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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
転生編
3/181

02. スキルゲット、友人ゲット

 プレートの取得に試案をしているとプレートが交差クロスする個所がいくつもあった。

 それはそうだろう、プレートは右から左、左から右、上から下、下から上、同様に斜め四五度の角度で四通りの動きをしている。

 そういえば八枚のプレートがあったものは、別々の動きをしていた。


 試しにプレートを取る練習でもしてみようかと思い。


 えいっ。


 気合を入れて右手でプレートが二枚クロスするところで素早くつかむ。


 簡単に取れた。

 説明表示が重なって二枚現れた。読めねー。

 説明文も読まず(読めず)にプレートを離すと説明文が消え、その場から元の軌道を回り始める。


 もう一度二枚を同時に捕まえるが同じだった。

『二枚はダメ』って言って無かったが『薙ぎ払うのがダメ』って言っていた。

 ならば両手では。それで二回になるのか?

 プレートの枚数も最大八枚に……。気になる。


 魂魄管理者が『二回です』と言った言葉が改めて思い出される。というか妙に気になりだした。

 事務的な説明だったのが『二回です』と強調したのも不自然だったような。気にしだすと、頭から離れない。


 そういえば『魂魄管理者の一人』ってのも妙に強調していたような気がする。

 魂魄管理者が複数存在することは確定で、意見の相違があるってことか?

 転生者を保護したい管理者と、ひいきをしたくない管理者がいたとしてもおかしくない。それにその他の意見があってもおかしくはない。


 不自然に強調したってことは、暗にできるってことを伝えたかったからなのか。

 説明をした管理者は保護派なのか。


 ミスリードの可能性も否定できないが、ここでは信じた方がよさそうだ。

 希望が見えてきた。


 物は試しとクロス個所をいくつも探し、同時にクロスする個所を探し出す。


 えいっ。


 気合を入れて左右の手でプレートがクロスするところをそれぞれつかむ。


 四枚が簡単に取れた。

 説明文が二ケ所で重なって表示される。

 同様に読まずに捕まえたプレートを放すと説明文が消え、その場から元の軌道を回り始める。


 その後左右の手で何度も練習するが特に困ったことはない。

 プレートを重ねて見ることは無理なので、これはやはり取得ゲットを意識しての仕様と考えて差し支えないと思うことにした。


 浮遊するプレートも俺から一定の距離で周囲していて、俺が移動するとそれにつれて一緒に移動する。

 ちなみにプレートの交差クロスは、お互いのプレートがすり抜けているように見える。


 足でもとれるのか?

 変なことを思いついた。


 適当に足を考えると突き出して動かせた……が、プレートが取れなかった。

 感触はあったが、スルリとプレートが通過してしまった。


 それでもと思って何度かトライしてみると、つかむ感覚が会得できそうな気がした。

 そして更に続けること数十回。否、数百回かもしれない。

 何とかプレートをつかむと、手と同様に説明文がプレートの場所に表示された。


 どうやって読めっていうんだろう、と思ったら、説明文が目の前に移動してきた。


 更に練習して両足ともクロス個所だと二枚取ることができた。


 うまくいけば両手、両足で八枚ゲットってことだ。

 夢が膨らむが、四カ所同時にクロスを見つけることは至難だ。しかも欲しいスキルが集まるなんて無理ゲーだ。


 プレートをつかんでは離しを繰り返し、思案する。

 試しに頭でも取れるかと思ったが、頭を動かすと体と一体で一緒に動いてしまい、必然的にプレートが移動して取得不能だ。


 はたと気づいて、左から右へ移動する<魔法:火・水魔法>プレートを上に押し上げ、<魔法:土・風魔法>の軌道に重ねる。

 つかめるし、動かせるから当然か。


 クロス個所で簡単に取れた。


 試しに左から右へ移動する<魔法:火・水魔法>に、やはり左から右へ移動する<魔法:光魔法>をピッタリ重ねようとしたが交差個所で上下に軌道が移動してしまった。無理か?


 試しに向き合う軌道のプレートが、ぶつかる場所で移動しても取れるか試してみたけど、何度やっても無理だった。


 そうなると上下・左右の二枚、同様にななめの四枚の取得が可能だ。

 両手両足で一六枚。二回で三ニ枚。


 結果、成長系がチートの基本だろうと<成長:基礎能力経験値1.1倍>と<成長:スキル経験値1.1倍>を八枚づつ用意した。

<成長:基礎能力経験値1.1倍>と<成長:スキル経験値1.1倍>を一六枚づつゲットすると4.6倍となるはずだ。半分の八枚で2.1倍のはずだ。……暗算、計算間違いをしていなければだが。

 1.1倍はしょぼいが、4.6倍ともなればかなりのものだ。

 それに同じプレートは八枚しか存在しないので、一回目の取得ゲットでプレートが消えなければということでだ。

 まあ2.1倍でも相当なアドバンテージだ。


 右手、左手、右足、左足と練習もかねて四枚取りを何度かトライするとうまくいった。

 コツはためらわずに一気につかむことだ。

 優しくそっとつかむと一枚か二枚のプレートがこぼれる。

 足は前方斜め前に突き出す位置が最適だった。

 両手と両足を前方に突き出す。幅跳びでの空中姿勢、または前屈した時に途中の姿勢、否、体が硬く、腹が出てきていた現在(死亡直前)ではある程度尾限界の姿勢だったかと思うと妙におかしくなって、笑ってしまった。

 ちなみに、かがんだ感覚で作業をすると足用のプレートが無理なくセット・調整が行えた。


 一か所のクロスを作るのは、テストでも作成して意外と簡単だった。二箇所でもすんなりいった。

 そして時間を考えて、三カ所を飛ばして、四カ所にチャレンジしたのだが苦労した。

 まず最初の難関が、無駄なプレートを邪魔にならないように周回させることだ。

 練習では案の定、手を気を付けると足が、逆に足を気を付けると手が思うように動かない。視界は前後左右上下と三六〇度あるが、意識が三カ所同時に保てない。

 結局、四カ所を同時に取るには所定の位置と軌道とタイミングをセットすることだと気づき、両手両足を同時に所定の位置に出すだけとしてそれを反復練習して、プレートの周回位置とタイミングに神経を使った。特に両足の位置とタイミングには気を使って調整した。


 ちなみに魂となって浮遊しているから、両足ゲットが可能なことも検証済みだ。


 練習していると目障りな不要プレートを移動させたり、クロス位置を微妙に移動させたりと何度も試行錯誤を重ねた。

 こういう地味な事でも頑張っちゃう。結果が見えていればなおさらだ。

 四カ所同時ゲットがほぼ一〇〇%となったのが、


 09:09:11:27


 一三日が過ぎたところだ。


 07:10:43:15


 更に二日の練習を経て、一回目にチャレンジ。

<成長:基礎能力経験値1.1倍>と<成長:スキル経験値1.1倍>は左右の手足に均等に配置した。

 どれかが失敗した時のことを考えてのこともあるが、なんとなく気分が楽になった。


 緊張に冷や汗が噴き出しそうだ。気分だけだが(笑)。

 どうも手足が出ない。亀か。

 左足の周回が気になって、再度調整しようとするも、ズレはなかった。


 ええい、ままよと思って、気合を入れる。

 しくじっても両手は取れると思ったら案外気が楽になった。


 視界がクリアになった気がして、“取得する”と思うと、気負いなく手足が伸びていた。

 手足のプレートが体に溶け込んで侵入するような感覚があった。

 一六枚の赤いプレートが消えると、脳内に<基礎能力経験値2.14倍>、<スキル経験値2.14倍>のスキルが浮かんだ。

 そして予想通り<成長:基礎能力経験値1.1倍>と<成長:スキル経験値1.1倍>のプレートは復活することは無く、想定通りなのか残った赤いプレートはそのまま浮かんでいた。


 同じことをもう一回だ。今度は早くできる自信があった。

 友人作りも気になるので、あと四日、全部で二〇日程度でスキルゲットは完了したい。


 二倍強の成長速度があると思えばある意味チートだと思って、以下のセットにした。

<魔法:火・水魔法>、<魔法:土・風魔法>、<魔法:光魔法>、<魔法:闇魔法>、<魔法:錬金魔法>、<魔法:身体魔法>、<魔法:時空魔法>、<魔法:付与&補助魔法>、<特殊:鑑定>、<特殊:看破>、<特殊:情報操作>、<特殊:記憶強化>、<特殊:速読>、<魔法:魔法核&魔法回路>×3とした。

 魔力眼も取りたかったがそれは自ら頑張って取得することにした。武術なども経験値二倍に期待だ。

 二度目のチャレンジ。


 二千五百人には成長速度では負けないと思うと気が楽になった。ただし、人によってプレート枚数に差異がないとしてのことだが、そればかりは気にしても仕方がない。

 結果、取得(ゲット)もうまくいった。


----------------------------------------------------

【魔法スキル】

<魔法核LV3>、<魔法回路LV3>

<生活魔法の素>、<火魔法の素>、<水魔法の素>、<土魔法の素>、<風魔法の素>、<光魔法の素>、<闇魔法の素>、<時空魔法の素>、<身体魔法の素>、<錬金魔法の素>、<付与魔法の素>、<補助魔法の素>


【特殊スキル】

<鑑定の素>、<看破の素>、<情報操作の素>、<記憶強化LV1>、<速読LV1>


【成長スキル】

<基礎能力経験値2.14倍>、<スキル経験値2.14倍>

----------------------------------------------------


 多くのスキルに“素”の文字。取得するにも知識と練習が必要ってことだ。

 2.14倍って微妙だ。

 結構なスキルが“素”となっているが、魔法核と魔法回路だけはレベルが3だ。

 記憶強化と速読はレベル“1”となっているってことは、六つは最初っからアクティブってことだろう。

 何故か<付与&補助魔法>が分割されていた。

 それとお約束の生活魔法があった。


『取得したスキルは記憶が戻るまで封印されます』


 頭の中に何故か嬉しそうな管理者の声が響き、赤いプレートが消え、魂の色が赤くなった。


 スキルはあっても実感はない。

 そもそもほとんどが“素”だし、スキル一覧は見えるが、何の情報も取れないし、封印されているような気がする。


 名残惜し気に脳内データから目を離す。


 03:08:29:19


 カウントダウンカウンターの残りは三日と少し。思ったよりも時間をかけしまった。苦笑してしまう。


 ふと気付くと、周囲に四人の赤い(友人ゲット中)の魂が浮かんでいた。

 いやな気はしない。


 更に周囲に目を向けると、緑(睡眠中)の魂が多数見受けられる。

 そして多くの緑の魂は三人で固まっている。


 ははーん、そういうことかと納得する。

 ザッと見回しても白い(スキルゲット中)の魂は見当たらない。

 赤い(友人ゲット中)の魂も数は少ない。


 俺って最後……。


 そうすると、転生するには心細いから三人でってことで待機している二人組が二組ってことか。

 待っててもらって申し訳ない。


 時間感覚が乏しいのもあるが、気負いこんでスキルゲットにいそしんでいたから仕方がないといえば仕方がないことなのだが……、待ってる方も大変だったことだろう。

 いつスキルゲットが終わるかわからないまま待ってたということは、誰もが不安な異世界転生。一人でも多くの友人がいると心強いってことだろう。 

 本当に申し訳ない。


 思わず気分的には頭を下げたら、なんとなくだが“よろしく”や“問題ない”というような挨拶らしき感覚が伝わってきた気がした。


 コミュニケーションの基本は挨拶だ。

『よろしく』と再度気分的なお辞儀をする。

 そうすると再度“よろしく”や“こんにちは”と挨拶が返ってくる。

 あー、波長が合うってこの感覚なのかって納得する。


『それでうまくスキルは取れた』と伝えたつもりなのだが、伝わってくる感覚は挨拶のみ。

 会話はできないことを思い出す。


 友人チームは三名まで、とういことは二人、二人で組めなくなっているということで、俺争奪戦。俺ってモテモテ。人生初。手も握れないのに。

 あー、理解。

 こっちの二人組は野郎だ。多分。いやな勘違いに冷や汗がでる。

 でも知り合いのような気がしなくもない。


 でも、こっちの二人はと見るとどうやら女性っぽいような気がする。

 ヤッパモテモテ。でも手を握るどころか顔も見れない。ヒジョーに残念。

 でも知り合いにいたか? 自信も思い出も皆無だ。

 それでも残り物には福がある。そう思いたい。


 あれっ、もう一人赤い魂がいて、近づいてくる。

 超モテモテなのか、最後の残り物、福の神なのか?


 二組四人にもなんとなく親近感があったが、それ以上に最後の赤い魂に同族感を感じた。


 こういうのは感覚や感性だ。

 そう思って接近する赤い魂に、こちらから接近して告白した。


『い、一緒になってください』


 うっわーっ! なんだこの結婚してください、みたいな告白は。


『こちらこそよろしくお願いします』


 応答がガツンときた。

 応答で分かったけど、相手は女性だ。

 ど、どうしよう。


 生前だったら、顔を真っ赤にしてのたうち回っていたことだろう。否、そんなシチュエーションなんてニ次元の妄想の世界さえ無い。絶対無いと断言できるほどだ。……全然うれしくないけど。


 ちなみにゲームは友人に誘われて一緒に冒険したRPG系しかやったことがない……ことになっている。もちろん小・中学生の頃は別にして社会人になってからだ。

 恋愛シミュレーションゲームは触ったことが無いとは言わないが、友人から勧められて借りたゲームは、あまりにも二次元彼女のセリフが強烈で、鼻血がと思わず上を向いて目を閉じて鼻をつまんでしまったほどだ。

 自分の部屋なのに、思わず誰かに見たり聞かれたんじゃないかと周囲を見回してしまった。

 恥ずかし過ぎてそれ以上進められず、そっとログアウトした苦い経験(黒歴史)がある。

 友人には面白かったけど時間がないからといって返却した。


 逃げ出したいのはやまやまなれど、告白したのはこっちだし、ちゃんと答えて(?)くれたんだ。

 社会人として礼を失することははばかられる。ただそれだけの矜持で立ち止まっていた。冷や汗どころか、脂汗を垂れ流しているような気分だ。


 どうやら彼女にしてみたら決定事項のようだ。告白してOKと答えたのだから当然だろうが……。


 相手の魂がピタリとくっついている。恥ずかしい。

 まあ、くっつくといっても手を伸ばしてつかまれている感じだ。


 そのまま二人でブラブラと放浪(引きずり回されるともいう)することになった。

 どうやら彼女は観察好きなようで、赤い(活動中)の魂だけでなく、緑(睡眠中)の魂もそれなり近づいて眺めていた。

 そしてメンバーが増えるわけもなく、そのまま眠りにつこうとした。


 眠りにつく前に、魂魄管理者からの最後のメッセージがあった。

『転生者としての知識に少しだけ制限が掛かることは告げましたが…』


 世界を破滅に導くことが可能な知識は引き継げませんってことは確かに聞いた。覚えている。


『もう一つ制限があります。

 一緒となって転生する者同士で会話することは特に問題ありませんが、転生者だということを他の人に告げるだけでなく、ほのめかすようなことはできません。紙などに書くことも同様です。

 仲間となった転生者同士の会話を、誰かに聞かれないようにする細心さも必要です。

 それはここに集う他の転生者に対しても同様です。

 無理して告げようとすると地球の知識や思い出が無くなります。心してください。

 それでは良い転生を。

 おやすみなさい』


 えっ今更、と思ったが意識が途切れた。


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