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2話:授業開始!呂猛と夏候惇

 高校生活始まって最初の授業の日の話―。

 竜馬家―。


 竜馬は目覚めた。

 1階のキッチンからは食欲をそそるいいにおいがする。

 「竜馬。そろそろ起きないと遅刻ですよ?」

 この声は竜馬のたった一人の家族であり、1つ年上の兄の呂 瀬戸(りょ せと)である。

 「もう起きてるよ兄上。すぐそっちに行く〜。」

 2階の自分の部屋にいる竜馬は着替えるとすぐに1階へ降りて食事にありつこうとした。

 それを様子を見た瀬戸はすぐさま竜馬に言った。

 「竜馬、顔を洗うのが先です。」

 なんとも誠実な兄である…。

 「今日から竜馬は授業が始まりますね。ちゃんと準備できているのですか?」

 瀬戸に竜馬はもちろん!と手をグッドにして答えた。

 「当たり前だよ兄上。僕だってそれくらいできているさ。兄上こそ仕事の準備できてるの?」

 瀬戸はなんと竜馬の1つ年上なのに働いているのだ。まぁ、でないと普通金銭面で苦しむからねぇ…。

 「私は問題ないですよ。今日もばっちり働いて稼ぎます。

 「兄上…僕の為にお金を稼いでくれてありがとう…。」

 冒頭から兄弟愛過ぎだな、おい。

 しかしその時玄関のドアを叩く音がした。

 ドアの向こうにいるのは瀬戸の仕事の親方、親父(おやじ)である。

 「おい瀬戸!そろそろ仕事に行く時間だぞ!?」

 「はい親父さん。もう今出るところです。」

 そう言うと瀬戸は玄関のドアを開けた。

 「よし行くか!おっと、竜馬じゃねぇか!竜馬〜、ちゃんと勉強してくんだぞ?」

 「了解親父さん。僕はそれが仕事ですからねぇ。」

 あいさつも程々に瀬戸と親父は去って行った。

 1人残った竜馬は食事を終え、身支度を整え次第学校へ向かうのであった。


 登校完了時間まで10分前―。

 学校までが遠い竜馬家は時間がかかるのであった―。

 今日の学校は一段と騒がしい…。そう竜馬は思っていたが、実は自分の教室がうるさいだけであった。

 その騒がしい教室に入ると見慣れない顔の女性と呂猛がもめていた。

 その女性は髪を後ろに一つ結び、そしてとても印象的なのが彼女は右目に眼帯をしているところである。

 「夏候惇!結局なんでお前がここにいるんだよ!?」

 「侵害ね呂猛。私は別にあんたいるいないなんて関係ないのよ。私は行きたい所に来ただけ。」

 「ぬうぅ…。ここは普通とは違うんだぞ!?女のお前が来る事なんて、ないだろ?」

 「他に女はあなたのご想像より大勢いるわ?それに普通とは違うのを知らずにこの高校に来るわけないじゃない!」

 酷い荒れようだ…。

 教室の真ん中で2人は言い争い、他の生徒は固唾を飲んで見守っていた。

 その見守り組の中にカズの姿があった。

 竜馬は状況の説明をしてもらおうとカズの元へ寄って行った。

 カズは静かに言った。

 「呂猛と言い争っているのは夏候惇(かこうとん)やで。自分も2人がどういう関係かは知らんわ〜。」

 それを実は聞いていた呂猛が訂正した。

 「俺はコイツと関係は無いぞ!つか、なんで俺がこんな奴と関係なんか…」

 さらにそこに夏候惇が入ってきた。

 「そうよ!私もこんなバカなんて知らないわ。」

 このままではいっこうに終わらない…。そう感じた竜馬は事態の収拾を図ろうとした。

 「御2人とも。今日はこれくらいにしようよ?もうすぐ授業だし、学校始まって早々もめることないじゃないか。」

 「そうやって。続きはまた来週〜♪やで?」

 カズの援護は教室の空気を悪くした。

 一瞬の沈黙の後カズは呂猛にバカにされた。

 「おいカズ!おめぇがフォローしても面白くないぞ?」

 「いや、別にウケ狙ってないで?」

 カズは半分嘘をついた。(ウケを狙っていたのは当たりだった)

 結局そのまま言い争いを続けていると教室に1人の先生が入ってきた。

 その先生は薄紫の髪の毛だった。

 「この教室は随分とにぎやかですね?さて、そろそろみんなは席についてもらおうかな?」

 生徒達は各自自分の席に向かった。

 夏候惇も席に戻ろうとした所を呂猛が夏候惇の背中に向かって言った。

 「静かに過ごせよ?」

 夏候惇は自分の席まで来ると呂猛の方へ向いて言った。

 「入学式に今日みたいなこと言ってくると思ったんだけど、あなたは鈍感なのね…。」

 クラス発表は確かに入学式だった。

 その時になぜ呂猛が気付かなかったというと…?

 (あいつに「誰が同じクラスかしっかり見てなかったぜ!」なんて言えねぇ…)

 と、言う事である。

 とりあえず何か言い返そうとした呂猛を先生はさせなかった。

 「呂猛君?君の席はあそこだよ?」

 その親切な言葉に大胆に逆らえる呂猛ではないので素直に席についていった。


 それからチャイムがなり授業が始まった。(先生は多少早く教室に来たようだ)

 授業が始まるとまず最初に先生の自己紹介からだった。

 「僕の名前は一之瀬(いちのせ)と言います。僕は普段から早めに教室に入ってきます。なのであまり今日みたいなことを休み時間中やってないと席についてくれると嬉しいな。」

 一之瀬先生…あっという間に和やかなムードを作り出すとは…なかなかの素質である。

 「質問はあるかな?可能な範囲で答えようと思うけど。」

 その言葉にカズが食らいついた。

 「先生の名前は一やけど、それってなんか意味あるんですか?」

 普段おちゃらけているカズであるが、こういうときは意外と真面目である。体の中にオン・オフスイッチでも入っているのか?

 「無いですよ?よく少ないほうが偉い多いほうが偉いなど色々な噂がありますが、数字に関しては校長先生の適当な振り分けでたまたま僕が一なだけです。」

 振り分け?本当の名前は別にあるとでも言うのだろうか…?が、そこには誰も突っ込まないのがこのクラスである。(っていうか気付いてない人が意外と多かったり?)

 「他に質問はありませんか?」

 更に他の生徒が質問した。

 「先生には恋人とかいますかぁ?」

 早くも色恋沙汰か…

 「え〜っと、その質問ですかぁ…。一応僕にもいるね。」

 「相手は!?」

 早い反応だ。

 「それは秘密だね。他に質問はありませんか?」

 一之瀬は上手くその場を言い逃れた。

 こうして自己紹介も終わると早速授業が始まった。


 数学の授業だ。

 一之瀬は知的なメガネをかけているだけあって、教え方も知的だ。

 竜馬はこれが神様なんだなと感心するのであった。


 そうしてあっという間に1時間目は終わっていった。

 この後も授業はある(1日7限が基本である)が呂猛と夏候惇はあと2回も言い争いをして1日は終わった。


 帰りは3人一緒だ。

 呂猛が先に別れて竜馬とカズ2人で帰っていた。

 竜馬はカズに2人について話した。

 「どうしてあの2人ってあんなに仲が悪いんかなぁ?そのうち殴り合いにならんかったらいいけど…。」

 本気に心配しているように見えたカズは竜馬の不安を和らげるように言った。

 「多分大丈夫やって!ケンカするほど仲がいいってな。」

 かずは笑っていた。

 が竜馬にはその笑いはなぜか全く理解できなかった。(っていうか、反応鈍いな)


 夏候惇の帰り道―。

 前からあからさまに悪者的人物が数人やって来ては取り囲んだ。

 「お譲ちゃん、僕達と楽しい所に行かないかい?」

 「断ります。私の家は門限が厳しいんです。それでは。」

 無視して通ろうとした夏候順に1人が腕をつかんだ…。


 呂猛は悪い予感がしていた。

 なので2人と別れた後、夏候惇の後を追っかけていた。

 遠くに夏候惇の姿が見え、数人の悪者的人物が取り囲んだのを見て急いで向かった。

 悪い予感は的中したのだ!

 (このままではまた同じことに!そうはさせねぇ!)

 そう呂猛は思いつつ急行した。


 だがとき既に遅しだった…。

 その場に悪者的人物たちの姿は無かった。

 だが、夏候惇の姿はあった…(?)。

 呂猛は呆気に取られていた。そして夏候惇に聞いた。

 「さっきの奴らは!?」

 「泣いて逃げ帰った。」

 呂猛はますます不思議に感じた。

 「どうやってだ?」

 「呂猛。私はあれから成長してないわけじゃないわ。だから、ストーカーなんてしないでよ!」

 夏候惇は怒っていた。だが、笑ってもいた―。

 呂猛はびびった。

 「いや、俺はてっきり…」

 夏候惇は微笑んだ。

 「心配したのには感謝するわ。んじゃまた明日。」

 そう言い残して帰っていった。

 「フッ、感謝なんているかよ。」

 呂猛は独り言を言ってその場を後にした―。


 道草していった呂猛が早く帰れるわけもなく、家に着いたら呂虎にこっぴどく叱られるのであった…。(泣

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