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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
オケアノス海周辺諸国連合発足編
157/181

153. 強化魔導ガンと一学期の試験


 僕たちは“海の貴婦人”で、荒れたオケアノス海を航海して五月一六日緑曜日にオーラン市帰還した。


 いつものように家族や従業員のみんなにお土産を渡す。

 ルードちゃんに頼まれていたものも、渡すのは家でOKだから楽だ。


 今回のお土産はお菓子類の食べ物ばかりで、あまり変わり映えしないものばかりだ。

 季節柄、果物などが無いし、クズの水の魔石、青の魔石が加工されて、置物などのお土産になったりもするけどそれは買わなかった。

 なんでも名産は桃やブドウに枇杷だそうだ。

 リンドバーグ叔父さんは、メイドさんたちにはハンカチを渡していた。

 ハンカチといっても海魔獣の魔獣石を染色剤として染められた、お土産用のキラキラ煌くハンカチだ。

 僕・ミクちゃん・ルードちゃん・キフィアーナちゃんでクラスメイトにも買ってきたものだ。


 N・W魔研には海魔獣の魔獣石をしこたま渡してお土産としたら、エルガさんが特に喜んでくれた。

「ねえ、エルガさん」

「なに?」

「短針魔導ライフルや短針魔導ガンの製造方法を、本格的に教えてくれない」

「任せなさい」

 趣味ではいろいろなものを作ったり改造をしたり、それと持ち帰った魔導車をいじって魔導車を作ってみたいと思ってエルガさんと試行錯誤もしているから、ニッコリと受け入れてもらえた。

 ということで今日から特訓が始まってしまった。

 自分でも、もう趣味の世界からかなり外れている気はするけどね。


  ◇ ◇ ◇


 五月一七日白曜日にミクちゃんと一緒に登校。

「「おはよう」ございます」


 学校に復帰したばかりだというのに、挨拶もそこそこに、特別教室で一学期の期末試験を受けることになってしまった。

 それも翌一八日の黒曜日の休日まで使ってだ。

 気分は最悪だけど、まあ、追試といわれなかっただけ良しとしよう。


 これだけ準備周到だったのは、遠距離電話(ディスタンスフォン)によるロト国のお礼の連絡がヴェネチアン国とマリオン国とオーラン市に届けられたことによるそうだ。


 一八日の黒曜日の午前でほとんどの試験が終了した。


 キフィアーナちゃんはまだしも、ルードちゃんはかなり厳しい評価みたいだってけど、それなりに合格したみたいだ。

 専属教師のリエッタさんに感謝だ。


 午後には音楽の実技試験、歌の試験があって僕だけが苦戦した。まあ、大負けに負けてもらって何とか合格した。

 ミクちゃんやルードちゃんだけでなく、キフィアーナちゃんも歌が上手いんだ。


 二時ごろからキフィアーナちゃん、僕、ミクちゃん、ルードちゃんの順で面接が行なわれた。


 僕の面接は僕にママに、リエッタさんも加わって、担任のラディン先生とだ。

「セージの授業の進捗具合はどうなのでしょうか」

「まず魔法に関しては現時点上級魔法学校のそつぎょうれべるをはるかに凌駕しています。

 オーラン魔法学校で教えられることは何もございません。

『複写』用の魔法陣を提供していただいたことには感謝しかございません」


 面接部屋から、自信満々のニコニコ顔でキフィアーナちゃんが、ヒルデさんと一緒に出てきた。


 いよいよ僕の番だ。

 緊張しているママも、魔法に関しては想定通りなので自信を持って聞いている。

「一般の科目についてはなにももんだいはありません。入学時に特待生としたことに間違いはありませんし、飛び級の資格を有しているだけのことはあります。

 また、授業に出ていないときにもリエッタさんがシッカリと教育していてくださっているようです」

「そうですか」

 心配そうなママの表情がほころぶ。


 雷鳴が鳴り響き、大きな地震が発生した。

 ここ最近地震が大きくなってきている。


「芸術科目の音楽や図画工作などの実技に関してはかなり遅れが出ています。

 ただこちらもそれに関しては問題にするつもりはありませんが、できますれば絵を描かせるか、何でも構いませんが楽器を練習させていただきたいとは思っています」

 この件に関しては僕自身納得だ。実際ダンジョン内ではやってないもの。


「そうですか…」

「それに関しては私から提案があります」

 ママがまたも心配そうな表情をするが、リエッタさんが意見を述べだした。


「セージ君はダンスの才能が有るようです。

 あちらこちらのパーティーに出席しては、色々な方と楽しく踊っていますし、キフィアーナさんやミクさんもセージ君と踊ることを楽しみにしているようです」


「そのようなことがあるのですか。後程キフィアーナさんとミクリーナさんを交えてダンスを確認してみましょう。

 それとは別にリエッタさんには課外活動中のセージスタ君には絵を描いたり、音楽を奏でることもお願いしたいと思っております」

「了解しました」


 僕の面接は、課外活動中の生活状態――戦闘中のことは抜かしてだが――の確認が行われた……んだけど、こっぱずかしいったらありゃしない。

 まるで拷問だ。止めてー!


 まあ、次の面接があるからそれほど長い時間の会話じゃなくて、ホッと胸をなでおろした。

 そしてダンスの試験が行われることも決まった。さすがに教師と音楽の都合で後日となった。


「たいしたことじゃなかったよ。がんばって」

「ありがとう。キフィアーナちゃんからも面接の内容は聞いたから」


 そういったミクちゃんはママさんのマールさんと一緒に面接部屋に入っていった。


 ミクちゃんと会話をしていたキフィアーナちゃんとは僕が交代して会話をした。

 面接の内容を確認したけど、ほとんど僕と一緒だった。

 さずが王族、音楽や絵画などの勉強もしていて全方位でOKだったそうだ。


 そうたいした時間も掛からず、ミクちゃんも出てきた。

 入るときの無理していた気安さとは別に、僕と一緒でホッとしていた。


 ちなみにキフィアーナちゃんは、ミクちゃんが出てくると、ルードちゃんに「頑張ってきなさい」と声を掛けると、みんなに挨拶をしてヒルデさんに連れられて帰宅していった。


「ルードちゃんも頑張って」

「任せておきなさい」

 任せておきなさいって、自分のことでしょう。


 僕とミクちゃんがルードちゃんを見送る。

 パパさんのラーダルットさんと、元気になったママさんのリーデューラさんと一緒だ。


 ミクちゃんからも聞いたけど、ヤッパリ僕とほとんど一緒だった。それに、な、なんと、ミクちゃんも楽器に関しても心得があるそうだ。

 キフィアーナちゃんは納得だけど、ミクちゃんまでも楽器ができるとは。


「いつから習ってたの? それといつ練習してたの?」

 ミクちゃんに袖を引っ張られて、ママやマールさんを距離を取って小声の会話となる。

「以前というか、前世でピアノをやっていたからその影響かな?

 小学生の音楽でしょう。

 譜面は簡単に読めるし、暗譜も楽になったし、リコーダーは簡単になったよ。

 他の楽器も割と楽に弾けるようになったけど、指は動かないね。練習しくっちゃ」

「それって身体魔法の影響もあるんじゃ」

「ああ、それもあるかもね。納得だね」

「それはよかったね」


 理不尽なところはこんなところにもあったのか。

 納得できるけど。納得したくないような。


 そうこうするとルードちゃんが出てきた。

「ルードはどうだったんだ?」

 チョット凹んでいるように見えたけど、僕たちが声を掛けるといつもの強気な表情に変化する。

「全然問題ないわよ!」

 なぜ起こる。


「算数と社会をもうチョットと言われてね」

 ラーダルットさんが笑いながら教えてくれた。

「まあ、何とか及第点なんだけどね」

「黙ってて!」

 ルードちゃんが更にむくれる。

「わかりました!」


「音楽や図画工作は?」

「図画工作はともかく、音楽は横笛とリュートを多少は弾けるから、その練習を欠かさないようにって言われただけだね」

「そ、そうなんだ……」

「なに、まさかリコーダーが満足に吹けないの」

「いやー、まあ、そうなんだけどね」

 聞かなきゃよかった。


「あ、セージとミク。ダンスの試験明日の放課後やるっていってたぞ」

「あ、そう。ありがとう」

 それは問題ない。同級生はどの程度踊れるのかな?


  ◇ ◇ ◇


 N・W魔研に全員――もちろんキフィアーナちゃんたちを除いて――で帰宅後は電増魔石の急ぎのお手伝いを行った。

 まあ、急ぎというより、たまっていた電増魔石の製造で、僕とミクちゃんとルードちゃんでお手伝いもしました。頑張ったんだから。

 それとルルドキャンディーを一気に作成もした。


 エルガさん教育は? と思ったらそれからみっちりと座学を受けてしまった。

 さすが魔電装置(マジカルボルテックス)命のエルガさん、容赦がない。


 ミクちゃんとルードちゃんはポチットムービーの製造のお手伝いを約束して、そそくさと解散した。


 夕食後に強化版の短針魔導ガンやライフルにカートリッジの製造だ。

 試しに同じ魔法陣をマシマシで付与して撃ってみたら、カートリッジにヒビが入った。


「だから素材の強度を考えずに威力を上げようとしてもダメだっていったでしょ」

「はい」


 エルガさんにしこたま怒られた。

 短針魔導ガンやライフルにカートリッジの実技のレクチャーが始まった。


 剣や刀などの厚手の素材を使用して強度を持たせたものじゃないと、マシマシの魔法力は受け入れられないんだって。


 江戸時代は軽くて見栄えのいい刀が好まれ、そういった刀が高価になっていったけど、開国に向かって新選組が京都の派遣させられるようになると、身幅のある戦闘用の刀が見直され、綺麗で軽い刀が見向きもされなくなったってことを思い出した。

 やっぱ、武器にはそれに見合う強度が必要なんだ。


 そうかといって、ただ単にカートリッジの銃身となる、筒部分を厚くししても、魔道具は複雑な構造だし、いろいろな複合素材の寄せ集めだ。それと魔法陣とのバランスを考えないといけない。

 一か所を強化してもその反動は別のところにしわ寄せがいくものだから基本構造からいじる必要があるんだって。

 渡された短針魔導ガンやライフルは、僕みたいにマシマシで魔法力を込められることも考慮して作成されてたそうだ。

 勉強になる。


 僕の希望としては現在のカートリッジやガンの射出系の魔法陣を、ハイパーカタパルトに置き換えたいと思っているし、弾道コントロールの風魔法も強化したいんだけど、ヤッパリ、エルガさんに頼らざるおえないみたい。


 まずは素材の勉強からだ。

 鉄に銅に銀に金、錫や亜鉛にミスリルなどの特性を覚える。

 合金になるとまた特性が変わるし、最近だとアルミニウムやチタンにタングステンにマグネシウム、クロムやモリブデンなども使用されているそうだ。

 さずがに炭素素材はまだなさそうだ。

 とはいえ速読や記憶強化があっても覚えきれる気がしない。


 鉄の炭素を1%程度混ぜたものが炭素鋼で、クロムとニッケルを10%程度混ぜて錆びにくくさせたものがステンレス鋼となる。

 ミスリル硬鋼は鉄とミスリルをもとに、各種金属を混ぜ合わせた合金がそうだ。

 ミスリルが少ないと(L)で多いと(H)で最上級が(EX)となる。


 ただしガンやライフルだと射撃のショックを吸収するために銀・銅・錫・鉛などと合金をさせたミスリル軟鋼を加工して粘りを持たせて使用する必要がある。

 ミスリル銀やミスリル銅のなどは魔法力の導線としても使用されるので、魔道具の芯にミスリル銀を入れると魔法力が流れやすくなる。

 ちなみにホイポイ・マスターに使われているミスリル金――正確にはミスリル金線――ももちろんあるけど高いのもあるけど、摩耗に弱いので武器への使用はミスリル銀や銅が一般的だ。

 それと発射にあたって、魔法力の貯蔵に魔石が必要だ。

 威力アップに魔石だけはミスリル金でコーティングする予定だ。


 エルガさんと、あーだこーだと試行錯誤で短針魔導ガンの強化版の構造や使用金属について話し合った。

 ハイパーカタパルトもレベル10が限界で、ライフルにすればレベル15程度まで組み込めそうだ。

 もちろんガンやライフルに強烈な強化と衝撃緩和のイメージ付与が必要だ。


 施策の強化ガンが出来上がるのは、まあ僕が作るんだけど、付与まで行って早ければ三日後を予定している。

 金属は全てN・W魔研にあるしね。


  ◇ ◇ ◇


 五月一九日赤曜日、本格的な学校復帰だ。

「「おはよう」ございます」

 ミクちゃんと一緒に登校、ユックリと食らうメイトとの会話を楽しむ。


 クラス学習は担任のラディン先生に頼まれていた、ロト国で撮ってきた映像会だ。

 もちろんその時にハンカチやお菓子も配って、和気あいあいの映像会だ。


 和風と洋風が入り混じった、和洋折中のようなたたずまいの街並みから始まって、アクアダンジョンの六層程度までの紹介で終わった。


 ちなみにパパを通じて、アクアダンジョンの映像はオーラン市にも提出したし、ひいてはマリオン国にも提出される予定だ。

「海魔獣がダンジョン内にいるのか」

「水球は何のために浮いてるんですか」

「黒い水球は危ない物なんですか」

「黄色い水球はどういった作用があるのですか」

「他の色の水球は…」

 様々な意見や質問に丁寧に答えていった。


 七層以上を見せなかったのはみんなには対処が不可能なことと、僕たちの能力をさらけ出したくないということもあるし、何よりも短針魔導ガンやライフルを秘密にしたいということもあってで、最終層の付近の戦闘は見せてはいない。


 ライカちゃんに半猫人のパルマちゃんや半兎人のビットちゃんと久しぶりの昼食だ。

「ホントのところロト国で何があったの?」

「うーん、内緒だよ」

 ライカちゃんの言葉に小さく答えると、なんだか隣近所のテーブルがざわついた。

「それじゃあ、あとで家でね」


 周囲のガッカリ感が半端じゃない。

 当たり障りのない話題となった。


 一年生から変化のほとんどない授業科目と時間割は、赤曜日の午後は魔法練習だ。

 僕たち四人はほとんど監督で、見本を見せるだけだ。

 以前は僕一人で浮いていたものが四人となると気も楽だ。あと今更図書室に行く気も起きないしね。

 僕たちの下のレベルのライカちゃんに、キジョーダンにシエーサン君、パルマちゃんにビットちゃんと学習項目から外れている生徒はかなりの人数だ。

 現在はレベル8までの魔法を撃てるようになったけど、魔法練習の学習内容の変更も検討されているそうだ。


  ◇ ◇ ◇


 放課後のダンスの課外授業は特別講堂のホールだ。

 普段は青曜日に緑曜日の週二日のダンス学習だが、キフィアーナちゃん、ヴェネチアン国のお姫様のダンスが見学できるからと、顧問の先生が張り切って招集を掛けたんだそうだ。

 なんてはた迷惑な。


 特別講堂には四、五年生の生徒、二〇人弱ほどの男子と、五〇人ほどの女子がいた。

 思ったより盛況な授業のようだと思ったけど、男子の三分の二はつまらなそうだ。


 生徒会の会計となったライカちゃんと、書記のシエーサン君も参加している。

 いいパートナーとなりそうだ。

 僕とミクちゃんにルードちゃんが生徒会の役員になれないとなって、押し付けたようになっている。

 チョット心苦しいけど、上手くやっているみたいだ。


 後で知ることになるのだが、議員の子供や大店舗の子供は親によって、ある意味強制参加となっていた。

 その他には親戚や幼馴染などの個人的なしがらみで参加している生徒もいるそうだ。


 ダンス担当のモリンガ先生(女性)とフロイダ先生(男性)に、お手伝いの先生が五人いる。


 僕とミクちゃんとキフィアーナちゃん、それにルードちゃんまでテストは強制参加だ。

「それでは試験を行いますので、まずはセージスタ君とキフィアーナさんで。

 キフィアーナさん、本当にセージスタ君がパートナーでよろしいんですか」

「すみません。できればミクからお願いします。

 それとセージは特別に素敵はパートナーです」

「失礼しました。

 それと順番の変更は、どうしてですか?」

「パーティーだといつもミクが先だから」

「キフィアーナちゃん!」


「ミクリーナさんもそれでいいですか」

 モリンガ先生は意味不明に首を傾げるが、キフィアーナちゃんの、先にやって、とお願いされてうなずいた。

「はい」


「セージスタ君とミクちゃん頑張って」

 ライカちゃんからも応援され、シエーサン君もサムズアップだ。


 ミクちゃんとホールドして準備万端。

 先生の合図で曲が流れる。


 アンドゥトロワ。

 僕とミクちゃんのダンスが始まる。

 ナチュラルターンにチェンジステップにリバースターンそれを二回続ける。

 今度はナチュラルターンからリバースターンでコントララチェットにナチュラルフレッカールといつものクルクルと回転するダンスだ。

「楽しい」

 ダンス中にミクちゃんがほほ笑むと、「僕も」とうれしい。

 やる気が出る。


「はい、そこまでです」


 綺麗、素敵、などの賞賛の声がチラホラ聞こえ、パチパチと拍手が沸き上がる。

 チョット恥ずかしい。


「よくできました。二人とも文句なく合格です。

 セージスタ君はつずけて大丈夫ですか? そうですか、それではキフィアーナさんとお願いします」


 僕とキフィアーナちゃんがホールドして準備を整えると。

「みなさーん、注目(ちゅうもーく)、ヴェネチアン国のキフィアーナ姫のダンスですよ」


 え、そんな……。

 僕とキフィアーナちゃんがげんなりすると、曲が開始された。


 アンドゥトロワとステップを踏み間違えることもなく踊る。

 ウオーミングアップをしていたとはいえ、二曲目となると体の切れが違う。

 キフィアーナちゃんの目論見はこれかと気づいたけど、手を抜くわけにはいかない。

 踊り出すと、それはそれ、これはこれで、色々あるけど体を動かすのは楽しい。

 周囲の注目も忘れて、気合を入れて踊ってしまった。


「はい、そこまでです。よくできました」


 周囲からパチパチパチパチと盛大な拍手がわく。


「さすが本場で踊ってらっしゃっていらるようで皆さんのお手本のようなダンスでした。

 セージスタ君もリードがここまでできるとは、専門の先生に教えていただいたのですか?」


「はい、ヴェネチアン国の結婚式に呼ばれたことがあって、習いました」

「それは素敵ですね。

 ぜひ特別授業に参加して下さい。男性の参加者が少なくて困っているのですよ」

「はあ」

「セージちゃん一緒にやる?」

「また、考えるよ」


「それではルードティリアさんとお願いします」

「はい」

「なんでウチが最後なのよ」

 ルードちゃんが嫌そうだ。


「リラックスしてたら打の余分な力を抜いて、僕のリードの通りに動いてね」

「ええ、まかせるわ」


 アンドゥトロワと出だしはよかったけど、途中二度ほど足を踏まれた。

 顔をしかめた程度で特に何もなし。


「はい、そこまでです。

 ルードティリアさんはもう少々練習が必要のようですが、よくできました」


 練習してない割にはよく踊れたと思う。


  ◇ ◇ ◇


 逃げるように自宅に帰ると、エルガさんをつかまえて強化短針魔導ガンの製造に没頭した。


  ◇ ◇ ◇


 結局強化短針魔導ガン(カートリッジガン)が出来上がったのは、六月二日青曜日となってしまった。

 試射した感触や威力に納得できずに、改造した結果だ。

 今までの短針魔導ガンの射出速度は三.二割増しに、破壊の威力は五割り程度増加したけど、刺突力、貫通力は六.五割増しとなった。

 それとカートリッジと短針も固く強くなりメガボルテックス、メガヒートと強化しているのも威力増加に貢献している。

 これならマシマシの魔法力ならば、接近戦で強化トリフィドラフレシアにも効果がありそうだ。

 それとこれだけの付与を重ねるのは僕じゃなきゃ、あとはミクちゃんじゃなきゃ作れないかもしれない。

“創意工夫”なんてスキルのあるリエッタさんは、特殊な技術でできるかな?


 撃つにも制限を設けて、少なくとも魔法核と回路のレベルが“9”以上ないと撃てなくした。

 レベルの低い人が撃つと負担が大きすぎる。短針魔導ライフルを撃ったキフィアーナちゃんがいい例だ。

 結果、僕の知る限りではミクちゃんにルードちゃん、それとリエッタさんにレベルの上がったキフィアーナちゃんしか撃てないものだ。

 あとは冒険者ギルドのボランドリーさんなどの総合が“100”前後の人たちも撃てると思うけど。


 各人に各二丁に予備の二丁を含めた一二丁に、カートリッジはボルテックスとヒートの五個づつの一〇個で五〇個を作成していく。

 ちなみにカートリッジはミクちゃんとルードちゃんにも手伝ってもらったから短縮できたけど、それでも出来上がったのは六月二日の青曜日だ。

 短針はカートリッジと同数の五〇発(一発一〇本は変化無し)を作った。補充分は追い追い作っていく予定だ。


ごめんなさい。

セージの刀を最初は“赤銀輝”としていたところ変換ミスに気付かず、途中から“紅銀輝”としてしまいました。

このまま“紅銀輝”で続けていきますのでよろしくお願いします。

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