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次元災害で異世界へ  作者: 真草康
ロト国編
149/181

145. ロト国からの救援


 三月二〇日青曜日、ヴェネチアン国とロト国から緊急通信が入った。

 僕が知ったのは五日後だけど。


 ロト国のダンジョンで、精神汚染に精神異常をきたした人たちが多数発生したそうで、その救援の依頼だ。


 ロト国はまずは僕とミクちゃんが留学していたヴェネチアン国に連絡を入れ、そしてヴェネチアン国とロト国の両方から連絡が入ったということだ。


 ヴェネチアン国でも調査が行われ、ママやマールさんも伝手を使って情報取集した。


 ロト国からの要請がほぼ間違いなことを確認した四月一日の赤曜日。

 それらを沈痛な面持ちで、マールさんに手を握られながら、ママは僕に告げた。


「セージ君どうしますか」

「行きます」

「私も一緒に行きます」

 マールさんの問いかけに、僕は即答して、一緒にいたミクちゃんも僕に追従した。

 国から救援要請される小学生って何? と思わなくもないが、そこは女神様から認められた“聖徒”だ。


「ウチも一緒に行くからね」

 パパさんのラーダルットさんからでも噂を聞いたのか、ルードちゃんも飛び込んできた。


 そうして相談となったのだが、パパとウインダムス議員が緊急会議でマリオン市から帰ってきてない中、どうやってロト国のロータス市に行くかが問題だった。

 オーラン・ノルンバック船運社にN・W魔研が忙しい中、ママが抜けるわけにもいかない。

 ウインダムス総合商社もウインダムス議員が居ない現在、マールさんもおいそれと長期にオーラン市を離れられない。


 コンコンとノックが聞こえ、ナナラさんが来客を告げた。

「キフィアーナ様とヒルデ様が奥様とセージスタ君にお会いしたいと、お越しになりました」


「セージ、ロト国に行くから支度しなさい。

 ミクとルードも一緒に行くなら、一緒に急ぎなさい」

「キフィアーナ様!」

 開口一番、僕を見たキフィアーナちゃんがいつもの調子でまくし立ててきた。

 それをヒルデさんがたしなめる。


「ねえ、ロト国に行くって?」


「申し訳ありません。ヴェネチアン国(本国)より連絡が入りまして、ロト国の窮状を聞きつけ、お手伝いができないものかと訪問いたしました」


「そうはいわれましても」


「では、こう申し上げればいかがですか。

 わたくしヒルデリンダ・アーホイア・ヴェネチアン国特別大使は、正式にマリオン国との協力関係を結び、ロト国の窮状の救済のお手伝いを申しいれいたします」


 話を聞くとキフィアーナちゃんの保護者のヒルデさんが、今でもキフィアーナちゃんの教育係として活動していることは知ってはいたけど。


「貧乏子爵のアーホイア家の三女として生まれ、急遽男爵位と特別大使の任を拝命いたしました」

 あっけらかんとぶっちゃけるヒルデさん。

 公爵・侯爵・伯爵の上級貴族に、子爵・男爵の下級貴族からすると、王孫の教育係なのに、特別大使を任命されるとは才女なのか。


「お恥ずかしい話ですが、国王から、セージスタ様の救援活動を補佐して、ロト国との関係をより良好になるようにと命ぜられましたが、教育一筋に生きてきたわたしには任が重過ぎます。

 ただ、セージスタ様に関われるのがわたくししかおりませんので、このようになった次第です。

 ですから何かお手伝いでもと思いまして」

 ぶっちゃけ話もここまでされればすがすがしい。


「わたしの船でロト国に行くから、急いで支度をしなさい」

「キフィアーナ様!」


 なんと“海の貴婦人”と乗員は、ヴェネチアン国に帰還せず、船の管理と警備、オーラン市で冒険者活動との半数ずつに分かれて、を交互に行っていたそうだ。


 その後の打ち合わせと、マリオン市のパパやウインダムス議員にも連絡を取って、対応策を練った。


 エルガさんとも相談したいことがあったので、エルガさんともだ。


  ◇ ◇ ◇


 四月四日緑曜日、僕たち一行は“海の貴婦人”に乗ってロト国のロータス市を目指して出航した。

 直行で約三日の距離だ。


 乗船者はキフィアーナちゃんとヒルデさんたちヴェネチアン国の総勢はオーラン市のホテルに滞在した六人+海の貴婦人の乗員一四人だ。

 それとオーラン市一行は僕にミクちゃんにルードちゃんに、なんとママに懇願されたリンドバーグ叔父さんと、

「セージ君をよろしくね」

 笑顔のエルガさんに送り出されたリエッタさんだ。


 それにしても流水圧縮推進(ウォータージェット)に、魔導砲四門と魔導銛も二門装備しているブリガンティン型の二本マストの小型帆船が、一二人で操船できるなんて近代化されているからだろう。まあ、船については何も知らないから、本当のところは何もわからないんだけどね。


 オケアノス海は予想通り荒れていた。さずがに時化って程じゃないけど、雨で海面がうねっている。

 ユックリとしたアップに、ゆっくりとしたダウンに、横波に不規則さが加わる。

 油断すると酔いそうだ。


 ちなみにミクちゃんはスキルの所為か、いたって平気だ。

 エルフのルードちゃんも普通にしている。

 リエッタさんは僕と一緒で、ややダウン気味だ。

 それと感覚異常耐性持ちのキフィアーナちゃんは、いたって元気だ。うらやましい。


 四月六日黒曜日。

 晴れて凪いでいるけど、昨日の揺れで、体がフワフワしている。

 ひどくはないけど気持ち悪い。


「魔獣接近!」

「ビッググリーダー二匹に、グリーダー三匹」

 ビッググリーダー、首長竜魔獣でも強めの魔獣の部類だ。

 それらを難なく追い払う。


 四月七日赤曜日、昼前にロータス港に到着。

 近距離電話(マジカルフォン)で連絡してあるので、王宮からお迎えが来ていた。


 ロータス市は思ったより広そうだった。

 思い出の本屋――10. 読書感想文話参照――の前を通らなかったのが残念だったけど。

 沼地の多いロータス市はあちらこちらに堀が張り巡らされていて、もちろん実物は見たことはないのは当たり前だが、まるで江戸の町を彷彿とさせる街並みだった。

 王宮は少々古びた感じのする建物で、広い水堀に囲まれていた。


 恰幅のいい紳士風のリヴェーダ王同席の下、優しそうな丸顔の宰相、ごくごく平凡な小柄なおじさん風の総務大臣、カイゼル髭の偉そうな軍務大臣、長身な目つきの鋭い財務大臣の四人が側近のようだ。

 あとは、やせぎすで神経質そうな書記官一人に、見るからに屈強な警備兵一人が同席している。


 対する僕たちは交渉の代表としてマールさんに、サブにリンドバーグ叔父さん、そしてヴェネチアン国経由で連絡があったことで、キフィアーナちゃんの保護者のヒルデさんがオブザーバー参加となっている。

 あとは僕、ミクちゃん、ルードちゃんにリエッタさんだ。


 説明は宰相が行った。

「ロータスのすぐ近くにある水のダンジョンとも呼ばれる、アクアダンジョンがあります」


 アクアダンジョンの中では、空中に色々な色の水球が浮かんでいる。

 その水球に黒色が混ざるようなったのが一年ほど前から。

 カルンドス(カル君)コルコラーナ(コルさん)は、その黒い水球が浮かぶアクアダンジョンで経験を積んで強くなったそうだ。

 そういうこともあって、カル君やコルさんに続けとアクアダンジョンに挑む人が増えたのだが、霧魔獣に憑依されたいたのを受けて、ダンジョンに挑んだ人たちを調査したら、憑依されたものは見つからなかったが、精神汚染を受けていた冒険者が相当数いた。

 そして黒い水球が原因ではないかと、冒険者たちに消滅させようとしたのだが上手くいかない。


 ダンジョンには黒い波動が駆け巡るという。

 その黒い波動は“神の御子”は一般の人より敏感に、そして的確に感じられるそうだ。

 そして駆け巡った直後に体調不良を発生するものが続出する。

 そういった意味では誰もが確認できることだと思われる。

 ちなみに一般人の中には黒い波動を感じ取れない人もいるそうだ。


 それとは別に黒い魔獣がいるとの噂がその頃に持ち上がったし、中には黒い魔獣を見たという冒険者もいたけど、精神が不安定で正確な情報をつかめない。

 とにかく奥に何かあると討伐隊を向け、ロト国でも誕生した“聖徒”の称号持ちの“神の御子”たちをも派遣したけど、黒い魔獣の退治には至っていない。

 総合がそれほど高くないからそれほど潜れなかったというのもあるそうだ。


 なんだかんだと対抗策を試してきたが、アクアダンジョン内の負の魔素と魔法力が濃厚になってしまい、最深部に踏み込めなくなっていしまっているそうだ。

 それからしばらくして、アクアダンジョンから黒い水球が外に漏れ出してきた。

 それによって精神汚染がロータス市にも及んできた。

 困ったことに黒い水球はセイントアミュレットで完全に防げず、城壁を越えて市街地へ飛んでくることだ。

 光魔法持ちでその水球を撃ち落しているのが現状だ。


 幸いにもといえるか微妙だが、精神異常や錯乱、はたまた精神汚染を受けた人たちの治療は順調だそうだ。


 ただ、根本原因が不明なまま。

 結果、救援要請を出した、ということだった。


「皆さんにはアクアダンジョン内の調査と、できれば発生源の黒魔獣の殲滅をおねがいします」

「できる限りのことはやってみます」

 ということで会談は終わった。

 もちろん、様々な支援もいただけることになった。


  ◇ ◇ ◇


 一日休憩をして、体調を整えミクちゃんに付き合ってもらってオケアノス神社にも行った。

 まあ、オケアノス神社は期待はしたけど特に何もなかった。

 それと図書館にもだ。アクアダンジョンと魔獣の知識は重要だ。

 オーラン市で予習はしてきたけど、現地で確認した方がより完璧だ。


 城壁の外に出て<ホーリーフラッシュ>や<ソーラーレイ>、それにホーリーフラッシュを込めた短針カートリッジを装着した短針魔導ガンで、黒い水球――直径五センチメルほどから一〇センチメルほど――が破壊できることを念入りに確認する。

 触ってみたけど、闇魔法に強い耐性があると影響はなさそうだ。ただ、触った感じが滑っとしていて気色悪い。


 ほとんどの水球はシールドでも防げるけど、黒い水球だけは白い力を込めないと弾けない。

 あとは向こう側が透けて見えるとはいえ、視界の邪魔なことは確かだ。


 エルガさんと相談して光魔法を込めたカートリッジを幾つも作成して、短針はそれこそどっさりと作ってきている。

 製造は可能だけど前もって準備出来ることはやっておいたつもりだ。


 その翌日の四月九日黄曜日、準備を整え、朝からアクアダンジョンに向かった。

 メンバーは僕にミクちゃんにルードちゃんにリエッタさん、そしてロータス市の冒険者で闇魔法持ちで闇耐性の高いドーラさん、ナイスバディでそばかす顔、性格は控えめな二四才の女性だ。

 僕たちのパーティー構成を考えてロト国が気を使ってくれた人選だ。


 魔導車で乗り付け、<ホーリーフラッシュ>で周囲の黒い水球を破壊して、増加しないことを確認して、アクアダンジョンに潜っていく。

 空気が濃密になって、動作に負荷がかかるといった奇妙な感覚だ。そして息苦しくもない。

 水球にしたって、あちらこちらにある訳じゃない。

 六畳程度の部屋に大小合わせて水球が一〇個から二〇個程度だ。

 そのうちの一個から三個程度が黒い水球だ。


 そしてアクアダンジョンと呼称される要因が海魔獣の紅魔クラゲや長手魔クラゲなどが空中にプカプカと浮いているし、海魔獣が空中を泳ぐダンジョンなんだ。

 ダンジョン内は水魔獣とも言うけど、海魔獣と言った方が僕はなじみ深い。


 それらを魔獣核(石)ごと特性の木刀で切り倒して進む。

 剣が錆びないための工夫で、水球も木刀で退かして進む。

 ちなみに切り損ねて、クラゲが生き残っても遠くにどいてくれればそれで問題ない。


 強い魔獣の核を破壊することは一瞬ではできないが、この程度の魔獣核やもう少し強い魔獣でも核の破壊は可能だ。ただし、粉々となっても核は残るから、本来は推奨されることじゃないが、手間を考慮すると致し方ないことだ。


 他には手で退かす、放る投げるということも可能だが、防水と絶縁の魔法コーティングした厚手の皮手袋をハメているけど、直接触りたくはないものね。

 もちろん靴や防具などにも魔法コーティングは施している。


 みんなも僕と同様に魔法コーティングした防具を身にまとい、手には僕と同じように魔法力を流しやすくしたミスリル芯が入った木製の武器を持っている。

 模擬戦用の模擬刀と違って刃先がゴム製ということはなく木製で、切れ味アップと硬化に強化の付与付きの武器だ。

 さすがにミスリル芯が入っているとはいえ、木製武器に高周波ブレードの付与は不可能だった。


 ここアクアダンジョンでも、レーダーなどの索敵範囲は制限が掛かる。

 それはテレポートもだ。

 それらのことを確認しながら注意深く進む。


 岩場の大きな洞窟を進んでいくと、海藻らしきものがちらほら散見できるようになった。

「ドーラさん、海藻は食べられるんですか?」

「食用になる海藻ならばでっすが、食べられます。

 代表的なのがワカメにノリ類に海ブドウにモズクなどですね。あとは寒天など加工が必要なものもあります」

 ほぼ日本だ。

 オーラン市では海産物といえば、魚貝類に海魔獣と決まっている。

 海岸線はセイントアミュレットブイで守られているとはいえ、農地とは比較にならない危険度だ。周囲をネットで覆った海水浴場でもない限り危険度は跳ね上がるからね。


 海魔獣、イクチオドンとの本格遭遇だ。

 オーラン市でもよく見かける、なじみ深い海魔獣だ。

 空中を高速で泳ぐイクチオドンを、遅い! 赤銀輝の一太刀で切り倒す。


「ミクちゃんやルードちゃんもこの程度は朝飯前だよ」

 僕の戦闘能力に目を丸くするドーラさんに事実を告げる。

 これで驚いているんなら、多分これからもっと衝撃的なことになるからね。

 ただ海魔獣を切るとき、水球がかなり邪魔だ。


 海魔獣の多くが洞窟の中では波を発生させる代わりに水砲弾を撃ってくる。水鉄砲は一緒だ。

 ただそれらの全てが粘着弾だったり、高速弾だったり、毒の水だったりだ。


 二層に下りて少し経った時だ。

「あ、……」

「セージ君どうしました」

 僕の驚愕に、リエッタさんが警戒心を一気に上げた。

 一瞬遅れてミクちゃんとルードちゃんもだ。

 慌ててドーラさんも剣を抜く。


「あちゃー……まいったな」

「どうしました」

 緊張感の無い僕に、リエッタさんも困惑気味だ。

「チョット戻ります」

 そう言って、僕は来た道をスタスタと階段まで戻った。


「セージやっと追いついた」

 そう、キフィアーナちゃんが僕を追いかけてきてたんだ。

「何が追いついたよ、だ。ホントにもう」

「迷惑を考えなさい!」

 僕と一緒にみんなも脱力感で肩を落とす。が、一人だけ、そうルードちゃんだけが怒鳴りつける。


「何よ、わたしだって闇魔法持ちの耐性持ちで、“聖徒”の称号持ちなんだから。セージの役に立つわよ」

「わかったから。それでヒルデさんには言ってきたの」

「だ、大丈夫ヨ」

「あっそ」

「でもよく付いてこられたね」

「地図も買ったし、黒い水球のない方に歩いてきたもの」

「あっそ」


 どうやってここまで来たかといえば、ダンジョンの入り口まで冒険者を雇って、魔導車で送ってもらたんだそうだ。

 なんて危ない真似を。


 仕方がないで、そのまま進むことにした。

 二層になっても一層とあまり変化はない。

 ときたま海魔獣にグリーダーが混ざる程度だ。大きさによってグリーダーの強さはさまざまだが“30”から“40”といったところだ。

 みんなも知ってはいると思うけど、解説するのはいつものことだ。

 ただ相変わらず水球とクラゲが戦闘の邪魔だ。

 先頭では木刀と赤銀輝の使い分けが煩わしいけど仕方がない。


 途中二か所のドライエリアで休憩を行った。

 何故ドライエリアがあるかアクアダンジョンの謎の一つだが、二層以下だが各階層でいくつものドライエリアがあって休憩が取れるんだそうだ。

 それとドライエリアというだけで、海魔獣は居ないけど、魔獣がいないわけじゃない。それなりの防御は必要だ。


 休憩中に黒い波動とでもいうべき波動がダンジョン内を走り抜けるように拡散していった。

 そうなると本のいくつかの水球が黒く変化した。

「いまの感じた」

「うん、もちろん」

「間違いない」

「わたしも感じた」

 僕にミクちゃん、ルードちゃんにキフィアーナちゃんはシッカリと感じ取ったけど、リエッタさんとドーラさんは感じ取れなかった。


 そして三層に下りる。

 水球の濃度が上がった、それは黒い水球もだ。数が増えたという訳ではない。黒い水球一個一個の濃度が上がったのだ。

 クラゲにも黒いクラゲが混ざり始める。

 海魔獣はマッドシャークにノコギリエイ、毒アカエイにグリーダーなどとなった。

 これらも大きさによって強さはさまざまだが“30”から“40”といったところで、時たまビッググリーダーなどの“50”程度にでくわすといった具合だ。

 それらの魔獣になると当然水砲弾や水鉄砲の威力もアップした。

 海藻も増えて、滑るので足場に注意しないといけない。

 戦闘や索敵を含んでレベル的には特に問題はない。それはキフィアーナちゃんにとってもだ。


 四層に下りる。

 水球の数も若干増えたようだが、それより水球に黄色い水球を見かけるようになった。

 触るとしびれるが、僕はチョットピリッと来る程度だ。

 弱い静電気を感じる程度のショックだけど、電気じゃない。毒系のシビレだ。

 戦闘中には触りたくない水球だ。

 それとワイヤーネットで捕縛を試みた時に間違えて黄色い水球も取り込んでしまうとチョットめんどくさい。


 通常の水球や黄色い水球は、黒い水球と違ってホーリーフラッシュでは消滅しない。

 炎系の魔法やソーラーレイで蒸発させるか、風魔法で吹き飛ばすかだ。


 四層では単体だった海魔獣が二匹とか三匹程度の群れになった。

 海藻は二層と同じ程度だ。

 徐々に危険度が増す。


 ここまでの調査で黒い水球ができる原因は分からない。

 それとレーダーやテレポートが更に効きにくくなっている。


 五層に下りる直前のドライエリアでキャンプを張って一泊する。

 もちろんホイポイ・ライトと簡易セイントアミュレットを設置して交代で歩哨にも立つ、いつものパターンだ。

 六人だから二人づつの三組と丁度いい。


 ダンジョンにもよるが、基本的にダンジョン内が真っ暗な夜になることはない。

 一日の管理は時計によるものが主となる。

 ただしアクアダンジョンは、一日のうちに数回、それも不定期に、やや明るくなって暗くなってを繰り返す、変わったダンジョンだ。

 やや薄暗い深夜に、またも黒い波動が駆け抜けるように拡散した。

「ヤッパリ下からだよね」

「うん、そうだね」

 真夜中の当番の僕の言葉に、相方のミクちゃんもうなずく。


ご愛読いただきありがとうございます。

ここまで毎日アップしてきましたが、私の都合で申し訳ありませんが、毎日アップするのが難しくなってまいりました。

心苦しいことですが、不定期(できるだけ二日に一編)になると思います。

できるだけ頑張ります。ご愛顧のほどよしくお願いいたします。


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