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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
浮遊島上陸編
178/181

174. デビルズ大陸再び

遅くなりました。

ごめんなさい。


 八月一日赤曜日、デビルズ大陸に向けて出航の日だ。

 実際の夏休みは八月六日黒曜日から六週間の九月一八日黒曜日までだけど、その一週間前からの夏休み(?)となる。


 ダンスの課外授業を担当するモリンガ先生(女性)とフロイダル先生(男性)にはダンス競技会の出場をせがまれたけどシッカリとお断りを入れた。

 残念がられたけど仕方のないことだ。


 キフィアーナちゃんの“海の貴婦人”と、オーラン市の“オケアニス号”による、デビルズ大陸での魔獣調査及びレベルアップの魔獣の特定が目的による自主夏休み(?)だ。

 それと重要度はかなり下がるがデビルズ大陸の未調査場所の調査を行えればということで、例をあげれば浮遊島やダンジョンなども念頭に置いる。まあ、何処までできるか不明だけど。

 とにかくレベルアップを行いながら、ついでにレベルアップのしやすい環境を発見する。そして更にユトリがあればということで、臨機応変というのが本音だ。


 グラナダ港ではヴェネチアン国の船とも合流する予定だ。


 それとデビルズ大陸に向かう“神の御子”は僕たちだけじゃない。


“オケアニス号”にはネオホープの四人が乗船している。

 理由はマリオン上級魔法学校の卒業生で一番レベルが高いからだそうだ。

 ミリア姉やロビンちゃんは悔しがっていたんだそうだ。


 ヴェネチアン国からも“神の御子”の他にワンダースリーが来る予定となっている。


 その他にはロト国も近隣の国と一緒にデビルズ大陸でレベルアップや調査を行うという噂もあるし、その他の国もマリオン国やヴェネチアン国に盛んに働きかけているようだ。


 どこでも考えることは一緒だし、オケアノス海周辺諸国ではグラナダ街を恒久的な都市にしようという議題も上がっており、その前準備ということもあるんだそうだ。

 まあ、お告げのこともあるから当然か。


 そういう訳もあって僕たちの立場はマリオン国とヴェネチアン国の共同チームという微妙な立ち位置だ。

 まあ、あまり気にしても仕方がない。


 それとアーノルド大陸の南方の国やバルハ大陸の西の国からも、ことによったらだが船が来るかもしれないらしい。

 あまりにも不確定だけど、様々な国が動き出したということみたいだ。


 話は飛ぶが今回からデビルズ大陸での制限値がアップした。

 上陸組の最低総合値は“50”となって、船の乗組員は“40”となった。

“海の貴婦人”の乗組員は全てヒルデさんの下、まあ僕らも多少は協力したけど、七沢滝ダンジョンでレベルアップが行われた。


  ◇ ◇ ◇


 荒波に天候不順にもめげず、無事酔うこともなく八月六日黒曜日の昼前にデビルズ大陸のグラナダ港に到着した。

 ヴェネチアン国の船はまだ到着していない。


 海の貴婦人とオケアニス号だけなので、グラナダ街の防衛を固め、上陸部隊はこぢんまりとまとまって街の中で一泊する予定だ。


 僕たちやネオホープのレベルアップチームで周辺の草むらや森林の調査を行った。

 前回分け森林に分け入った時の道も幾つも残っている。

 猛毒のポイズンマタンゴを狩りつくした所為か、猿系や猪系の魔獣が多く生息していている。

 強いところだとオーガや虎系も生息しているし、デスワームなどという気色悪い虫系もいる。

 奥深いところに行けばもっと違った魔獣もいるだろう。


 僕たちが周辺の調査や魔獣を狩っている頃、工兵がグラナダ街をレベルアップの拠点へとするべく作業を行っていた。


 途中土砂降りに見舞われたが、特に異常もなくグッスリと眠りにつくことができた。

 ああ、割り当てられた家は前回と同じ家だ。

 二階の寝室にはベッドも設置したし快適だ。


  ◇ ◇ ◇


 八月七日赤曜日。

 僕たち一行――僕・ミクちゃん・ルードちゃん・キフィアーナちゃん・リエッタさん・ラーダルットさん――はグラナダを発って、ギルガメッシュ山脈のふもと近くのエルフの里のミョードルナ村にテレポートで飛んだ。

 一応拠点の一つとして使用させてもらうつもりだ。


 以前もらった結界鍵魔石(キーストーン)で妖精結界に入って挨拶を交わす。

 リュアナッパ村の妖精結界を張っていたホーナちゃんがミョードルナ村に移り住んでいるからできることだ。


 顔と名前が一致するっ人は元リュアナッパ村の最長老のオルトラ婆様などの、元リュアナッパの住民たちだ。


 草原のような見晴らしのいい場所に移動、いよいよ今回の目的のレベルアップのための狩りを開始する。


 強さ“50”以下の小物魔獣は適当に狩って前進する。

 まずは準備してきた武器や装備の確認で強さ“100”程度の魔獣を探す。


「サーベルブッシュホッグ発見、強さはおおよそ“95”、準備開始!」

「「「おー!」」」

 これでいいのか。どういう訳か僕がリーダーとなっている。


 特殊武装魔導車(ケラウノス)を僕とミクちゃんがアイテムボックスから取り出す。

 今回は二門の短針魔導砲は、二連装の魔導ネットの発射装置となっている。

 一門はキフィアーナちゃん、もう一門はルードちゃんの担当で、運転席にはラーダルットさんとリエッタさんが座っている。

 もちろん出発前にララ草原で試し打ちは何度も行っている。

 ケラウノスの装甲も厚くして、射撃場所の安全も確保している。

 まあ、その分ケラウノスの速度や走行距離は半分程度になっちゃったけど致し方ない。


 横長の大きな落とし穴を作り、底を粘着液で満たす。

 粘着液は悪魔でも足止め程度のものだ。

 穴お上はイリュージョンで草が生えているようにごまかす。

 あとは魔獣香を焚いて、その匂いを風魔法でサーベルブッシュホッグの方に流せば待つだけだ。


 あっと、もしものためにケラウノスの前というか側面に堀と土壁を作って隠れれば完成だ。


 何匹かの弱い魔獣が近寄ってきたがそれらは瞬殺して、アイテムボックスに放り込む。

 五分ほどするとドドドド…と地響きともにサーベルブッシュホッグが駆けてきた。


<フローコントロール><イリュージョン>

 風の流れを変え、人型のマネキンのような目標物を出現させ、サーベルブッシュホッグの方向を微調整する。


 ドドドド…、ズドン、PIGYAAaa……!


 落とし穴に落ちながらの勢い余って、穴の壁に盛大に激突。

 怒りなのか悲鳴なのかは不明だが、叫び声が聞こえた。


「出動!」

 僕が手を上げると二両のケラウノスが走りだす。


<身体強化><ハイパースフィア>『並列思考』『加速』『隠形』……


 ハイパースフィア。

 五層シールド(フィフススフィア)の強化版の七層シールド(セブンススフィア)を作り、それを個人魔法化したものだ。


 戦闘態勢を整え、落とし穴の真上に飛ぶ。


<ハイパー粘着弾><ハイパー粘着弾>

<ハイパー粘着弾>

 僕とミクちゃんでサーベルブッシュホッグの動きを弱める。


 バン、とまずはキフィアーナちゃんが魔導ネット砲を撃つ。

 パーッと広がった魔導ネットが落とし穴の上に広がり、サーベルブッシュホッグにかぶさる。

 バン、温度はルードちゃんの魔導ネットがサーベルブッシュホッグにかぶさる。

 そして追撃の<ハイパー粘着弾>を見舞う。


 ただ魔導ネットをかぶせただけだと、魔法でまとった風などの防護皮膜で振り払われてしまう。

 そのための粘着液だ。

 行ったに絡まれば魔法でも振り払うことは難しい。


 サーベルブッシュホッグは、PIGYAaa…、喚き、もがくがほとんど動けない状態だ。


 キフィアーナちゃんが嬉々として止めを刺して狩りは終わった。


 巨大毒サソリ(デスストーカー)巨大毒蛇(キングバイパー)などの反省会を行いながら狩りを続けた。


 途中で会った半人半蜘蛛のブッシュハイドアラクネーは立体的な動きができるから除外したし、鳥魔獣も対象外なので危険をわざわざ求めることもないので回避した。


 それと予定外に強い魔獣が複数接近してきた時には、僕、もしくは僕とミクちゃんで倒したこともあった。


 最後はグランドオーガ(強さ“120”)は、レベルアップを意識したキフィアーナちゃんの狩りを行った。

 開始前から少々緊張もしたし、途中で地震の発生でヒヤリとした瞬間もあったが無事レベルアップの演習は終わりを告げた。


 魔導ネット砲に特殊武装魔導車(ケラウノス)の扱いはミクちゃんと僕もできるので、リエッタさんとラーダルットさんのレベルアップ時は、僕とミクちゃんはケラウノスの操縦も行ったりもした。


「それにしても魔獣が多いね」

「そのおかげで練習はいっぱいできたけどね」


 狩りを終えミョードルナ村に戻って近距離電話(マジカルフォン)で報告すれば夕食を摂って寝るだけだ。

 もちろん泊賃として狩りの獲物を大盤振る舞いする。


  ◇ ◇ ◇


 一方ネオホープのレベルアップ狩りは、僕たちと違って時空魔法の所持者もいないし、結界鍵魔石(キーストーン)を持っていないこともあり、グラナダ街の周辺の草むらと森林で行っている。

 やることは僕たちと似たような事を行っていた。

 ただし魔導車が使用できないのもあるが、そもそも武装魔導車を用意していない。

 特殊装備にトライガンは装備しているが、レベルアップの狩りは人海戦術だ。

 二小隊で手投げの軽量ワイヤーネットを用いて、魔獣を捕縛してネオホープの四人が順番に狩って経験値を稼ぐ方法を取っている。

 小隊も含んで総合の最高値が“100”ということもあって強さ“110”程度の魔獣の足止めにも手間取ってしまい、効率よく狩りは行えなかった。

 それどころか、索敵自体が僕より落ちるのはどうしようもないことだけど、それで強い魔獣との遭遇でてんやわんや、辛くも逃げ出すこともあった。

 結果、あまり数はこなすことはできず、目標の強さ“110”程度の魔獣は二匹しか狩れなかった。


  ◇ ◇ ◇


 八月七日赤曜日。

 出足としてはちょうどいいのが見つかった。

「サーベルヘッド発見、強さは概ね“155”」


 サーベルヘッド。

 サイのような体形でゾウのような巨漢、長く鋭い角は衝撃波を生む。

 風の防護皮膜をまとって、高熱の風の刃(ヒートエッジ)を飛ばしてくる。

 最大な脅威はもちろん鋭利な角で、高熱を発するヒートホーンを用いた高速突進と相まって大抵の盾では防げない。

 うろこのような表皮は夏を帯び、更におろし金のようで、かすっただけでも肌が焼けるし切れる。


 射手のルードちゃんに代わってミクちゃんが着く。


 僕とルードちゃんが上空からの援護で、ミクちゃんとキフィアーナちゃんが魔導ネットを掛け、<ハイパー粘着弾>で動きを弱める。

 さすがに止めることは不可能だ。

 魔法攻撃(ヒートエッジ)を断続的に撃ってくる。


 ここまで強くなると遠隔攻撃の無い魔獣がまずいない。

 それを倒さないとレベルップはほぼ不可能だ。


「ルードちゃん行くよ!」

「了解!」


 僕のハイパースフィアに守られながら、ルードちゃんが突貫する。


「行けー!」「オリャーッ!」


 ガキン、と振り回される角を紅銀輝で受け止める。


 ズドン、とサーベルヘッドの首筋に、ルードちゃんの槍が深々と刺さる。


 PUGYAAaaーーー。

 ヒートエッジがハイパースフィアにはじけ飛ぶ。


 バチン、と電撃が走りサーベルヘッドが動きを止める。


 その後も順調に狩りを続けたが、昨日と同様、

「炎撃鳥がこっちに来そうだから退避するよ」

 炎撃鳥(えんげきどり)

 名前の通り炎の鳥だ。

 今回のレベルアップには不適当なのでケラウノスをアイテムボックスにしまって、<ホワイトホール>で安全な場所に飛んで狩りを続行する。


 そのようなこともあるが、ダブルヘッドレッドオーガ(強さ概ね“165”)、電撃ベア(強さ概ね“130”)などを順繰りに倒して終了した。

 もちろんその人に見合った魔獣の相手をしてもらうため、順番は確定じゃない。

 本人の総合値の“20”程度上の強さの魔獣を相手してもらっている。

 そういった個人情報の暴露もあるし、信頼のおける人たちで練習してきた狩りだから、新たにメンバーの追加はありえない。


 ちなみに僕は一匹も狩っていない。

 まずはみんなの底上げで、みんなが僕のサポートができるようになって初めて僕の狩りだ。


  ◇ ◇ ◇


 夕方ミョードルナ村に戻ると、ワンダースリーと一緒にヴェネチアン国の神の御子とされる高等魔法学校生の五人が到着していた。


「みんな元気にやっていたか」

「「「こんにちは」」」


 ガイアディアさんも一緒でキフィアーナちゃんを心配していたけど、無事を確認すると安心していた。

 ただし今回はヴェネチアン国の神の御子のサポート要員だそうだ。


 今までの情報をワンダースリーに伝えると、前回僕たちと一緒に行動したワンダースリーも武装魔導車に魔導ネット砲を装備して持ってきていた。

 もちろんニードルショットも装備している。

 その他にも設置タイプの魔導ネット砲も持ってきていたりとかなり慎重に準備をしている。

 まあ、僕たちも設置タイプの短針魔導砲を持ってるけどね。


 ヴェネチアン国のレベルアップは他にも二チーム――兵隊と神の御子の混成――あって、そのチームはグラナダ街の近くでレベルアップを行っているそうだ。

 なんでも兵隊がグラナダ街付近の森しか知らないためにそのようになったそうだし、結界鍵魔石(キーストーン)を持っていないということもある。


 ヴェネチアン国でもレベルアップのデータとして、別の場所でのレベルアップの情報が必要だってこともあるのはマリオン国と一緒だ。

 ただ僕たちがネオホープの四人と一律に考えられるかってことあるけどね。


  ◇ ◇ ◇


 八月八日青曜日、九日黄曜日、一〇日緑曜日、一一日白曜日と天候不順で突発的な雨や落雷に、もちろん地震にも見舞われたりもしたけど順調にみんなの総合が上がった。

 さすがにアイテムボックスやフェイクバッグもいっぱいになるので、一度グラナダ街に戻って肉の提供を行った。

 ちなみに僕たちはテレポートを使って草原の奥で狩りをしている。


 一二日黒曜日の朝。

 ミクちゃんは“168”、ルードちゃんは“151”、キフィアーナちゃんは“133”、リエッタさんは“147”、ラーダルットさんは“131”となった。

 そうなってくると僕のサポートもきつくなってくる。


「一回セージちゃんのレベルアップやってみない」

 ミクちゃんの勧めでいよいよ僕の番だ。

 僕自身のレベルアップ方法も考えてきている。


 森の奥に移動しながら索敵(レーダー)を続ける。


「ティラレックス発見、強さは概ね“235”かな? やるよ」


 心眼を得ても強さを読み取ることは不安定で難しい。

 ティラレックスは初めて来た時に、早々に巡り合った恐竜系の魔獣で、口から熱線のようなブレスまで吐くから、まるでゴジラだ。

 体長はやや小ぶりで六.五メル、尻尾まで入れると一一メルほどもある。

 怒りだすと体表面が熱くなるから、その前に止めを刺せるかが分かれ道だ。


 魔獣香を焚いて魔獣石と牙と角を取ったサーベルブッシュホッグを置き、魔獣血石(ブラッドアミュレット)をばらまく。


「みんなは下がっててね。

 あとは無理をせず、打ち合わせの通りよろしくね」


 みんなが二人と三人に分かれて展開したのを確認する。


 イヤーッ! と紅銀輝で木を切り倒す。


 江戸時代の剣豪はとっくに抜いているんだろうな、と思いながら、戦闘態勢MAXでテレポートで上空に飛ぶ。


 はるかに浮遊島が見える。

 周囲に鳥系の魔獣がいないことは確認済みだ。


 ティラレックスが匂いを嗅いだのか、それとも獲物を感じとったのか、エサのサーベルブッシュホッグに近づいていく。


『やけに慎重だな。ヤッパ、デビルズ大陸で生きるってそんなもんか』


 ティラレックスがサーベルブッシュホッグを食べ始める。


『そろそろか』

 食べ始めは警戒していたティラレックスも夢中に食べている。


<身体強化><ハイパースフィア><フライ>『隠形』『認識阻害』『並列思考』『加速』……

 戦闘態勢を再確認して急降下の突貫を行う。

 手には特別に用意してきたハイパータイト――アダマンタイトとミスリルの合金――製のロングソードの紅銀槍(レッドルーン)として持ってきたものだ。


 レッドルーンに魔法力を込める。……とティラレックスが体を起こそうとする。


 ルードちゃんが木陰に隠れたまま『隠形』を『解除』する。

 ティラレックスがその木陰をにらむ。


 ミクちゃんがルードちゃんをつかんで<テレポート>して離脱する。


 ティラレックスがまた周囲を警戒しだした時に、『オリャーッ!』と心の中の気合とともにティラレックスの首筋にレッドルーンを突き立てる。

 固い……オリャーッ!

 今度は叫んでいた。


 ずぶりとの確かな手ごたえに、レッドルーンに魔法力を込め<ハイパーボルテックス>

 以前より格段に強力になった個人魔法だ。


 バリバリ、との手ごたえがあったが、ティラレックスが体をブルンブルンと振り回す。

 体も熱くなってくる。


 もう一度<ハイパーボルテックス>……で、ティラレックスが動きを止めた。


 その後にティラレックスの亜種のブラックティラレックスを倒し、ステゴザウルス似のステドラスと戦った時にはうろこの刃の反撃にあってしまったが、<ステップ>による三角跳びで回避して辛くも倒すことができた。


 ただし精神疲労、極度の緊張で狩りをやめた。

「疲れた」

「お疲れ様。今日は終わりでいいでしょう」

「セージは休んだ方がいいな」


 早めにミョードルナ村に戻ってユックリと休んだ。


 遅れて帰ってきたワンダースリーは初めての狩りということもあって強さ“80”~“100”程度の魔獣を倒して肩慣らしをしていたそうだ。


  ◇ ◇ ◇


 一三日赤曜日、僕の総合は“231”、魔法核と魔法回路が“24”となった。

 属性魔法は概ね“1”か“2”程度下で、これから鍛え上げるしかない。

 強い魔獣を倒したというのもあるが、“基礎能力経験値2.36倍”と“スキル経験値2.36倍”のおかげか、みんなより上がるのが早い。

 まずは時空魔法のレベル“22”・“23”・“24”のアイテムボックス・テレポート・ホワイトホールの魔法陣の作成だ。

 それが済んだら付与・補助魔法の定型魔法陣の作成で、あとは必要に応じてだ。


「たまには休もうよ」

「セージも疲れてるみたいだしな」

「ありがとう、そうしようか」

「わたしはまだまだいけるわよ」

「キフィは黙ってなさい!」


 グラナダ街に戻って一日休日として休んだ。


 ここまでのレベルアップで思ったことは、以前にも思ったことだけど僕の魔法は威力が強力だ。同じ魔法を使っても数段階上だ。

 濃度の高い負の魔素や魔法力の漂うデビルズ大陸だとそれが際立っている。

 次いでミクちゃんで、ルードちゃんとなっている。

 そしてリエッタさんとキフィアーナちゃんとなって、今回そういったことを感じたのがラーダルットさんがいるおかげだ。

 気づいてから狩りとは別に魔法の検証を行ったてのもある。


「セージちゃんがチートだとは思ってたけど、それが私にも感染してたなんて…」

「か、感染ってなんだよ」

「ごめん」

 ミクちゃんと内緒の会話もした。


 ルードちゃんやキフィアーナちゃんは単純に喜んでいた。

 リエッタさんは僕を称賛してくれた。


 ただひとり複雑な心境なのはラーダルットさんだった。

 まあ、それでも“神の御子”だからだろうと折り合いをつけていたみたいだ。リエッタさんのことは棚上げとして。

 あとラーダルットさん曰く「魔法に愛されている」だそうだ。


 何か特別なスキルがあるわけじゃないけど不思議だ。

 ミクちゃんやルードちゃんが魔法の完全枯渇となっても、気分が悪くなるけど活動可能な体質になったのも僕の影響みたいだし、何かその辺に理由があるような気もしないでもない。

 もちろん体内魔法力の活性化が原因だというのは理解しているけど、僕自身の根本理由がってことがだ。

 それにキフィアーナちゃんまでもが魔法枯渇近くまで耐えられるようになってきている。

 何度も体内魔法力の活性化をしたことあるものね。


 本当に何かのチート体質なんだろうかって疑いたくなるレベルだ。

 魔法陣を簡単に作成できるのもそれが理由なんだと思っている。

 とにもかくにも、そのおかげでレベルの上の魔獣、僕よりも数値で強い魔獣を倒せるじゃないかな(?) 嬉しいからいいんだけどね。


 時空電話(ディスタンスフォン)でパパにママ、ウインダムス議員やマールさんと久方ぶりに会話した。

 持ち込んだディスタンスフォンだから会話し放題だ。

 それとエルガさんには実戦での武器の感想を伝え、改良点をお願いした。

 まず第一が魔導ネットの広がる範囲の設定を細かく行いたいこと。

 それと魔導ネットの強化は必須だ。すでに一〇回ほど破られてしまっている。もちろん毎回補修しているけど、魔獣の強さが半端じゃない。素材自体から検討できないかお願いした。

 あとは特殊武装魔導車(ケラウノス)の後ろの荷台、要は射撃場所の強化用の魔石の依頼など細かいことも話し合った。


 お昼には狩った魔獣をさばいて、グラナダ街の防衛部隊と船の乗組員に振るまい慰安した。

 僕たちも盛大に飲み食いして、音楽を奏でダンスを踊り楽しんだ。


 ロト国の船と、バルハ大陸の西の国、ローブル国の船が到着した。

 ロト国の“神の御子”は当然――留学してきていたウバンダ君にエレノーラちゃんもいた――だが、アーギ国とフロン国の“神の御子”たち――同様に留学生のゼーラちゃんとホロウィーダちゃんもいる――も同乗していた。

 ローブル国の船も別の国の人たちも乗せているらしいがあまり情報が流れてこない。


 ウバンダ君にエレノーラちゃん、アーギ国のゼーラちゃんとフロン国のホロウィーダちゃんのおかげで、各国の神の御子たちとも顔見知りになれた。


 ちなみにウバンダ君にエレノーラちゃん、ゼーラちゃんとホロウィーダちゃんは未確認だけど全属性持ちのようだから転生者だと思われる。


 これからも船は増えていくことだろう。

 各国とも神のお告げに従い、それだけ必死ってことなんだろう。

 ただしグラナダ街の港の収容能力はそれほど多くはない。

 別の港街を復活させるという話もあるけど、現在はグラナダ街の上下の二本の川の河口を拡張して桟橋を増やすことで対応中、そういったことで工兵が大活躍中だ。


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