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精霊探し 戦火

(いける!?このまま攻めきれる?)


攻勢はアーノルド軍の優勢だ。

ユキナの広範囲攻撃魔法で突破口を開き、魔族の本陣へと突き進んでいく。


だけど、妙だ。

やけに手応えがない。

配下の魔物ばかりで魔族はちらほらと見かけはするが思ったより数が少ないし、下級の者しかいない。

(このまま突き進んでいいのかしら?)

不安が頭を過る。

だが、優勢とあって軍の士気が高い。

勢いは止まりそうもない。

ユキナを筆頭にアーノルド軍はそのまま敵の本陣へとたどり着く。


そこには一体の魔族がいた。

他より手強いことが見て取れる。

(これが総大将!?これならやれる!!)


敵の本陣へ、強烈な魔法を放つ。

空から降り注がれる光の雨が魔物を一蹴する。

魔法が終わらぬうちから敵の大将首を取る為に全速力で距離を詰める。

渾身の力を込めた棍の一撃が敵の体を貫く。

敵が絶命する。

「やった・・・・」

「ぎゃあぁぁぁぁーーーー」

後ろを振り向くと部隊が囲まれ、部下が倒れていく。

(まずい、囲まれた?)

どこからか現れた伏兵達に囲まれ包囲される。

(!?あれは・・・街が燃えてる・・・)


主力のユキナの部隊が敵の本陣を攻めている裏で、敵の主力が街へと攻めていた。

城で強力な魔法が放たれるのが見える。

(まさか、罠?足止め?向こうが本命?)

急ぎ街に戻りたい、が、敵に囲まれている。

(みんな・・・どうか無事で・・・)



「ねえ、街が燃えてるよ?」

フェイが窓の開けると夜空が赤く染まっていた。

「敵に入られたのか!?」

ユキナは無事だろうか?

正直、ユキナがいれば大丈夫だと思った。

どうするべきか?

このままでは敵に精霊を奪われるかもしれない。

また、爆発が起きる。

城でも火の手が上がっている。

「シン、どうしますか?ちょっと、まずそうですよ」

「二人とも、着いてきてくれる?」

その言葉に笑顔で2人は答える。

「危なくなったら逃げることを優先して。精霊を探そう。ユキナの話では城の中だ。敵より先に見つけないと」



「助けてーーーー」

少女が叫ぶ。

目の前には巨大な魔物が牙を剥けている。

その牙より早く、フェイが少女を抱え救い出す。


「振りかざすは大剣、サンダーブレード」

電撃の刃が魔物を切り裂く。

身を灼き、切り裂かれた魔物が咆哮をあげるが、その脳を剣で貫くと断末魔へと変わり絶命する。


「サイラ!!」

母親が駆け寄ってくる。

「どこか、安全な所へ隠れて!」

魔物の数が多い。

兵も出て救出活動を行っているが街の中が攻撃されたことでみなパニックに陥っている。

「シン、城へ急ぎましょう。ここは兵士に任せるしかありません。助けるにしても敵の数が多すぎます。倒すなら司令塔を倒さないと」

「く・・・・急ごう」


城門は破壊され、辺りには死体が転がっていた。

死体の後を辿るように城の中を進む。

周囲では戦闘があちらこちらで行われている。

(こんな城の中まで・・・)

中庭で激しい戦闘が行われているのが見えた。

その場にたどり着くと異様な気配を纏った魔族がいた。

漆黒の鎧に包まれた敵からは壮大な魔力が漏れ出ている。

「高位魔族ですね。でてきてどうするんですか?戦う気ですか?」

「襲われてる。助けないと」

思わず飛び出してしまった。

急ぎ駆け寄り敵の攻撃を防ぐ。

ー反発ー

魔法に剣を弾き返えし、その隙をフェイが攻撃する。

フェイの渾身の蹴りを盾で受け止めるが魔族の男は吹き飛ばされ距離が出来る。


「古の炎よ、悪しき者を滅する灰燼の刃と成れ、イグニートプリズン」

マナの放った炎の檻が敵を燃やす。


「大丈夫ですか?」

見るとそこには2人の少女と男性、そして、彼らを守る騎士がいた。

周囲に何十人もの死体と共に。

「おお、助かった。礼を言うぞ。私は騎士団長、グレンだ。よくぞ、王の危機を救ってくれた」

(王だって?ユキナのお父さん?)

確かに男は王冠を冠っていた。

少女達もユキナにどこか似ている。

「敵はまだ倒せてません。早く避難を」

「かたじけない」

王が答える。

マナの炎が勢いを増す。

そこに火薬玉を投げつけると、激しい爆発が起こる。

縮小していく炎の中に立つ人影が見える。

ー炎転氷化ー

炎が凍り付く。

「今のうちに。あ、大精霊はどこに?」

「大精霊?大精霊の精霊石は城の上の・・・」

氷が砕け散る。

(もうかよ!?くそ・・・)

「早く逃げて」

剣を構える。

敵の威圧感に気圧され、後ろへ下がる。


「「邪魔をしなければ楽に死なせたものを。」」

王達が去る。

もう大丈夫か。

「おい、目的は大精霊か?」

魔物の動きが止まる。

「「加護無しか?代替わりでもしたのか?まあいい。そうだ、邪魔をしなければ見逃してやる。道をあけろ」」

「こっちも精霊には用があるんだ。魔王に諦めるように相談してくれないか?」

「「死にたいようだな」」


勝ち目があるようには見えない。

隙を見て逃げるしかない。


敵にフェイが背後から連撃を叩き込む。

だが、その攻撃を難なく敵もいなして反撃する。

強烈な斬撃を紙一重で避けるが衝撃波をもろにくらいフェイが壁まで吹き飛ばされる。

「シン、少し時間を稼いでください」

黙って頷き、敵へと向かう。

振りかざした一刀を盾で防がれる。

敵が剣を構えると激しい魔力を纏った刀剣が襲いかかってくる。

身体能力強化の魔法ー白火ーを使い、その攻撃を紙一重で捌けるが、攻撃は止まず嵐のように刃が迫る。

頬や腕を軽く斬られたが、うまく攻撃をいなし、致命傷を避けた。

斬られた傷が癒えていく。

ー白火ーは強化の他に回復の効果も持っている。

だが、魔力の消耗が激しく長時間使えない。


「「ほう、なかなかいい腕をしているな」」

だが、これが限界だ。

魔法で身体能力を限界までブーストして避けるのが限界。

敵が迫る。

その一撃を避け、反撃を繰り出す。

師から教わった剣技の一つー影刃ー

振りかざした剣の後を追うように魔力の刃が敵を襲う。

その一撃が兜に叩き込まれ亀裂を入れる。


「「ほう、私に一撃を入れるか・・・・」」

威圧感が増す。

(やばい・・・)

思わず距離を取る。


「待たせました」

マナから強力な魔力が発せられる。

「清涼なる水の流れを司るものよ。我、汝との盟約により今、願い求める。出よ、ウンディーーーーネーーー」


激しい水流が辺りを取り囲む。

その中から現れたウンディーネが三つ又の槍を振りかざすと水流が激しさを増し敵に襲いかかる。

その水圧に呑みこまれ敵は激しく吹き飛ばされる。

そして、全ての水がウンディーネの槍へと集まってゆく。

ウンディーネが槍を投射する。

その攻撃を全力で斬り払おうとするも剣と槍がぶつかると激しい水流が解き放たれ弾け、更に弾けた水流が敵を穿つ。


中庭と城の一部が吹き飛んでいる。

(これが、大精霊の力か)

今までみた魔法の中でも一番強力に思える。

「やりましたかね・・・?」

マナが杖で体を支えている。

「大丈夫?」

「ええ、少し魔力の消耗が激しすぎますね・・・」


「「効いたぞ」」

油断していると衝撃波が迫る。

「てーーい」

衝撃波をフェイの一撃が砕き防ぐ。

「だいじょうぶ?」

「フェイ、ありがとう」

見るとフェイの足から血が流れ、その膝が地面についている。


「「ウンディーネを奪ったのは貴様等か。ちょうどいい。ここで貰っていくぞ」」

その鎧は半壊し、全身から血が溢れている。

しかし、その威圧感は失われていない。


「フェイ、マナ」

二人に合図をする。

敵に向かい距離を詰めると、答えるかのように相手も前進してくる。

「くらえ!!」

ー閃光ー

そのままだ。

強烈な明かり。

目くらましだ。

その光に照らされ視界を奪われた相手は一度距離を取る。


視力が戻り、辺りを見渡すと誰もいなかった。


「「逃げたのか?」」



お読み頂き誠にありがとうございます。

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