1/5
羽化
自分だった殻を突き破る
全くおかしなことだが、今生まれたとさえ錯覚させるほど綺麗な朝だった
ぴんと張り詰めた朝の空気の中で
ふるりと羽根をふるわせた
地を這っていた記憶は昨日のことのように懐かしく、昨日のことのように不明瞭だ
周りの世界が違って見える
本当に変わってしまったのは僕なのだろうけれど
ああ、やっと自由になれた
もう泣かなくていい
もう笑わなくていい
苦しいことも悲しいこともなくなった
嬉しいことも楽しいこともなくなったけれど
僕を傷つける人はいなくなった
僕を好いてくれる人もいなくなったけれど
泥臭い見た目と過去を捨て
僕はやっとこの姿になれたんだ
暖かさを持たない羽根は、それでもなお――否、それでこそ美しい
ふるえるほどの喜びのなかで
僕は寂しくて泣いた




