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12年目の恋物語  作者: 真矢すみれ
番外編2 規格外の恋物語
32/38

3.

 先輩と初めて会ったのは、高等部に上がって、くじで負けてなった図書委員の初会合。

 隣に座った先輩は文句なしに頭が良さそうで、眼鏡の向こうの切れ長の目は一見冷酷そうに見えた。

 だけど、間違いなく、この人、人気あるだろうなってくらい整った顔をしていて、文句なしにカッコよかった。

 わたしのぶしつけな視線を感じたのか、先輩はわたしの方を見た。

「あ、すみません!! あんまり先輩がカッコいいんで、思わず見とれてました」

 超絶率直な言いわけをしたら、先輩は目を丸くして、それからくすりと笑った。

 笑うと、表情が一気に軟らかくなる。

 ああ、本当にカッコいい。

 この笑顔に夢中になる女の子、たくさんいるだろうな。そう思った。

「はじめまして。2の1の羽鳥です」

「あ! はじめまして。1の8の寺本志穂です!」

 いかにも体育会系って感じで気合いを入れてフルネームを名乗ると、先輩はまた笑った。

 感じがいい人だと思いながらも、どこか目の奥が、本気で笑っていない気がして、得体が知れない人だとも思った。

「1の8か。……図書委員は、牧村さんだと思ってたよ」

 先輩が言った。

 ……牧村さん?

 1の8には、牧村さんは一人しかいない。

 牧村陽菜はるな。わたしの親友。

 わたしはどうやら怪訝な顔をしていたらしい。

 先輩は笑顔で付け足した。

「中等部で、一緒に図書委員をしていたことがあってね」

 本好き同士、かなり気があっていたらしい。

 残念ながら、わたしは本などまるで読まない。くじで負けて図書委員になったと言うと、先輩は笑った。

 そして、くじ引きをしたその日、陽菜が体調を崩して休みだったというと、残念だったなと言った。



 そんな、どこにでもありそうなわたしたちの出会い。

 その時から、もうわたしと先輩の間には、陽菜の存在があった。

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