非日常的
その日は酷く酔っていたようだ。
何故か外に出ていた。
どうやって出たかは、
覚えていない。
時計も、歪んで見える。
吐きそうだ。
世界まで歪んで見える。
そんな歪んだ世界で、
聞き覚えのある名前を口にする人がいた。
その名前は、俺のものである。
そして、その名前を口にするのは、
彼女であった。
「久し振り、だね。」
そんなようなことを言われた。
そんなようなことを言いながら、
戸惑ったように笑っている。
何の変わりもない彼女が、
そこにはいた。
変わった事と言えば、
薬指にリンクが付いているくらいだ。
それを隠すように右手を重ねて、
また困ったように笑っている。
俺と彼女は何かあったわけでもない。
寧ろ何もなかった。
けど、俺はいつも彼女を困らせている。
始まってもいなければ、
終わってもいない。
けど、俺はいつも彼女を戸惑わせている。
そのリングの相手が、
俺ならって心から望んだ。
叶うわけもないのに、
強く祈った。
しかし、絶望の中でも少しだけ、
心が救われていた。
これでやっと、呪いから開放されるように感じた。
これでやっと、悪夢から開放される。
そして、目が醒めて、また絶望した。
呪いから開放される処か、
悪化していた。
一体、なんの罪を犯せば、
こんな辛い思いをしなければならないのだろうか。
俺が、何をしたと言うのだ。
また、
ヘドが出そうな程の清々しい朝と、
気が狂いそうな程の色鮮やかな世界に、
俺は、いた。
そして、
踏み潰されたような倦怠感を押し殺して、
俺は、
祈りながら、
家を出た。




