビンちゃんには内緒で、いまだ教えていないそうだ。
取得した魔力眼はまだ“0”だけど、それなりに見えるようになってきたみたいだ。
個人魔法は頑張ったかいもあって、徐々に増えている。
“ハイパードリームワールド”と“ハイパーストーンバレット”などだ。
魔法陣に魔法文字の追加が上手くいったものが土魔法と風魔法だ。
それをもとにイメージ文字でイメージ強化で作成し、合成魔法として個人魔法化した。
“ハイパーストーンバレット”に関しては、“ストーン”のマクロ化で生成する石の数が多少だが増えて先端が尖り、“フローコントロール”のマクロ化で回転によるジャイロ効果、“ジェットストリームⅡ”のマクロ化で飛翔速度も上がって威力は増大だ。…こ、恐っ。やり過ぎ感満載だが、できちゃったものは仕方ない。
類似魔法で“ハイパークロッドバレット”や“ハイパーストーンショット”などがある。
“ハイパードリームワールド”は“ドリームランド”のイメージ文字化で、単に強化したものをベースに風魔法と合成作成した魔法だ。
“ハイパー粘着壁”・“ハイパー粘着シート”・“ハイパー粘着弾”も風魔法がアップしたので再度作り直した。
威力アップに伴い使用魔法量はチョット増えちゃったけどそれは仕方がない。
現在は火魔法や水魔法を強化しようと、魔獣と戦う攻撃魔法を研究・開発中だ。
風魔法のマクロ化による強化ができているし、経験値も増えた。見通しは明るく頑張りがいのある作業だ。