捌
あの仔は身体を横にしていた。
今までは腹這いの様に、座る様にしていたけれど…その力も無いらしい。
『悪い…こ……』
(悪いことって?病気の事なの!?)
私はあの仔を揺さぶった。初めてあの仔に触った。
(お願い!教えて!病気の事なの?絵を貼っていたら大丈夫なの?)
あの仔は閉じていた眼を、震えながらゆっくり開ける。
…もう、眼を開ける力も残っていないのだろうか?
白濁した瞳が私を見た。
『社が…壊され…たから』
(…社?あの社が工事で壊されたから?)
だから社の神様が怒って……病気を?
『違うよ』
あの仔が
あの仔があの仔が
あの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔があの仔が
ゲタゲタと嗤い出した。
あの仔が私にのし掛かる…
『違う違う違う違う違う!大違いさ!病気だけじゃ無いよ!…この嵐も!その次のも!全部ッ!ぜ~んぶまとめて悪いことさ!』
あの仔が重くて身動き出来ない。
私の顔の前にあの仔が顔を寄せてくる。
生臭い息を吐いてニタニタ嗤いならあの仔が言った。
『奉りもせずに手前勝手に社を壊したら………』
あの仔が嗤う。
厭だ…聞きたく無い!
『…祟りがあるに決まってるだろ!』