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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
魔法教育編
15/181

14. 魔法陣作りはお騒がせ


 セージが解放されたのは夕食後、更にパパとの団らん後だった。

「セージ様、面白いからといって、夢中になり過ぎないでくださいね」

 ヒーナから“ホーマー魔法学園初等クラス”もしっかりと渡された。


 大人のわがままに振り回されるのは大変だと思う反面、知らず知らずに五才になじんでいる須田雅治(セージ)だった。


 ベッドで壁に寄りかかって座る。

 まずは魔法量の確認だと『個人情報』を呼び出す。


 勉強中に“15”から“8”まで減った魔法量は、“14”まで復活していた。

 勉強終了が四時近く、パパの話が長く現在が八時半だから、四時間半で“6”の復活だ。

 睡眠中だと三時間半ほどで完全復活から四倍弱の差だろうか。それとも睡眠中はもっと回復が早いんだろうか。

 ただし三時間半で復活した時は魔法量が“13”だったし、目覚めてからの三日間で魔法能力全体がアップしてるから比較事態が難しい。

 詳細が確認できないから、どうしても推測交じりになってしまう。


『収納』


 風魔法陣の四枚の魔法回路と、三枚のファイアー魔法陣をコピーした魔法回路を周囲に表示する。


 ユックリと眺めて思案する。


 多分、本の魔法陣を取り込む方法があるはずで、魔法回路3の僕にもその能力はあるはずだ。知識不足だが。


 もう一枚、『デスクライト(偽)』を表示して観察する。

 慣れてくるとデスクライト(偽)などの呼び出しが楽に、そしてスムーズになってくる。

 魔法陣核はバッチリ見えている。

 複写したばっかりと違って魔法陣核が少しだけ偽装パネルに入り込んでいる。


 今度はマッチだ。

 僕のマッチは火属性だから何かヒントがあるんじゃないかと思ったからだ。


 ヤッパまずは魔法陣核の作成だな。それから魔法経路で、最後が魔法陣だな。


 魔法回路に接している順から考えるとそれしかなかった。


 表示中の魔法回路などを左右に退かし、空の魔法回路を目の前に表示する。


 魔法回路の中心を人差指で触れ、体内に魔法力を集める。

 それを指先の一点に集中して一気に凝集させながら『魔法陣核生成』と強く念じた。


 鈍く発光してその光が集まっていき、するとそれらしいものができた。

 ヤッター。案外簡単だと思ったが、色も薄いが、それとは別に何かが確実に違った。


 うーん。色も違うが、ヤッパ濃密さのようなものが違う。


 研究が必要だと思って、生活魔法の全部の魔法陣を全部出して魔法力を込めてみる。


 魔法陣核と魔法経路、そして魔法陣の発光色が微妙に違っていた。


 どうせだからと二つ並べて見比べもした。


 リリッシュとバブリッシュはよく似た発光色をしている。水系だからか発光色も青系だ。

 デスクライトの発光色は白だから光系で、ダストクリンもそれなりに似ている。

 マッチは赤で火。

 思いがけなかったのが、ドライブリーズとホットブリーズは風系で予想以上に似ていた。

 あっ、思い出した。

 ドライブリーズって基本は風だけで、ママのドライブリーズが火が混じって特殊だったんだ。

 名称詐欺なのか。


 ともかくも魔法陣が属性の能力を持っていることが明確になった。


 そして、確認作業中気づいたのが魔法陣に魔法力をほんのチョット流すと発光するのだが、魔法力を流し続けて発光させていると、肩から手と魔法陣が固定されたかのように動かしづらいのだ。

 魔法発動中となってしまうからなのか、何らかの制限があるようだ。

「私は動きにくいので…」と言ったヒーナ先生のことがが思い出される。ごめんなさい。


 もう一度魔法陣核を作った魔法回路を呼び出す。

『消去』


 あらためて、どれにしようかと思うと、ホットブリーズを唱えるママの顔がなんとなく思い浮かんだ。

 そして、なんとなくだが風がいいかなと思った。火じゃない。


 魔法回路の中心を人差指で触れ、体内に今度は風の魔法を意識して魔法力を集める。

 それを指先の一点に集中して一気に凝集させながら『魔法陣核生成』と強く念じた。

 注意点は魔法陣のサイズが一七.五センチメル、目標は“ウインド”の魔法陣だ。

 魔法陣核のサイズはそれからすると二.一センチメルだ。測るものが無いから仕方がないが、こういった時には迷ってアバウトにイメージするより、多少間違っていてもいいからキッチリと決めた方が上手くいくことは、経験則だ。

 鈍い発光には緑が混ざり、その光が集まっていく。


 魔法陣核はかなり良くなった。サイズもばっちりだが。薄い緑色。

 ドライブリーズとホットブリーズの魔法核からすると力強さが足りない気がする。


 一歩前進したが、まだ不足だ。

 ヤッパ知識か、それとも風魔法“0”が原因だろうか?

 くそっ。…と、ダメダメ、こんな汚い言葉を使ったらママに叱られちゃう。


 うーん。まっ、しかたない。まずはこのまま一回作ってみるか。


 ここまで出来たんだからと、本から複写したウインドの魔法陣を隣に出す。要は図面だ。


 次は魔法経路だ。

 魔法陣(図面)がゴチャゴチャしていた理由は明白で、ぼやけた魔法陣の破線がそれだ。


 うーんと考える。このまま直接魔法陣核の上に、どう考えても、またイメージしても、作成できそうな気がしなかったからだ。


 それならばと、行きついたのが、もう一枚空の魔法回路を呼び出した。

 魔法回路の一点を触ってここだなと魔法陣の仮の中心点を決める。

 何かマークが欲しいなと思うと、ポツンと赤い点が表示された。

 おっ、便利機能だ。と、ちょっと嬉しくなる。


 さあ、やってみるか。

 三本の破線を一気に全部は……まあ、無理だな。

 二本は行けそうだが、どうせ三本。

 まずは一本、慎重にだ。


 また風魔法を意識して中心から伸びて三又に分かれた魔法経路を作成する。

 そして魔法力を流して確認する。地味な作業に気が萎えそうだ。


 確認で魔法力を流のもそうだが、魔法陣の作成でも微量な魔法力を使用する。

 発動時間にもよるが、魔法量がデスクライトを使った時の八分の一程度と――あくまでも感覚だが――少ないのが救いだ。

 複写も同程度の魔法量だ。


 全ての魔法経路を作り上げる。

 三本目が四本に枝分かれしていたのでチョットだけ作りにくかっただけだ。

 微妙な長さの違いや、高さの違いは魔法力を流しながらのイメージコントロールで調整できた。そう、魔法経路一本づつでも自由自在にだ。

 そして最後に魔法力を込めて魔法経路全体を引き締める。


『複写』

 魔法陣核を作成した魔法回路に魔法経路を重ねる。

 魔法陣核と一緒で薄い緑色だ。


 残魔法量が“6”だ。魔法陣は一気にやってみるか。なのだが、どうやって色を付けるかだが、……まあ、一回目だ。現在の持てる最高の薄緑色だ。


 ウインドの魔法陣をにらみつけるようにガン見する。

 脳内にそれを強烈に思い描く。

 合成したばかりの魔法陣核と魔法経路にそのイメージを重ねる。

 記憶強化の影響だろうか、イメージ合成が鮮明にできる。

 追加で風の魔法をイメージして体に取り込み、右手を魔法陣核と魔法経路に重ね、魔法陣生成を願い、魔法力を込める。


 鈍く緑に発光して、魔法陣を形成する。


 おお、形状はバッチリ、薄緑だけど。

 そしてイメージした通り魔法経路とも接続しているようだ。


 一応、“ウインド”完成だ。未完成だけど。


 残魔法量は“2”だが、使用魔法量は“4”よりもう少し少なかったような気がする。まあ、誤差だが。


 うーん。気になる。


 大きく息を吸い込んで、はーーー、と吐き出す。


 さあ、やってみるか。


 作業中の魔法回路全てを『収納』。


 作成したばかりの『ウインド』を右手の前に呼び出し、体にありったけの魔法力を集めて、右手で“ウインド”の魔法陣を触って、

<ウインド>

 いっけーーー、と魔力を送り込んだ。


 魔法陣がチョット変な風に輝いた気がしたが、びゅーーー、と風の塊が吹いて、壁をドンと叩いた。


 人生初の壁ドン………。


 おえーっ。気持ち悪ー。最悪。


 あっ。


『収納』

 おえーー。

 おやすみなさい。と、意識を手放すが、……バタバタと足音が遠くに聞こえた気がした。


  ◇ ◇ ◇


 気持ち悪さからなのか、どういう訳か起きてしまった。

 気持ちは最低、最悪だ。


 ヤッパリ不完全な魔法陣がいけなかったんだろうと、大反省。


 音をさせないように、体を動かす。

 しばらく動いているとずいぶんよくなった。


『個人情報』

----------------------------------------------------

【セージスタ・ノルンバック】

 種族:人族

 性別:男

 年齢:5


【基礎能力】

 総合:8

 体力:6/9

 魔法量:15/15


【魔法スキル】

 魔法核:3 魔法回路:3

 生活魔法:1 火魔法:0 水魔法:0 土魔法:0 風魔法:0 光魔法:0 闇魔法:0 時空魔法:0 身体魔法:0 錬金魔法:0 付与魔法:0 補助魔法:0


【特殊スキル】

 鑑定:0 看破:1 情報操作:1 記憶強化:1 速読:1


【成長スキル】

 基礎能力経験値2.14倍 スキル経験値2.14倍

----------------------------------------------------


 不思議なことに体力が“8”から“9”に上がっていた。それに反して実質の体力値は“6”とかなり低い。うん、理由は明白だ。

 うれしいのは看破が“1”になったことだ。


 あっ、そうだ。と思って、デスクライトの魔法回路に切り替えて、

<デスクライト>


 部屋を見回すが、特に変わったところはない。

 何かあって、片付けられたとしても、壁に傷は無いし、ほとんどの物は収納に収まっているし、出ているのは壁に掛かった服と本くらいで、まあ服程度は落ちたと思うけど、それほど散らかるようなものも無さそうだ。


 生活魔法で魔法を使い切って、おえー、眠りについた。


  ◇ ◇ ◇


「おはようございます。セージ様」

「……ああ、おはよう」


 だるいし、気持ち悪けど、深夜ほどじゃない。

 適当に動けば大丈夫そうだと起き上がる。


 ヒーナが妙な笑顔だ。

 そう、アルカイックスマイルという高貴な笑顔、無表情の笑顔があるが、それに険悪成分を振りかけたような笑顔だ。怖い。

 自然と体が壁際にズリズリと下がってしまう。


「寝る前に魔法は使いすぎませんでしたか? 何回デスクライトを使ってみましたか?」


 魔法はありったけ使ったけど、デスクライトは使っていない。それでも……、

「二回です」


「楽しかったようで何よりです。

 それで、昨夜ですが、私と奥様がこの部屋に来たことをご存知ですか」


「えーと、知らないけど」

「それは、知ってるってことですよね」


 えーーっ、知らないって言ったよね。

「えっ、なんで」


「なんとなくです。しいて言えば純真無垢な乙女の感です」


 ええーーっ、なんじゃそりゃ。

「よ、よくわからないんだけど」


「純真無垢がですか? それとも乙女がですか? それらを合成魔法で混ぜ合わせると、清らかな乙女は天使になって、何でもお見通しって意味です。アンダースタン」


 おおーーー、中二病かよ。

 ただ、逆らっちゃいけないけないことだけは完全・完璧にアンダースタンだ。

「ヒーナ先生が素敵ってことも、また無敵ってことも、よーくわかりました。

 それで、僕はいったい何をしたのでしょう?」


「セージ様はどうやら、寝ている間に風魔法の≪音響≫を放ったんじゃないかと思います」

「えーー、そうなんですか。僕が風魔法の≪音響≫……。そんな魔法があるんですか?」

「そこが良くわかりません。そこで個人情報を…。まあ、いいです、昨夜は大変でしたので、もしも、もしもですがセージ様が約束したにもかかわらず、嘘をついているのなら…」


 ゴクリ。


「かわいいらしいオチンチンを摘まんじゃってリボンの刑ですからね」


「…っえ……」

 想像するだけでアウトだ。シュール過ぎる。


「その顔。やっぱりウソをついていましたね」

「いやいや、その刑って、何って思っちゃっただけだよ!」

「本当ですね。ウソは無しですよ」


「うん。ところで何があったの」

「本当に大変だったんですから、涙もんの努力と、活躍でした」


 ヒーナの長い話を要約すると。


 大きな音で起きた。

 どうやら僕の部屋のようだとママと一緒になって駆けつけた。

 壁に掛けてあった服が落ちて、靴が乱れている程度で特に変わったところはない。が、僕が寝苦しそうにしていたので治癒の魔法をかけたそうだ。ありがとう。

 ところが、マーリン号でも海魔獣の襲撃だ、となって総員配置。

 索敵者の魔法力切れで、ヒーナも甲板に上がって索敵を手伝った。

 最終的には一人で警戒に当たったそうだ。

 それにしてもヒーナ先生大活躍。索敵だけじゃなく魔素感知も使って周囲を警戒してたんだ。お疲れさまでした。

 幸いにも海魔獣は発見できず、一時間後に警戒態勢が通常に戻って、騒動は収まった。


 何とも人騒がせな風魔法だ。本当に申し訳ありません。

 途中笑いそうになったのは内緒だ。ごめんなさい。


 ちなみに、パパと船長は、このマーリン号の守りの固さに海魔獣もそそくさと逃げ出したか、と大笑していたそうだ。


 容易に想像できてしまうが、まあ、その、何ともだ。


「それじゃあ、お着替えをしましょう、

 もうすぐ朝食です。ママさんがお待ちで、パパさんももうしばらくするといらっしゃいます」

「ヒーナ先生は疲れてるんじゃないですか?」

「これでも元冒険者。鍛えてますよ。

 セージ様はお優しいですね。ありがとうございます」

 ギュッとなって、し、死ぬー。

 パンパンパン。

 フハー。


  ◇ ◇ ◇


 居間ではパパはまだだった。

 テーブルに着くと早速ママがヒーナに確認する。


「セージはなんと?」

「なにも知らないと。ただ、やはり疲れたご様子でした」

「ヒーナの想像通り魔法を放ったのでしょうか」

「ちょっと頑張って、話しやすい環境を作って誘導してみたり、チョットだけ悪戯に脅かしてみたりもしてみましたが、わかりませんでした」


 おいおい。あれが誘導尋問だったてのか。

 コミュ力最低だろう。

 それともあれがこの世界の正常なコミニュケーシュンだってのか?


「具合が悪そうでも、しっかりと眠っていましたからね」


「そうですね。

 セージ、個人情報を見せてもらえるかしら」


「はい」『個人情報(偽)』


----------------------------------------------------

【セージスタ・ノルンバック】(偽)

 種族:人族

 性別:男

 年齢:5


【基礎能力】

 総合:7

 体力:8

 魔法量:10


【魔法スキル】

 魔法核:0 魔法回路:0

 生活魔法:0 火魔法:0 風魔法:0 光魔法:0

----------------------------------------------------


 ヒーナの目を盗んで個人情報(偽)の数値の再確認をしている。

 魔法核・魔法回路・生活魔法を“1”にするのは、あと一週間(六日)から一か月(二四日)程度は様子見しながらタイミングを見払ってでいいだろうし。

 特に手直しが必要には思えなかったので、昨日見せた個人情報そのままだ。


「全て昨日見たまま、風魔法も“0”のままで、“1”にはなっていませんねー」

「そうするとヒーナの予想は間違いだと」


「あれだけの音ですから、解せません。

 それとも眠りながらも相当量の魔法力を相当込めて、成りかけの風魔法を放ったっていうことでしょうか」

「そのようなことができるのですか?」

「一般的はありえません。ですが、生活魔法とはいえ『複写』したばかりの、まだ定着も済まないままの魔法陣でほぼ完ぺきに魔法を発動させ、持続時間も一般的よりも長いと信じられない才能ですから、それでもことによったらですが」


「それほどに信じられないことなのですか」


「はい、私はもちろん見たことも聞いたこともありませんし、友人なども同様なはずです。

 それとも、ヤッパリ海魔獣の仕業だったのでしょうか」


 ママとヒーナは、無言になる。


「どのようにすればよろしいと思いますか」

 ママが困惑気味に口を開く。

「そうですねー…。

 無意識で放ったとすれば、いえ、そうでなくとも、正しい知識を身につけるように導くしかないかと」

「そうでしょうね。ほかには」

「見守っていくしかないかと。それと私が夜セージ様と一緒に」

「いえ、通常の教育もありますしそこまでは。

 それでは成長を見守り導いていきましょう。ヒーナには今日も指導をお願いします」

「わかりました。ただ少々本格的に教えていきたいと思います」

「どういうことでしょうか」

「セージ様が一般的なお子様の範疇に収まらないということです」

「具体的には」

「高等魔法学院、マリオンでは上級魔法学校でしたか、その教育です」

「それほどですか」

「はい。ここ数日の言動も考えてです。

 初等学校の魔法知識は、多分ですが、体感的に理解しているのではないでしょうか。

 そしてとてつもない文章理解力に、算術も三桁の加減算は暗算でまず間違えません」

「そうなのですか」

「はい。乗算や除算も、隠してらっしゃいますが、できていそうです。

 図形や角度も同様に理解しているようです」


 散歩中に「算術のお勉強です」って言って何かとやらせてきた算数問題。

 何度目の散歩だ? やっぱ、ひっかけだったかって、気づいた時には随分解いちゃった後だったから、そりゃーバレバレだよな。

 他にもいろいろ質問されたし、それも含めて、もう後の祭りなんだろうな。

 うっかり、迂闊。本当に僕五才だった。一〇才で目覚めたかったな。

 これで転生者ってバレて、バンになったりして……ってのはないよな。心臓に悪い。


「どのように覚えたかは」

「セージ様は内緒にしてますが、ミリア様の教科書だけでなく、ブルン様、オルジ様の初等学校時代の教科書も読まれているのではないでしょうか。

 時間から曜日に年や月のことなども含めて、そうですよね」

「えっ、ど、どうだっていいでしょう」

 突然のヒーナの視線攻撃に戸惑ってしまう。

「と、こうです」

「その程度でしたら……。

 セージではあっという間でしょうね」

「ほ、本をもっと買ってくさい」

 今度はママだ。心臓に悪い。

 情報操作に、嘘つきスキルは備わってないのか。


「またヒーナ先生に良い本を選んでいただきましょう」

「ただ、マリオン史などは、興味がなかったのか年齢相当のように思います」

「興味が極端だと」

「はい、お話していても、魔法の話だとセージ様も嬉しそうに良く話します。

 たまに体系だって魔法を知っているのではと思われる反応は本を読んでいる証拠でしょう。

 ねっ!」

「もっといろんな本が読みたい!」

 いや、スキルのつかみ取りで、読みまくって、関連付けてたからだな。

 それにしても、もうこんな相談止めようよ。

「歴史など興味のないこと以外は、初等教育を終えています。

 確認していないのは初等教育の理科関係でしょうか、それは現状確認が難しいので保留状態です。

 それに歴史は、セージ様がちょっと興味を持たれ、数日本を読めばよろしいかと」

「そうですね。“魔法の指輪の物語”の粗筋をよどみなく話していましたものね」

「私もセージ様に魔法を本格的に教えてみたいと思っています」


 えっ、えっ。新手の不意打ち。うれしい不意打ち。

 ヒーナの笑いのこもった悪戯視線に続き、ママも僕を見てくる。


 そして、ママがしばらく熟慮する。

「わかりました。任せます」

「ありがとうございます」


 ヒーナがなんか、よかったでしょう、と言ってるみたいだ。

 なんか悔しい。


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