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古代製鉄における一考察
『祟り』とは、神性を持つものによる災厄である。
類似語の『呪い』よりも上位に位置し、『呪い』が特定の個人に対するものであるのに比べ、不特定多数・災害レベルのものを謂う。
古代、製鉄は秘匿技術であったとみられており、従事者は『たたら場』で砂鉄を融かした。
製鉄に携わる者は巨大なふいごを踏みしめ続け、炎の色で温度を判別した。
その為、長く従事した者は眼と足に職業病を患う事になった。
日本神話の鍛治神は従事者の姿を模して単眼である。また一つ目一本足の妖怪『一本だたら』のモデルとされている。
こういった記述は本邦のみならず、ギリシャ神話の鍛治神ヘファイストスは足が悪く、キュプロクスは単眼という様に類似性を認められる。
古代の製鉄は山を切り崩し、たたら場の熱で融かし、山から流れる川の水で冷ます。
当然の如く流域は鉱毒で汚染され農作物に蓄積される。
汚染された水・食物による病をたたら病いと呼び、切り崩された山は地震・台風等により崩落、周辺地域に二次災害を起こす。
これら一連の全てを総括したものが、『たたら』を語源とする『祟り』の元風景であると思われる。