序章 迷子1
(状況を整理しよう。)
今この部屋には自分、野神 信、21歳。
他に高校生くらいの男女がそれぞれ2名ずつ。
今、もの凄く世の中の理不尽を感じてる。
4人ともイケメン、美女だ。
お世辞じゃなく学校に居れば男女それぞれから憧れられるタイプだ。
そして、自分は普通だ。別に不細工じゃないよ。太ってもないし。
彼女、婚約者も居るし。来月結婚して立派な社畜として新たな人生の一ページが始まる予定だ。
ただ、この4人に並べられると少し泣きたくなる。
昔、居酒屋のバイトを始めた時、同期がイケメン過ぎて自分には女の同僚達が全く話しかけてこなかったのを思い出す。
まあ、代わりに男のセンパイ達はすごく良くしてくれたけど。
そして、現代ではお目にかかれないであろうあろうメイドとしか言いようのないメイドさん。
メイド喫茶なんかの偽物とは品格が違う。立ち住まいから違う。なんというか品がある。
そして、この部屋のドアの前には警備の兵士さんが一人。
「異世界ね。。。」
始まりはこうだ。
気がつくとそこは見たこともない部屋だった。
自分と高校生達を囲むように司祭のような格好をした人達が8人とそれを囲むように兵士達。
何人か着飾った貴族のような人達もいる。
戸惑っているとそのうちの一人の司祭が話始めた。
「ようこそゲシュラントへ。女神に選ばれし4人の勇者様。」
「・・・・・。」
これはだれが突っ込んでくれるんだろう。今、はっきり4人と聞こえたけど。
確かに4人いますね。男女の高校生4人。
と微妙に離れた場所に自分が。
「・・・・・5人、いますね・・・・。」
振り向くとそこには他の人よりも着飾った、それでいて品が悪くない女性が居た。
事態を把握し回りの人達が囁き合う。
「女神からの神託では勇者は4人だったはずでは?」
どうやらこの5人の中に一人だけイレギュラーがいるらしい。どう考えても自分だろう。確信がある。
どうやら高校生達は友達同士っぽい。みんな距離が近いし、女の子同士は手をつないで心配し合っているし。
「女神?じゃあ、さっきのあれも夢じゃなかったのか?」
4人のうちの一人、短髪のイケメンがつぶやく。
女神?自分は会ってないんだけど・・・
「じゃあ、やっぱりここは異世界?私達が勇者ってこと?世界を救わないといけないわけ?」
なんか概要把握してらっしゃるっぽい。どうしよう。。。。