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番外編2 プロローグ
わたしの好きな人は、わたしの親友に恋してる。
知っていたのに、好きになった。
気がついたら、好きになっていた。
これは、どこにでもありそうな恋物語。
どこにでもありそうで、でも、ちょっと変わった恋物語。
規格外の恋物語。
「……なんで先輩、わたしの顔を見ると笑うんですか」
「だって、寺本、面白すぎでしょっ」
「……ていうか、まだ何も言ってないし」
「あはは。ごめん。思い出し笑い」
「……ま、いいですけどね」
「そこで、怒り出さないのもいいよね」
先輩はわたしを見ながら、まだクスクス笑う。
何がおかしいのやら。
「まあ、先輩の笑顔が見られるのは、悪くないですし、ね」
私の言葉に、先輩は目を大きく見開き、それからふわっと優しく笑って、わたしの頭をくしゃっとなでた。




