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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
オケアノス海周辺諸国連合発足編
162/181

158. オケアノス祭 四年生 警備開始

オーラン上級魔法学校は間違いでした。

オーラン上級学校の魔法科でした。

申し訳ありません。

訂正しました。



 七月九日黄曜日。

 天候が急変してどんよりと曇り、強風が吹き、雷が発生した。

 雨は小雨だが、風の嵐だ。

 それと一緒に大きな地震があって、海が荒れ、ミニシーサーペントの出現で多くのセイントアミュレットブイやネットが破壊された。


 その他の海魔獣も出現して小さなオーラン湾で暴れ回った。

 ミニシーサーペントなどの海魔獣は風の嵐が去ってしばらく暴れた後、去っていった。


 急遽、仮設のセイントアミュレットブイやネットを設置したが、心もとない状態だそうだ。

 ただしオケアノス祭の用意もあって、修理がしばらくできず、仮設のセイントアミュレットブイやネットを増設して、オケアノス祭が終わった後に本格修復するそうだ。


 幸いにも“海の貴婦人”は無事だったが、数隻の漁船と警備艇二隻が破壊された。そのうちの漁船二隻と警備艇一隻は大破だそうだ。


  ◇ ◇ ◇


 七月一一日白曜日。

 仮設のセイントアミュレットブイやネットの増設は完了したそうで、一安心だ。


 噂だけど、七月九日黄曜日の地震の所為か不明だが、七沢滝ダンジョン内のモンスターが周囲を徘徊しだしているらしい。

 デフォルメ、SDバージョンの魔獣だからみまちがえることはないはずだ。


  ◇ ◇ ◇


 僕はカートリッジライフルを完成させて、みんなに試射もしてもらったけど。

「渡すのは、オケアノス海周辺諸国会議が終わってからね」

「えー! ミクとルードには渡して、わたしには渡さないなんて」

「どうせ、面倒ごとを起こすに決まってるから」

 キフィアーナちゃんが絶望にガックリと肩を落とすさまなんてなかなか見られるもんじゃない。

「普段の行いね」

 ルードちゃん、追い打ちを掛けるのは止めて。


 パパやウインダムス銀からの要請もあって、オケアノス海周辺諸国会議前にキフィアーナちゃんに渡すと、ヒルデさんを通して当然ヴェネチアン国に伝わる。

 会議で技術の提供などとなるのが面倒だし、ヴェネチアン国と個別交渉で、ヴェネチアン国の技術を引き出したり、提携したりと大人の事情ってものがあるんだそうだ。

 よくわかります。


「オケアノス海周辺諸国会議が終わったら、ヒルデさんと一緒に渡すから」


 肩を落としたキフィアーナちゃんの復活ならず。

 そのままヒルデさんに引きずられるようにして帰っていった。


 現在カートリッジライフルの所有者は五人。

 僕・ミクちゃん・ルードちゃん・リエッタさん、そしてエルガさんだ。

 エルガさんは使うことはほとんどないけど、改良点が無いか色々と見てもらっているってのがホントのところだ。

 作っているときからお世話にもなっているしね。


  ◇ ◇ ◇


「明日からいよいよオケアノス祭だね」

「パレード頑張ろうね」


 今日は終日オケアノス祭の準備で、パレード予行演習を何度も行って、最終確認も終わった。

 みんなそれなりに満足している。


 僕のハーモニカも素敵な三人の先生のおかげで、間違えずに吹けるようになった。疲れたし、厳しかった。そして精神的にきつかった。


 衣装、特にベストや帽子にはキラリンテープの装飾が増えて華やかになっている。

 帽子には<イリュージョン>を付与したから本当にキラキラだ。

 僕の感覚では派手過ぎで、恥ずかしいほど派手だと思うんだけど。


 ちなみにキラリンテープとは、粉末の魔石を塗布した装飾用のテープで、魔法力を流すとキラキラする。

 それが大流行して、僕たちのクラスでお採用したってわけだ。


「お祭りなんだからこの程度は普通だ」

「やるときにはとことんやる」

「魔法学校なんだから、魔法の宣伝をしなきゃだよ」

「靴下にもキラリンテープを張りつけようぜ」

 

 キラリンテープ愛好家などが中心となった派手派の主張が優勢となって、更にキラキラと派手さが増してしまった結果だ。


「恥ずかしんだけど」

 指揮者(ドラムメジャー)のシエーサン君も、キラキラな指揮棒を持て余している。


 何せ魔法の全属性持ちが最低で五人――僕・ミクちゃん・ライカちゃん・シエーサン君・キジョーダン――もいるし、キフィアーナちゃんやルードちゃんも光魔法を持っているから、派手にしようと思えばより一層派手にできるんだけど、派手派の主張は留まるところを知らないようだ。

 珍しくキジョーダンと意見の相違のブゾン君とガラクーダ君はいつ目覚めるんだろうか? それとも目覚めていて派手派なんだろうか?

 ちなみにキフィアーナちゃんは派手派だ。


「キフィアーナちゃん、個人魔法化したハイパーイリュージョンは絶対に使用禁止だからね」

「なんでよ。綺麗でいいじゃない。そのための魔法でしょう」

「ダメったらダメ! そうなったらみんなのパレードじゃなくって、キフィアーナちゃんのパレードになっちゃうでしょ」

「そうか。それはいいね」

「「「キフィアーナちゃん!」」」

「わかった。やらないってば」


  ◇ ◇ ◇


 オケアノス海周辺諸国会議の周辺諸国からの出席要請に対する答えは僕たち三人の判断に任されていて、オケアノス祭の終了した翌々日の一五日の黄曜日までに出欠の返事をすることになっている。

 ちなみにキフィアーナちゃんにも出席要請があって、その判断はヴェネチアン国とキフィアーナちゃんで相談中なんだそうだ。


 マリオン国を含む三か国に僕たちのことがバレているので、現在は出席の方向でミクちゃんとは合意が取れていて、ルードちゃんは思案中っていったところだ。

 ちなみに僕たちが出席しないと、ライカちゃんとシエーサン君が出席を打診されているという噂もあるし、ミリア姉とロビンちゃんが戻ってきて参加なんて噂もある。

 様々な活動や工作が行われているようで、それならばと消極的な合意、参加した方がいいんじゃないかってところだ。

 噂によって誘導されたのかってことも考えたけど、これ以上考えるのも堂々巡りで、無駄な神経を使うならばってこともあってだ。


 オケアノス海周辺諸国会議の予定は、まずは迎賓館ホールで歓迎パーティーが七月一七日白曜日と一八日黒曜日の二日間に行われる。

 そして翌週の二一日黄曜日から二四日黒曜日に渡ってオケアノス海周辺諸国会議が開催される。


 オーラン市はお祭り気分で盛り上がっているし、飾り付けも例年通り気合が入っている。

 いつものように海岸には大きなステージも作られている。

 そしてオケアノス祭のお祭りが開催される数日前から見かけない人が何時もの年より多く見かけるようになった。


 僕とミクちゃんとルードちゃんは、生徒会長のモラーナちゃんと生徒会会計のライカちゃんに、ボランティア責任者の五年生の六人でオケアノス神社の社務所に挨拶に行く。

 生徒会副会長と生徒会書記のシエーサン君、それにボランティア責任者の五年生とともに海岸警備の詰め所に挨拶に行く。

 オーラン魔法学校の生徒会が毎年行っているボランティア前の顔合わせだ。


  ◇ ◇ ◇


 放課後。

 オーラン上級学校に、オーラン魔法学校を含む四校の初等学校のボランティアの責任者や代表者の顔合わせが行われる。


 ボランティアを行うにも、前日とはいえ、代表者や責任者だけでも顔合わせをしていると、しないとでは仕事のやりやすさが格段に違う。

 定例行事なのだが。


 明日のオケアノス祭の本番では僕たち四年生は、パレード以外は有志によるボランティア活動だ。

 僕、ミクちゃん、ルードちゃんのボランティア活動はケアノス神社の警備担当で、一般のボランティアと区別される。

 初等部の生徒が整備につくなんて、前代未聞なんだってさ。

 そうはいっても、去年は掃除担当でスリを随分とつかまえたっけ。

 ということで生徒会に同行して僕、ミクちゃん、ルードちゃんがいる訳だ。

 ちなみに僕たちの会議の参加は始めてだ。


「まずは船に乗ってお迎え、お見送りのオーラン上級学校の魔法科とオーラン魔法学校の方のはどなたか教えてください」


 オーラン上級学校の生徒が手を上げ、名前を名乗り、身長を聞かれる。

 僕も手を上げると、巫女さんは覚えているようだ。

「ノルンバック君ね。今年もよろしくね」

「はい」

 そりゃー四年連続だからろうなるか。

「身長伸びたね。今幾つ」

「一〇四センチメルになりました」

「始めて来た時は、小さくて服を用意するのが多変だったのよ」

 あー、思い出した。着替えを手伝ってくれる巫女さんだ。

「よろしくお願いします」


「いつも船に乗ってる男の子だ」

「神の御子君だよね」

「へー、あの子がそうなんだ」

 ひそひそと聞こえてくる声が徐々に広がっていく。どうやら僕を見知っている生徒、噂を聞いたことがある上級魔法学校や他校の生徒が多数いるみたいだ。


「今年もよろしくお願いします。

 やっていただくお仕事は、行事の連絡係や届け物係、巫女茶の無料配布(日本の神社で甘酒を無料配布するようなもの)のお手伝い、落し物の管理、迷子のお世話、それと神社内のお掃除などです。

 当日は決して一人で行動せずに、三人一組で行動してください」

 社務所の巫女さんからの挨拶と、一般ボランティアの説明が行われた。

 毎年のことで内容的に変化はない。


「それでは、学校ごとの作業の割り振りや分担を発表します」

 社務所の巫女さんが、張り出している作業一覧表を指さしながら説明をしていく。

 役割分担ごとに責任者の紹介も行われた。


 実際たいした仕事はないから、どれを頼まれても一緒のようなものだ。

 それよりも初等の一年生にお祭りに参加してもらって、情操教育よろしくと、伝統に触れる機会を設けることが目的だ。

 二年生以上の自主的なボランティアは一年生の面倒が主か、余れば特別に何か頼まれることもある。

 とはいえ、伝統のようなもので五年生の受験を控えて必死な生徒以外は、ほとんど参加するからどこでも子供は余っている。


 ちなみにキフィアーナちゃんは、警備対象でもあるので、パレード以外の参加は禁止されている。

「わたしもボランティアする! したい!」

 非常にむくれていたけど、誰もフォローする人はいなかった。


 上級学校の生徒には、氏子と一緒に境内や、時には市街を周って、提灯の明り用の魔石に、魔法力を込めて回るなんてお仕事があるんだ。初めて知った。

 僕もやってみてもいいかな。


 それらが一段落すると。


「オケアノス神社の警備主任となったルドルフと、隣のが警備副主任のローボルだ。

 ケンカを発見したり、困ったことがあったら、隣の警備員詰め所に知らせるように。

 昨年はこの神社や、海岸でもスリなどをつかまえた、勇敢な生徒がいたが、決して無茶はしないように」

 警備し責任者の自己紹介があった。


 ルドルフさんが僕の方を見てニヤリと笑った。

 あれ、どこかで会ったことあったっけ?


 セージは知らないことだが、モンスタースタンピードの時にルドルフさんは第五小隊の隊長で、ローボルさんは第六小隊の隊長だった。

 セージの倒したデミワイバーンを追いかけていたのが、その二つの小隊で、デミワイバーンのことを学校内で聞き回ったのもルドルフ隊長やローボル隊長たちだった。


「セージちゃん、有名人だもんね」

「え、そう?」

 小声でミクちゃんがささやいてきた。


「初等部の人たちは解散します。ご苦労様でした」

「「「「……ありがとうございました……」」」」

「「「「……さようなら……」」」」

 初等部四校の生徒が三々五々帰っていく。


 僕とミクちゃんとルードちゃんは、生徒会長やライカちゃんたちと「さようなら」「またね」などと手を振って別れる。


「それでは明日からの特別警備の説明をする」

 警備主任のルドルフが、頃合いかなと発言する。


「今年は、オーラン魔法学校生の三名がオケアノス神社の警備に配属されます」

 そう、僕たち三人はこのために来たんだ。


「「「「「……」」」」」


 オーラン上級学校の生徒が絶句して、こちらに目を向けてくる。


「ルドルフさん、どういうことですか」

「そうです。警備に参加するのは上級学校の生徒でも三年生以上ってなっていますよね」


「基本的にはそうだ」


「それが初等部の生徒ですか。おかしいでしょう」


「いや、全然おかしくないぞ。そこのノルンバック君は、昨年一人でスリやケンカを、えー何人だったっけ」

「一〇人以上ってのは聞いていますけど」

「まあ、そんなことで、最多逮捕者の記録を作っているからな」

 え、記録! そうなの⁉ そんなこととは知らなかった。


「証拠映像も提出して、完璧でした」


「「「「「……」」」」」

 集まる視線。ハ、ハズイ。


「そんなことで……」


「そのノルンバック君ですか。彼についてはわかりましたけど、そこの二人の女の子はどうなんですか」


 まいったなー、って頭をかく、ルドルフさん。


「ここでの会話は極秘だ。いいか」

 ルドルフさんが、上級学校の生徒たちをギロリとにらむ。

 ゴクリと喉を鳴らして、上級学校の生徒たちがうなずく。


「警備に立候補するくらいなんだから、七沢滝ダンジョン内の映像は見たことあるか」


 三分の二がうなずく。


「その映像を撮ってきたのが、そこの三人だ」


「「「「「……」」」」」

 またも集まる視線。それもより強烈になって。


「……最下層の映像を撮ったのも…」

「そうだ。八層以下だったか、九層以下かは忘れたが、それ以下の映像は全て彼らの映像だ」


「「「「「……」」」」」


 ミクちゃんは俯き、ルードちゃんは胸を張る。ハ、ハズイ。


「それじゃあ、説明を始めるぞ。いいな」


 上級学校生が、コクコクとうなずく。


 まあ、他の人たちと連携できるとは思えないので、僕たち三人は結果的に以下のようになった。


 ―― 警邏(けいら)は三人で一緒に行動し、警備員の誰かが同行する。

 ―― 警邏開始と終了に詰め所に顔を出す。

 ―― 警邏中は警邏の腕章を付ける。


 あとは警邏の時間の打ち合わせだけだった。


 打ち合わせの途中もチラホラとこちらに視線が飛ぶ。気にはなったけどスルーするしかなかった。


  ◇ ◇ ◇


 七月一二日黒曜日、今日は終日警備だ。

 終日といっても午前二時間、午後二時間の計四時間だけどね。

 それと、エルガさんから秘密兵器をもらっているから気分はウキウキだ。


<テレポート>でミクちゃんの家に、そして<ホワイトホール>でルードちゃん家に飛んで集合完了。

 最後に<ホワイトホール>で社務所前に飛んだ。


「キフィアーナちゃん、どうしたの」

「警備に決まってるでしょう」

「警備されるのはキフィアーナちゃんでしょう」

「そんなのおかしいでしょう。みんなが楽しそうにボランティアにいそしんでいるのに、わたしだけ蚊帳(かや)の外なんて我慢ならないわ」

「楽しくないから。みんなまじめにやってるの」

「セージ知ってる?

 遊びも、仕事も、勉強も、音楽も、狩りも、遊びも、全部まじめにやるから面白いのよ。中途半端にやったものなんて、思い出になんて絶対に残らないし、楽しいわけないじゃないの」


 デジャブ。

 なんだか似たような事を、ここ最近思ったことがあるような……。

 そうだ。七沢滝ダンジョン内で、四人で楽器を演奏した時だ。


「そっかー、キフィアーナちゃんの気持ちはわかるよ……」

「セージちゃん! わがままはダメよ!」

「ミク!」


 あー、わがままキフィアーナちゃん。

「とにかく学校の決定には従って、僕たちじゃどうしようもないからね。それとキフィアーナちゃんの動きで周囲が迷惑がかかるんだよ」

「キフィのためにセージが悪く言われることがあったら許さらないから」

「ヒルデさんは? まさかヒルデさんを巻いて一人できたの?

 セージちゃん、チョット送ってくるから」

「お願い」


 ミクちゃんがキフィアーナちゃんの腕をつかんで<テレポート>で飛んだ。

 そして数分後に帰ってきた。


「「「おはようございます」」」

 社務所横の警備員の詰め所に入ったのは約束の時間ギリギリだった。


  ◇ ◇ ◇


 オケアノス海周辺諸国会議の開催もあって、その参加者がかなり早くから訪れている。

 そんなこともあって、例年より二割増しの人出の予想だそうだ。

 実際、確かに人出が多い気がする。

 そして犯罪も…。


 バン。


「なんだか簡単すぎるわ」

 ルードちゃんが、手にしたドリームガンを目る。

 スリを捕縛しながら嘆いていた。


 エルガさん謹製、ドリームガン。

 短針七本を発射するトライガンを改造して、たった一本の太い針(球)を発射するのがドリームガンだ。

 太い針(球)の“ドリーム弾”はミスリル銅弾で先端にはゴムとクッションが張られている。

 射出速度が遅いのは、接近して発射することを想定したものだ。

 撃たれた人はアザくらいはできるだろうけど、その程度だ。

 そして、その弾にはドリームランドが付与されている。


 ルードちゃんが捕縛しているのはもちろん眠ったスリだ。


 ケンカ二件、傷害一件、スリの捕縛は初めてだった。


 ドリーム弾を回収して、確認するとまだまだ使用できそうだ。


 その間に、スリの被害者に付き添いの警備兵の女性が聞き取り調査を行う。

 ポチットムービーを渡してあるので質疑の応答や、財布の確認のやり取りを治めてもらう。

 最後に住所などの証明書と個人情報のつき合わせの確認を終わって完了だ。


 みんなで手をつないで、スリを詰め所に、「<ホワイトホール>」で護送して解決だ。

 もとい、録画の画像記録魔石(ピクチャーコア)音声記録魔石(ボイスコア)を『複写』して渡す。

 魔石の予備はいくらでもあるし、こういったごたごたした環境では何かあるかわからないからね。

 複写した魔石は、僕のものだとの署名を付けるのも忘れない。

 日本でセキュリティー関係に従事していた経験則による、予防処置だ。


「注意深いというか、抜け目がないというか、こういったところはセージだよね」

「だって、魔石が紛失して証拠がないって犯人が騒ぎ出したらどうするの」

「ここで、あーだこーだと言ってても仕方がありません。

 次に行くよ」

「おお」「了解」

「ほら、私たち警備なんだから気を引き締めて」

 ミクちゃんが自分の『警備』の腕章を指差す。

「おお」「わかってるってば」


 気を引き締めたつもりで警邏をするが、どうしても気が緩んでブラブラと歩きながら会話が続いてしまう。

「つまらないなら、自分の魔法で捕まえたら。でもねー、粘着弾でも一緒だから」

「そうなんだー」

「そんなこと言わないの」

「うん、頑張ろうね」

 とは言うものの、気合は駄々下がりだ。


「あ、またケンカ発見。いくよ」

 そうはいっても習慣的にレーダーのチェックは怠らない。何が起きるかわからないからね。

「ああ」「うん」

「<ホワイトホール>」


 バン、バン、バン。


「お酒臭い」

「酔っ払いか」

「朝から飲んで神社でケンカしてって、何やってんだろうね。

 詰め所に運んで、お昼にしようか」

「なんだか、精神的に疲れちゃったね」


 ケンカの三人と警備兵の女性と<ホワイトホール>で一緒に飛んで。


「お昼休憩にいってきまーす」

 僕たちは詰め所を後に

「どこの屋台で食べようか」

「あっちのお好み焼きの屋台がおいしそうだったよ」

「いーや。それより串焼きの屋台だ」

「ボクは漁師汁がいいな」


 僕のお腹がグーとなり、すでに口の中は戦闘モードで、唾液が溢れていた。


「あ、そういえば三年Sクラスのステージがそろそろよ」

 ミクちゃんの思い出したことは、みんなも知っていたことだ。


 全員でうなずいて。

「じゃあ行くよ。<ホワイトホール>」


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