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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
転生編
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05. まずは訓練


 せっかく魔法特化型でスキルを設定したんだからと、魔法をどうにかしてみたいと思うのは素直な気持ちだ。……だが、魔法を行使するには……、いや訓練だろう。さて、どうしたらいい。


 あっ、やっぱり定番は魔法力を感じ取るところからだろう。


 そう思って、ベッドで寝たまま、リラックスを心掛けて、体内に意識を向ける。


 …………。


 無反応。


 魔法核があるんだから、脳内か心臓だろう。

 そう思って、意識する場所を二つに絞る。


 …………。


 魔法核の感覚と、体の中を駆け巡る魔法(?)の感覚があるけど、無反応。


 そういえば、魔法回路もあったっけ、と思うと脳内に個人情報画面のようなプレートが思い浮かんだ。それも数十枚ほど。

 いや、もっと一〇〇、二〇〇程度か…。


 プレートには何も書かれていなさそうだ。


 これが魔法回路?


 思案して、いろいろ眺めていると、どうやらプレートは動かせるようだ。

 綴じられていないがファイルのようにパラパラとめくるというか、移動させることができる。

 そう、パソコン画面のスクロールバーのような感覚でページ移動が可能だ。

 見え方もプレート全体を見せる方法や、タイトル読みのような部分的な見せ方も可能だし、ある程度の縮小・拡大も可能だ。


 タイトル(?)読みでスクロールしていくと、何か文字が書かれているページがあった。

 全部で七ページ。


 脳内でそのうちの一枚のプレートに意識を向けると、脳内で大きく表示できた。


 左上から三行の記述で、


 ― 魔法名称:リリッシュ

 ― 属性:生活魔法

 ― 機能:簡易洗浄


 プレートの中央に、小さくさん二重の円があってその中に円に沿うようにいくつかの文字(?)と図形のような幾何学模様が描かれている。ずいぶんと簡単な模様だ。


 おお、これが魔法か、と感動するも、なんか感動が薄い。

 名称も微妙だ。


 あれ、僕って生活魔法や簡易洗浄なんて読めたのか? まだあんまり読めなかったはずだが?

 生活魔法は直ぐに使えるって言ってたから、魂魄管理者(女神様)サービスなのか。

 そういえば個人情報にも難しい字があったけどそれも読めた。

 自分が持っている情報は理解できるってことなのか? そうとでも思うしかない。


 オケアノス海周辺で使用される言葉と文字は、バルハ大陸とアーノルド大陸の多くの国で使用されるバルハ語とバルハ文字だ。国によって多少の変化はあっても意思疎通はできる。

 文字はカタカナに似た表音文字と、漢字の元になった金文に似た表意文字で、意味を組み合わせた熟語と日本語に似ていなくもない。

 本を読んでもらっていたから記憶にある。


 意識を脳内に向け、七枚を順に読んでいく。


 ― リリッシュ、生活魔法、簡易洗浄

 ― ドライブリーズ、生活魔法、簡易乾燥

 ― デスクライト、生活魔法、光明

 ― マッチ、生活魔法、着火

 ― バブリッシュ、生活魔法(高)、簡易撹拌洗浄

 ― ダストクリン、生活魔法(高)、簡易清掃

 ― ホットブリーズ、生活魔法(高)、簡易温風乾燥


 全てに小さな魔法陣も描かれていた。

 生活魔法(高)の方が倍程度大きく、円も三重になっている。文字や幾何学模様も多少は複雑だ。やはりそれなりに高度になった魔法だからか。

 そうはいっても生活魔法は最低魔法だからか、ずいぶんとあっさりとした印象だ。


 魔法を覚えるってことは、未記入のプレートに新たな魔法を書き込んでいけばいいことは容易に想像がつくが、今は何とかして魔法を使ってみたい。


 まずは簡単な生活魔法で、室内、ベッドの上を考慮するとドライブリーズとデスクライトだろう、と思ったら。


 目の前に左右に分かれて二枚の半透明のプレートが出現した。

 二枚は脳内で見たまんまで、それぞれのプレートの一辺が六〇センチメートルほどの正方形だろうか。

 あーっ、体が小さいことを、また忘れてた。

 五才っていったら……、小学一年生が六才で、たしか身長が一二〇センチメートルに届かない、二年生ぐらいが一二〇センチメートルのはずだった。そうすると僕の身長は一一〇センチメートル程度なのか?

 僕って平均?

 まあいい。そうするとプレートの一辺は四〇センチメートルほど、厚さも一〇センチメートルほどとずいぶん厚い。

 デスクライトの中央の小さな魔法陣は直径八センチメートル、ホットブリーズが一五センチメートルといったところか。

 魔法陣ということもあって、真剣にサイズを検証してみた。

 そうすると個人情報画面はA4より、もう少し小さいか。


 もっと大規模魔法を記述するからなのが想像できるが、プレート無駄過ぎ、生活魔法陣しょぼい(笑)。


 まあいい、それより魔法だ。


 どうすればと思うと、今度は魔法核が見つかった。

 心臓と同じ場所だ、いや一緒か? そこまでは不明だ。

 なんとなくだが魔法力が魔法核に集まってくるのがわかる。


 これならばと思って集中すると心臓でもある魔法核に魔法力が一気に集中して増えた。


 これくらいかと思って、右手でデスクライトプレートの真ん中、魔法陣に触れた。

「『デスクライト』」

 個人情報と一緒に呼び出せた。

 結構大きい。


「<デスクライト>」

 魔法名を唱えながら、心臓に集まった魔法力を流してみる。

 なんとなくだが、そうすることが正しいって思えたからだ。


 ホンワリとした優しい光の球が指先に灯って、薄暗かった部屋がずいぶんと明るくなった。

 デスクライトという魔法名そのもので、卓上スタンド程度の明るさだ。しょぼい。ママやヒーナのデスクライトよりかなり暗い。

 それにしても魔法回路プレートが邪魔だ。魔法を発動しても自動で消えないのか?


『収納』

 簡単に消えた。そしてチョットだけ魔法力が抜けた気がした。

 消すときにも魔法力を使うのか? それとも……一回の発動で一定量の魔法力を消費するってことなのか?


 もう一度やってみるか。

 目標はヒーナの明るいデスクライトだ。

 ヒーナのデスクライトを頭の中に描き出しながら、同じ手順で魔法力をコントロールして、

「『デスクライト』…<デスクライト>」


 おお、明るい。格段の差。

 同じ手順で、魔法力はチョット多めに流したが効果絶大だ。

 ヤッパリ想像通り、魔法はイメージ力なんだろうな、と一人で納得する。


『収納』


 これでOK。


 指先を左右に振ると光の球もそれにつられて移動する。

 指先から『離れろ』と思ったら空間に浮かんでいる。

 また指先に『付け』と思ったら付いて、ベッドに触れて『付け』でくっついた。

 面白い。


『収納』

 また簡単に消えた。そして抜けた魔法力はほんのチョット少なかったような気がした。気のせいか? ヤッパ一定量なのか?


『個人情報』


----------------------------------------------------

【セージスタ・ノルンバック】

 種族:人族

 性別:男

 年齢:5


【基礎能力】

 総合:8

 体力:5/8

 魔法:8/12


【魔法スキル】

 魔法核:3 魔法回路:3

 生活魔法:0 火魔法:0 水魔法:0 土魔法:0 風魔法:0 光魔法:0 闇魔法:0 時空魔法:0 身体魔法:0 錬金魔法:0 付与魔法:0 補助魔法:0


【特殊スキル】

 鑑定:0 看破:0 情報操作:0 記憶強化:1 速読:1


【成長スキル】

 基礎能力経験値2.14倍 スキル経験値2.14倍

----------------------------------------------------


 使用魔法力は二度で“1”と少ない。一回“0.5”は生活魔法だからだろう。

 生活魔法は“0”のままだ。 

 それならばと思って、『ホットブリーズ』と思うが“生活魔法(高)ホットブリーズ”のプレートは出現しなかった。


 もう一度『ホットブリーズ』……ダメ。


『魔法回路』


 脳内に一覧が出現。

 脳内でプレートを見ながら『ホットブリーズ』。


 個人情報画面が消え、ホットブリーズのプレートが出現した。

 素早い起動は、何度も練習が必要か。

 無詠唱? プレートを呼び出さずに魔法の発動は可能なのか?


『収納』

 何度か練習すると魔法回路を意識しながら『ホットブリーズ』と呼び出すと呼び出せることがわかった。


 イメージして、魔法核に魔法力を集め、<ホットブリーズ>と魔法陣に魔法力を流す。


 指先から風が吹きだす。

 顔に向けるとホンワカと生ぬるいのか? ただのそよ風で暖かくない。

 ママのホットブリーズは暖かいのに、出来損ないのドライヤーみたいだ。


 不良魔法陣? これで乾くのか? と疑問に思った。


 試しに『強く』と思ったら、それなりに強くなった。そして体の魔法力が抜けていく気がした。

 あー、なんか風で撹拌されている。

 魔法名はともかくも、効率よく水気を引き飛ばすってことか。


 今度は強さをイメージして『弱く』

 半分程度の強さの風になった。


『徐々に暖かく』

 暖かさもイメージしたが、全然暖かくない。

 ママのは暖かいんだけどな? どうも違うようだ。


『風も徐々に強く』

 イメージ通りに風は強くなる。

 コントロールはアバウトのようだが、やっぱり不良魔法陣なのか、ママと確実に違う。


 ま、今は保留だ。

『そのままで』

 ちょうどいい、わけじゃないけど、指示通り止まった。


 魔法力の消費は威力に伴って減少するようだ。


 ラノベ定番、


 ― 魔法力の枯渇で気絶。

 ― 眠って回復。

 ― 魔法力量の増強。


 をやるべきか。

 ヤッパ一回は枯渇をやるべきだろう。…と思ってそのまま魔法力を流し続けた。


 その前に魔法回路のプレートはしまっておかなくっちゃ。


『収納』


 想像通り、一旦発動した魔法は魔法回路が無くても継続可能だ。

 強くもできる。


 魔法値が減るのが遅くて魔法力を強めに込めた。

 しばらくすると…、だるい。


 しばらくすると風が弱くなってくる。

 そしてだるさが変な疲労感に変化する。気持ち悪。


 そして止まった。


 気絶はなかったが、非常にだるいし、もうろうとする。気分も悪く最悪だ。

 目をつぶれば簡単に夢の世界ではなく、闇の世界に旅立てそうだ。


 我慢して、頑張って、

『個人情報』


----------------------------------------------------

【セージスタ・ノルンバック】

 種族:人族

 性別:男

 年齢:5


【基礎能力】

 総合:8

 体力:5/8

 魔法:0/12


【魔法スキル】

 魔法核:3 魔法回路:3

 生活魔法:0 火魔法:0 水魔法:0 土魔法:0 風魔法:0 光魔法:0 闇魔法:0 時空魔法:0 身体魔法:0 錬金魔法:0 付与魔法:0 補助魔法:0


【特殊スキル】

 鑑定:0 看破:0 情報操作:0 記憶強化:1 速読:1


【成長スキル】

 基礎能力経験値2.14倍 スキル経験値2.14倍

----------------------------------------------------


 ダメだ。


 そして魔力量“0”だ。

 おお、目が回る。


『収納』


 そして、おやすみなさい。……オエッ、気持ち悪。


誤字連絡ありがとうございました。

3/12訂正しました。

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