163. 新たな留学生と諸外国情勢
訂正、申し訳ありません。
オルジ兄の働き始めのか所で、昨年からと記述しましたが、今年からでしかもアルバイトです。
本格的な社員は年明けからです。
申し訳ありませんでした。
夏休みの期間各国との連絡は頻繁に取られていた。
僕が複写用魔法陣を作り終え、パパを通して話引き渡し、思った以上のお金をもらって驚いた。
学校に提供しているのもレベル6までしかしていないので、当然作成した複写魔法陣はレベル6の魔法陣までだ。
キフィアーナちゃんが一旦ヴェネチアン国に帰省して静かな夏休みかと思ったら、冒険者ギルドを通して僕たちに七沢滝ダンジョンの案内の依頼がことのほか多くて、めんどくさいのでボランドリーさんに一切受けないことをお願いした。
オーラン市にはオケアノス祭ほどではないが、数多くの訪問者でにぎわっていた。
その多くが七沢滝ダンジョンを目指す冒険者や他国の騎士などだ。
夏休み中クラスメイトのレベルアップ(合宿)には二回付き合った。
総合が“60”程度以上のクラスメイトを対象にして、七沢滝ダンジョンが一回と、それ以下が対象のボティス密林でだ。
けっこうみんな強くなった。
シエーサン君やキジョーダンなど総合が“85”程度で頭打ちとなっている。
魔法核と魔法回路が“6”程度になると個人魔法の作成方法をレクチャーしているので教育スキルもアップしている。
三年生と五年生はララ草原の狩りと、総合の高いものはボティス密林で狩りを行ったそうだが、そちらは不参加でお手伝い無しだった。
僕とミクちゃんとルードちゃんは暇な時を見計らって何度かオーラン海岸で海水浴を楽しん騨りもした。
ライカちゃんなどのクラスメイトが参加する時もあって、結構にぎやかだったりした。
もちろん日頃手伝えないN・W魔研の業務もシッカリと手伝った。
N・W魔研では新たにワイヤーネットの販売を開始して、思った以上の売り上げを上げている。
ヒーナ先生がヒーナさんとして、そしてカフナさんもN・W魔研の所員として活躍中だ。
ちなみに冒険者ギルドではワイヤーネットのマニュアルが販売されていて、思った以上に売れているそうだ。
特筆することでもないが陶器とクズ魔石で作られたお土産の置物、各種アクセサリーを売るお店が流行っているそうだ。
魔石にはわずかながらもイリュージョンの付与がされていて、ただ単に輝くだけだったりするものもあるが、キラキラとデフォルメ魔獣が浮き上がるものが人気だそうだ。
その他に“デフォルメ魔獣一覧”なんて本も出版されていてお土産になっている。
八月にもオケアノス海周辺諸国の会議というかお話合いのようなものが時空電話で行われたそうだ。
パパ曰く、引き続きの関係強化のようなものだそうだ。
マリオン国ではマリオン市と僕の住むオーラン市、ヴェネチアン国では王都のミラーノ市に伯父様の住むエルドリッジ市など複数の市が参加した。
他の国でもお話合いには直接参加はしないが、傍聴していた市は多数あったそうだ。
◇ ◇ ◇
N・W魔研はエルドリッジ市の魔法研究所と情報交換しながら魔導砲の改良を開始した。
エルガさんは張り切りっぱなしだ。
それとは別に船舶用の小型の時空電話の開発も行っている。
僕たちもそれに振り回されることも多い。
後は趣味になりつつある魔導車の改造もエルガさんと一緒にやっていて、現在は新規作成を行うまでに腕を上げている。
何かと勉強になるからやめられない。
それにミクちゃんも加わって、日本の知識も取り入れられないかという試みも行っている。
ちなみにオーラン魔法研究所とマリオン魔法研究所からも人は派遣されたが、能力不足として情報交換の対象外とされてしまった。まあ、会議には参加はしているってところだ。
エルドリッジ魔法研究所から派遣された職員は、以前から序方向感を行っていたため会話には参加ができるが、こちらも総合値の不足で戦力外だ。
開発の戦力としてはN・W魔研の所員だけというありさまだ。
ただし情報公開をしたおかげでマリオン議会でオーラン市を敵視していた一部の議員との関係も改善された。
いやー、大人の付き合いは大変だ。
「セージ君、この技術は内緒だからね」
エルガさんも無償ですべての技術を開示するわけじゃない。
一番難しい電増魔石の製造方法――付与魔法陣の組み合わせに積層構造の各層の厚さなどだ――は秘匿している。
N・W魔研の大人の事情もあって、更に大変だ。
◇ ◇ ◇
九月二一九日赤曜日、六週間の夏休みが終わった三学期の初日だ。
「留学生を紹介します」
ロト国のウバンダ君にエレノーラちゃん。
マリオン国とオーレン国に挟まれた最小国のクリーット国のビルローダ君。
ロト国の奥のフロン国のゼーラちゃんだ。
ウバンダ君にエレノーラちゃんは七沢滝ダンジョン見学会でロト国パーティーに居た人たちで面識がある。
ビルローダ君にゼーラちゃんもオケアノス海周辺諸国会議のパーティーで挨拶をしたそうなんだけど記憶にない。
ゼーラちゃんに至ってはダンスもしたんだけそうだど、ごめんなさい。記憶にございません。
そして二週間遅れてロト国の奥にあるアーギ国のホロウィーダちゃんが留学してきた。
こちらは初対面だ。
三三人だった四Sのクラスメイトが、五人の人族が増えて三八人となった。
二人ほど現在の四Sにしてはレベルが低いけど、国の後押しもあってということのようだ。
時間割も変更となって、まとまった時間で泊まり込みで狩りができるようになった。
四Sに関しては転生者が多く(?)、授業免除対象者が増えている。
落ちこぼれという訳じゃないが、授業数が大幅に狩りに傾いたので、Sクラスに限り放課後の一般授業の補修が行なわれるようになった。もちろん要対象と希望者だけだ。
一般授業に付いていけない者はAクラスに戻れということだ。かなり厳しい。
オケアノス海周辺諸国会議以降、マリオン国だけでなく各国が大幅に対大災厄モードに舵を切ったということだ。
いや、危機感から切羽詰まって舵を切らざるおえなかったっていったところだ。
そういった授業時々泊りがけの狩りといった生活が続いた。
ただそういった生活でも総合が“100”を超すのは至難の技だ。
シエーサン君やキジョーダンなど総合が“85”程度で頭打ちとなっている、と書いたが一週間程度ダンジョンに潜らないと下層で狩りができないためだ。
さすがに神の御子とされる魔法学園の子供たちとはいえ、自分より強い魔獣を狩るなんて許されていない。とうぜん高レベルのサポートが付くことになる。
そして総合が“100”の冒険者が少なく、夏休みの七沢滝ダンジョン合宿も、多くのクラスメイトの参加で、全体的な底上げみたいな合宿となった。
そのため八層以下の下層に行くことができず、個人的なレベルアップができなかった。
三学期に入ってもう一つ改変になったのが僕の造った複写魔法陣がAクラスでも無料複写となったことだ。
ただし性格判断や、神社から派遣された審議官などの判定を受けて合格した生徒だけだ。
レベル7と8の複写魔法陣はまだ提供していないけど、設計図だけは提供した。
自分で魔法陣を作れなければ、直接僕に頼むことになっている。めんどくさい。
それと、学校から複写に対してのお金が支給されることになった。
『複写』がビジネスとなっているので、無料とはいかないそうだ。
ただし一般の市場の三分の一程度の金額と破格の値段だ。それでもうれしいよね。
「セージちゃん知ってる? 三年生にも全属性の子供がいるんだって」
「それって転生者だよね」
「私もそう思う」
ミクちゃんからはそんな情報ももらった。
五年生に全属性がいないってことだから、多分だけど、五年間の転生期間で僕たちの世代が最初の世代なのかもしれない。
農村出身の生徒には高スキルの生徒がほとんどいないということも教えてもらった。
それらの情報の多くは生徒会長のモラーナちゃんからだ。
転生者やバルハライド生まれの高スキル者は、特に魔法を学習しやすい家庭に生まれていることは確実のようだ。
◇ ◇ ◇
何度もの大きめの地震が発生した。
◇ ◇ ◇
僕から、負の魔素と魔法力の所為で魔法の威力が落ちるという報告はセンセーションだったようで、各国がこぞって調査し、その回答が返ってきた。
結果、できたことといえば判断基準は各人の感覚となるが統計調査したところ、徐々にだが威力が落ちていると判断せざるおえなかった。
負の魔素や魔法力の集まる場所の魔獣は強い、魔法耐性が高いという概念があったために気付かなかったことだ。
◇ ◇ ◇
一一月には魔法学校の秋の文化祭が催された。
三年、四年、五年のSとAクラスの飾りつけが派手だったことは言うまでもない。
発表と飾りと、どっちがメインがわからないほどだ。
「ここまでやるとは」
僕は生徒会補助としてミクちゃんと校内を周って見たときに思わずため息が漏れた。
「そうねー」
ため息はミクちゃんも一緒だ。
三年Sクラスはイリュージョンの発表が目的で、部屋中がキラキラして目が痛い。
そして憧憬で目を輝かせている生徒を見ると、なんか心が痛くなってくるような……。
「い、行こうか」
「そ、そうね」
◇ ◇ ◇
ギランダー帝国の続報も届いた。
富国強兵に向かっているそうだが上手くいっていない。
吸収した西側の小国では氾濫やテロ行為が横行して、いつ独立してもおかしくない状況だそうだ。
ギランダー帝国もお荷物を抱えるよりも切り離して勝手に独立すればいいと思える行動もしている。
ビリリート第二皇子は行方不明だけど、ギランダー帝国内のテロ行為はビリリート第二皇子を帝王にしたいとする組織の犯行という噂もある。
リンドバーグ叔父さんも、僕がギランダー帝国に潜入した時にお世話になったエルフのウーフーダンさんとの連絡が取れないんだって。
なんだか聞いた内容からすると帝国はガタガタだけど、無理やり戦力の増強をしているってことだ。
要は民衆の不満を力でねじ伏せているってことだろう。
そんなことで大災厄に立ち向かえるか不安にしか思えない。
マリオン国も南側に隣接する国など手近な国へ同盟参加のを求める使節を送ったが、マリオン国を六か国で立ち上げた時に不和になった国々だそうで、結果は消極的な同意、お互い侵略を行わない程度の合意を取り付けた程度、お互い不干渉で大災厄に臨みましょういうことらしい。
ただ二度目の使節を派遣した結果、まあ短針魔導砲を目の前にちらつかせてだが、数か国からは通商条約の締結に前向きな反応があったそうだ。
他の国も取引がある国への使節を派遣しだしたそうだが、会話が始まったといったところだそうだ。
中には四年前のモンスタースタンピード以外に、つい最近モンスタースタンピードが発生して多大な被害を受けた国もあったそうだ。
それとは別に貧乏国もあって、協力より援助を求められることもあるそうだ。
◇ ◇ ◇
ヴェネチアン国とロト国以外からも複写用の魔法陣の依頼が来た。
あと六セットかと思ったら、各国二セットずつで、ヴェネチアン国とロト国も追加注文された。
あとはマリオン上級魔法学校からもだし、オーラン上級学校からもだ。
多分まだまだ増えるんじゃないか。いったい幾つ作ればいいんだ。かなり頭が痛い。
魔石の提供はあるそうだけど、僕にしても魔石に魔法陣を作成るには、ただ単に『複写』すればいいってものじゃなく、一つずつ魔石を疑似魔法陣核に変異させてから、魔法回路と魔法陣を構築しないといけないから手間がかかる。
集中して一セットや二セットを作ればいいってものじゃないから、これに掛かりっきりになると、自分の魔法の練習や新魔法の開発ができなくなる。
「できても一週間チョットで一セットがせいぜいだよ。
探索やダンジョンの潜るともっと日数が掛かるから、三から四か月かけて各国に一セットがいいところだよ」
「わかった。交渉はなんとかする」
「お願いね」
まあ、根を詰めてやれば、実際は夜の内職で三日程度で出来上がるんだけど、本当に何もできなくなってしまうもんね。
ちなみに現在作成中の魔法は“ソーラーレイ”の強化版、できれば波動をそろえて“レーザー”まで強化したいと思っている。
七沢滝ダンジョンの一一層や、アクアダンジョンでの経験則、負の魔素と魔法力に対抗してだ。
それは全ての魔法にも当てはまるから厄介だ。
ダンジョン以外でも雨天の戦闘になったら有効な遠隔攻撃はカートリッジライフルとカートリッジガンだけとなってしまう。
もちろん強さが“40”以下――相性によっては“50”以下、“60”以下かもしれないけど――の魔獣程度だったら、そんなことはないんだけどね。
そもそも短針魔導砲を造ったのも雨が原因だったから、同じことを魔法でってことだ。
レーザー以外にも似たようなものでメーザーもある。光かマイクロ波かの違いだけど、魔法でいったら光魔法と風魔法と格段の違いがある。
簡単そうに見えるのが射出速度のアップだけど、方向とコントロールとが揃わないといけない。要はバランスもあるから単純に魔法陣に精霊記号を加えただけじゃ上手くはいかない。
それと土魔法と錬金魔法の掛け合わせで金属ができないか、できないにしてもそれに近いものができないか。
カートリッジライフルとはいかなくとも、カートリッジガンに近い魔法ができないかと思ってそれも奮闘中だ。
そしてもう一つ、スーパービッグバンなどの強力な魔法に光魔法が組み込めたらと思っている。
そうすればダンジョン下層でも強力な魔法、威力のある魔法が放てるようになるはずだ。まあ、白い力を魔法陣に組み込めないから苦肉の策なんだけどね。
ちなみに僕自身はハイパービックバンなどににホーリーフラッシュを加えた個人魔法を造って対応したけど、魔法核や魔法回路が“14”や“15”などのミクちゃんたちは個人魔法化した強化魔法に更なるイメージ文字を追加しづらいのは確かだ。
僕もできるだけ魔法を効率よく使いたいので通常の複合魔法や合成魔法にホーリーフラッシュを組み込もうってことだ。
ただし効率化してもどれもこれも魔法レベルが10を軽く超すんだけどね。
ちなみに魔法を放つときに白い力を込めるっていっても、気分的なことだ。
発動自体は確信があるけど、確か手ごたえ、感触がないので不安定な力だとも思っている。
ニュートかプラーナが戻ってくれればなあ、とつくづ思ってしまう。
あパやウインダムス議員には複合魔法や合成魔法に光魔法を組み込むことによって対策ができるんじゃないかってことは報告している。
軟っか期待されてるのは分かるんだけどプレッシャーが……。
◇ ◇ ◇
アーノルド大陸やバルハ大陸全体の地図や、最新の国を記載した地図も新たに作成された。
初めてアーノルド大陸とバルハ大陸の全体像が見えた。
否、以前から地図はあったから知ってはいたけど、国名だけでなく都市に主要道路、大雑把な人口や産業などが見て取れるものを初めて見た。
ただし交友のある国でないと情報は不確かなものだそうだ。
アーノルド大陸の西側と南側は開けていて、マリオン国程度の国は幾つもある。
キュベレー山脈をはさんで東側は狭く小国ばかりだ。
バルハ大陸はギランダー帝国の西側に大きな国が三つほどある。
現在はそれらの国と連絡を取り始めたところで、半数程度とは連絡が取れる環境ができるそうだ。
神のお告げによる大災厄への対応があるから話は早いのは当たり前だけどね。
魔大陸のデビルズ大陸の情報はほとんど無いけど、負の魔素と魔法力に覆われ強力な魔獣がいることは確かだ。
大陸延滞がダンジョン化しているといったところか。
北の極寒の魔大陸、極北大陸は更に情報がない。
巨人族の大陸とされるのがネフィリム大陸だ。
獣人種やわずかな水生人などの雑多な亜人の大陸がエルフィード大陸だそうだ。
巨人族に獣人種に水生人と更に種々雑多なのがゴリアテ大陸というそうだ。
冒険者ギルドのニガッテさんの種族は有角人で、ワンダースリーのプコチカさんの天神族だ。
アーノルド大陸やバルハ大陸では珍しいそれらの種族も、文献によればゴリアテ大陸に数多く暮らしているそうだ。
あとはドワーフ族も多数いるそうだ。
かなり古くに交流したが、現在は交流もなく詳細情報も正確な地図もない。
もちろんその後にどのような変化があったかも不明なので、種族や人口に変化がある可能性もある。
現在はネフィリム大陸とゴリアテ大陸とゴリアテ大陸には特使の派遣を検討中だそうだが、派遣までには時間が掛かるとのことだ。
まだ住人――多分エルフだろうけど――が残っている可能性のあるデビルズ大陸には調査隊が派遣されることになっている。
極北大陸の調査はデビルズ大陸の調査後だそうだ。
それらは船舶用の小型の時空電話の完成を待って行われる予定だ。
N・W魔研、もとい、エルガさんとエルドリッジ市の魔法研究所のやる気がすごい。
総合が“95”のエルガさんの開発力がすごく、開発に拍車をかけている。
開発職で総合が“60”ともなれば最高レベルなんだから、エルドリッジ市の魔法研究所を技術や能力で凌駕しているんじゃないかなってほどだ。
僕たち総合が“120”以上――僕は“194”でミクちゃんは“143”――が精一杯手伝ってる。
僕にミクちゃんにリエッタさんとルードちゃんも精密加工のスキルを持っているから、的確な指示があれば、そりゃー高性能なものができるよね。
電増魔石や様々な魔石などは、今まで以上の精度で高性能の物を作成していった。
ちなみにN・W魔研にエルドリッジ市の魔法研究所の所員二人――総合“55”前後――が常駐しているが、その二人もエルガさんに振り回されているし、明らかに能力不足だ。
マリオン市の魔法研究所の所員とエルドリッジ市の魔法研究所の所員も加わっているけど似たようなものだ。
「あ、キフィアーナちゃんは邪魔しないで」
「なんでよ! あの二人より役立ってるでしょ!」
「指さしちゃダメだって」
そういうキフィアーナちゃんは“101”だ。
あと不思議な報告がある。
海上で次元の裂け目、負の吹き出し口が確認されていないんだそうだ。
正確には負の魔素や魔法力の濃度の高い場所があるそうなので一概には言えないってことだけど、女神様の影響なのかな? チョット不思議。
◇ ◇ ◇
僕の想像だけど転生者や高スキル者が生まれる場所、都市はかなり限定されているようだ。
治安のいい都市で教育が行き届いている都市だ。
ただしギランダー帝国などで生まれる転生者などもいるから一概には言えないんだけどね。
短針魔導砲の威力もある程度上がって、オーラン湾での海魔獣退治までの時間が短くなった。
マリオン国でもかなりの数を購入された。
ヴェネチアン国ではまた別の改良がされたそうで、ヴェネチアン国でも魔導砲の威力がアップしたそうだ。
◇ ◇ ◇
ライカちゃんの姉のモラーナちゃんは、惜しまれながらもマリオン上級魔法学校への入学はせず、オーラン上級魔法学校への進学を決めた。
ちなみに推薦で未試験だそうだ。
◇ ◇ ◇
ちなみに長男のブルン兄は本格的なオーラン・ノルンバック船運社とN・W魔研のマリオン支社を立ち上げ、今年からオルジ兄もその手伝い、アルバイト的にだがマリオン市に常駐している。
そして卒業するオルジ兄は、来年から本格的な社員だ。
ホイポイ・マスターや魔導砲から始まったマリオン市での営業は盛んで、その仕事のほとんどがN・W魔研の営業・販売となっている。
ポチットムービーとマジックキャンディーにワイヤーネットの販売も好調で、従業員を雇っているそうだ。
それがオケアノス海周辺諸国会議後に短針魔導砲の注文が増え、大型武装魔導車や小型艦用の小型短針魔導砲の要望もあって作成した。
年末になると小型短針魔導砲の注文も多くなってきている。
マリオン国から直接注文が来ることもあるし、近隣の市からの注文もあって、ブルン兄は近隣の市へ出張することが多くなって忙しい毎日を送っているそうだ。
今年は帰ってこられるか微妙だそうだ。
◇ ◇ ◇
アーノルド大陸とバルハ大陸の各国との協力関係は約半数の国と結べそうなところまで来ている。
動ける国は危機感が強く、それが協力関係への原動力になっていると思われる。
ちなみに遠方の国へは、マリオン国では一隻、ヴェネチアン国では三隻と時空電話を装備した大型船で使節が訪れている。
もちろん使節には他のオケアノス海周辺諸国の人も施設の一員として乗り込んでいる。
◇ ◇ ◇
一六月の終了式を終えると、四年Sクラス、キフィアーナちゃんを除く留学生の全員が帰国した。
三学期、四学期と国の兵士たちと、はたまたオーラン市の冒険者と七沢滝ダンジョンでレベルアップをした。
僕やミクっちゃんにルードちゃんもクラスメイトのレベルアップに付き合って、一緒に潜ったこともある。
特別に親しくなったって訳じゃないけど、普通のクラスメイト、それなりに親しくはなった。
人にもよるが総合が“70”前後、ハイスキル――多分転生者――だとに“90”ほどになったようだ。
◇ ◇ ◇
年末は複写用の魔法陣を各国の希望通りに納品して気分もスッキリしている。
それと光魔法入りの魔法陣もある程度は完成して効果があることは確かだった。ただし改良の余地はまだまだある。
ちなみに“ホーリービッグバン”、“ホーリーソーラーレイ”、“ホーリーボルテックス”でどれもがレベル12の魔法で、もうチョットボラッシュアップしたら他の魔法もトライしてみようと思っている。
それ以外にはお試し版で“ホーリーファイアー”、“ホーリーウォーター”、“ホーリーウインドウ”などの初歩魔法から、“ホーリーファイアーバレット”、“ホーリーフスプラッシュ”、“ホーリーストーンバレット”、“ホーリーサンドストーム”などの中級レベルの魔法もテスト的に作成したりもした。
レーザーやメーザーに至っては今だめどは立っていない。
「光の波長を合わせるにはどうすればいいですか?」
「光に様々な波長があるってことは知ってるけど、その波長を合わせるってどういうこと」
エルガさんに訊ねたけど首を傾げられてしまった。
同一波長で増幅した光がレーザーだということは知ってはいる。
もちろん日本にいた時の知識だけど原理は知らないから、知らないと一緒だよね。
どうやったらって試行錯誤の連続、新たな魔法陣に精霊記号を書き込んで、イメージを込めながら魔法を発動、定着したらまたもや複写でと、それを繰り返して思った通りの魔法になるように願っている。
そのレーザーにならないかな魔法陣も現在、一五個を超えている。
いろいろな魔法を試していたら技術スキルに創意工夫なんてものが出現していた。出現したのはここ最近だけど、いつ取得したんだか?
ちなみにミクちゃんはより強力な治癒魔法に、ルードちゃんは風の誘導系の新魔法にトライしてもらっている。
そしてパパとウインダムス議員に、複合魔法や合成魔法に光魔法を組み込む対応策があることを各国に連絡してもらった。
ダンジョン周囲でも負の魔素と魔法力の濃度が上がっているので、対策は急務だ。
いつもご愛読いただき感謝しております。
今年最後の投稿となります。
お正月は充電期間としてお休みして、一月七日頃の再開と思っております。
新章に入ったばかりで申し訳ありませんがよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。