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精霊探し 勇者との戦い


「貴方達、何をしているんですか!?」


ユキナが火竜の前に立つ。


「ユキナさん!?どうしたんですか?邪魔をしないでください。民を傷つける邪悪な魔物を倒してるだけじゃないですか?」


こいつらは火竜の話を聞いていないのだろうか?


「みなさんは火竜の話を聞いていないのですか?」


「話?その後ろの火晶石とやらのことですか?そんな嘘信じることないでしょう。魔物の言うことですよ?」


魔物か・・・

人より長く生き、言葉を交わせる生き物も魔物と呼ぶのか。

火竜を見ると神々しい輝きを放っていた鱗は血で汚れてしまっている。

勇者が5人も揃えば竜も殺せる力になるか・・・


「それで、問題が起きた時、あなた方はどうやって責任を取るつもりですか?」


「ユキナさん、一体どうしたんですか?魔物の言うことですよ?信さんからも何か言ってくださいよ。というか、どうしてお二人が一緒に?」


継嗣がこちらに説得を頼んでくる。

自分の言葉が正しいと信じているのだろう。

魔物は悪。

正義は勇者に。

まあ、普通はそうだろう。


「悪いけど継嗣、お前の言うことは何一つ論理的じゃないよ。ひとまず、ここは引いてくれないか?」


怪訝そうな顔でアークや他の仲間を見ている。


「悪いですが、そういうわけには行きませんね。早くここを片付けて、レナさん達と合流したいので。」


レナか。

ここにはいない、別行動中なのか。


「レナは元気にしてる?」


継嗣の表情にイラつきが見える。


「馴れ馴れしいですね。勇者相手に呼び捨てですか?そういえば、レナさんが迷惑したそうですね。まあ、彼女は優しいですから。あまり勘違いしない方がいいんじゃないですか?いい年なんだから。」


こいつ、こんなに性格悪かったか?

あれからもう少しで一年って所だが、これが継嗣の素なのか?


「アークさんも同じ意見なんですか?」


後ろで見守るアークに確認する。


「申し訳ないがね。むしろ、なぜ君達が信じているのかわからない。」


「ふむ、それはですね・・・。」


「もういいでしょう。これ以上邪魔をするなら少し痛い目を見てもらいます。退いてください。」


説明しようとするマナを遮り、継嗣が剣を向ける。

恐らく、大精霊のことを説明しようとしたのだろう。


「いや、話は最後まで・・・」


話の途中で継嗣が動き出す。

ユキナを飛び越え、自分に狙いをつけている。

剣と剣がぶつかり合う。

その一撃の重さに思わず声が漏れる。


大きく後方に弾き飛ばされる。

すぐに構えなおすも継嗣の剣が輝きだす。


「これが勇者の力です。雷光断魔斬!」


雷の刃が迫る。


(やば・・・)


ユキナが割り込み防御魔法で光刃を防ぐ。


「ユキナさんでも邪魔するなら手は抜きませんよ。」


「なら、こちらも。サンダーブレード!」


雷の刃が継嗣を襲う。

だが、その魔法を強力な剣の一振りで薙ぎ払ってしまう。


だが、その隙をついてフェイが懐に飛び込み蹴りを叩き込む。

その衝撃に何メートルも後方に継嗣が蹴り飛ばされるが、その体を有が受け止める。


「そっちが多数ならこっちもみなで迎え撃とう。」


有が突きを放つと槍先から光弾が放たれる。

連続で繰り出される光弾をユキナが撃ち落としていく。


「師匠と戦うのは気が進みませんが。」


ルイが魔法の詠唱を始める。


「あなたに魔法を教えたのなんて、ほんの数日でしょうが。それで師匠と呼ばれても逆に困ります。」


マナがしかめっ面で返す。

何かフェイに合図している。


「我、紡ぐは無数の螺旋、忌わしき楔を・・・」


「おそい!テトラスペル」


無数の火球、氷刃、雷、風刃の乱舞が襲いかかる。

それぞれ、火球の初歩魔法だが同時に発生する無数の魔法に相手らは戸惑う。


「こんな、下級魔法で・・・」


すると、ルイの懐に高速で潜り込んだフェイが急所へ問答無用の蹴りを叩き込む。


「ぐふっ・・・・」


ルイが地にひれ伏す。

口から泡を吹いてる。

むごい。


「あなたのことですから無駄にでかい魔法を使うと思いましたよ。相手を見くびり過ぎです。」


流石は師匠か。

ひとまず、勇者が一人沈んだ。

後、4人。


「ユナさん、すみませんがルイに回復魔法を御願いします。」


そう言うとアークが剣を抜く。


「炎よ荒れ狂え、ファイアーストーム!」


炎の嵐が迫る。


「凍れる風よ来れ、アイストーネイド!」


マナが氷の魔法で迎え撃つ。

周囲の魔素が影響してか敵の魔法の勢いの方が強い。


ユキナが前に飛び出すと、アークの剣とぶつかり合う。

魔法と同時に前に出てきていた。

その2人を飛び越えて、継嗣と有がやってくる。


「フェイ!」


ー白火ー

フェイの身体能力を魔法で強化する。

強化されたフェイの脚力は尋常ではなく素早く2人を蹴り飛ばし、再び間合いをとる。



蹴り飛ばされた2人に向かい強力な炎が吐かれる。

後ろから首を伸ばした火竜が岩をも溶かすブレスを容赦なく吐き出す。


(これは2人は大丈夫なのか?)


「ファイアーシールド!」


眼前に出現した魔法の盾が炎を遮る。


「返すぞ。」


火竜の息吹は盾に一度吸い込まれ、放出される。

火竜が迫る炎をその翼で防ぐ。


フェイが再び距離を詰め、有を相手取る。


「こっちは任して!」


ファイファ仕込みの拳術は立派に有と渡り合っている。

継嗣と再び向き合う。

自分に勇者を止められるだろうか?


ユキナがアークに押され始めている。

元々、ユキナは武闘派ではない。


「援護を御願いします。」


マナへユキナの援護を頼む。


「シン、無茶をしないように。皆の援護にまわります。」


継嗣が剣を構える。


「信さん、勇者の力を持たないあなたが僕の相手になるんですか?邪魔しなければ痛い目に合わずに済みますよ。まだ間に合います。」


継嗣に向かいゆっくりと石を投げる。

更に、その石に向かい魔法を放つ。

ー火球ー

その攻撃が魔石に溜まった魔素に火をつけ大きな炎となり膨れ上がる。

予想外に発生した炎に身を包まれる。


「こんな攻撃じゃあ、ダメージは与えられませんよ?」


「いいんだよ。」


ー炎転氷化ー

炎が凍り始める。

その異様な魔法に対応が一瞬遅れる。


凍り付いた体へ追撃を加える。

ー雷ー

電撃を落とす。大したダメージではないだろうが格下の相手の攻撃を受けたことへの苛立ちが見える。


「な、勇者の僕に・・・」


継嗣の魔力が膨れ上がる・・・


(な、早い・・・)


左手が切り落とされる。


(また、左手か・・・)


だが、こちらの剣も継嗣の脇腹を削った。


(相打ちとは言えないか・・・)


「この!!!」


更なる一撃が迫る。

避けようと動こうとするも体が動かない。


(なんだ?)


奥を見るとゆなが何か魔法を使っている。

体が重い。

やばい、避けれない。


血がほとばしった。


その血が舞い上がり、自分の顔にまでかかる。


「フェイ!!」


御読み頂きありがとうございます。

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