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2.
先輩の視線の先にいるのは、わたしの親友。
優しくて穏やかで、人の悪口なんて言ったこともないような心のキレイな子。
心がとびきりキレイな上に、抜けるように白い肌と大きな目、ふわふわと柔らかそうな長い髪、折れそうに細い身体と、抜群に可愛い容姿。
身体が弱くて、誰かに守られていなくちゃ生きていけないように見えるのに、その心は真っ直ぐで、本当はきっととても強い。
……先輩が惹かれるのもよく分かる。
わたしが男の子でも、きっと、あんな子を好きになる。
初恋はいつだっただろう?
初恋らしい初恋はなかった。
あえて言うなら、初等部四年の時の担任の先生。
体育が専門だと言って、爆転、爆宙を軽々とやって見せた。ダンクシュートをしてみせてくれた。
メチャクチャ、カッコよかった。惚れたね。
……けど、きっと、あんなの憧れの延長線上にあるもの。
だって、私以外のみんなも、先生に夢中だったもの。




