医務室にて
起きた二人は情報を擦り合わせる
「防御も前提崩しも出来ないとか反則にも程があんだろ」
「情報制御って…あんなこと出来たかしら?」
「手札を隠してるって事だろどうせ」
「本番はアタラクシア大会なんだから全力でやる奴は居ないとでも言いたいのかしら」
「少なくとも俺は全力だったよ」
「私じゃ力不足見たいね」
「だからと言って新しい奴を召喚したりはしないぜ…それじゃ余りに不誠実だ…現状の手札で新しい手札を創ろうぜ」
「まずはあの情報の奔流をどうにかする方法を考えた方が良いわよね…あの中に居たんじゃ何をされるか解ったもんじゃないし」
「情報のハッキングは出来るよな?」
「瞬間出力では彼方側が上よ…出来る事を絞る事で出力を上げてるって考えるべきね」
「え…出来る事が多いと出力下がるのか…」
「容量が変わる訳じゃないから要は使える燃料が割り振られる結果威力が落ちるの」
「一つの能力しか一回では使わないんだから別に問題ないと思うんだが」
「…即席の技しか使わないならそれでも良いけど何回も使う力を使う場合は回路を用意しておいた方が熟練度的な意味や発動迄の時間短縮的な意味でで威力が上がるのよ…その回路は一つか二つが最善でそれ以上回路を付け足すと回路がお互いを阻害して効率が悪くなるって訳」
「大抵の奴が強い奴の力の真似をしないのはそれが理由か」
「そう…普通なら回路の消去なんて出来ないし相手側の力の真似をしたって大抵の場合は劣化コピーになるのよ…だから皆やらないの…まあ最初から真似をする奴が居ない訳ではないけど…そう言う奴は大抵の場合…雑魚ね何故なら自分で考えられた訳じゃないから額面通りの真似が全て破られた時に何も出来なくなる可能性が高いから…その点では力の考案者はもしそうなっても力を考える力は有るから即席で新しい使い方を思い付く事だって不可能では無いはずよ…追い詰められたらパワーアップは王道よね」
「只の真似では追い詰められた時の…力の運用方法で絶対的な差が出来るって事か…」
「そう言うこと」
「話を戻すぞ…情報のハッキングは出来るんだから情報の奔流にハッキングして奔流を消去してみてはどうか」
「回路とか熟練度とか的な意味で威力が違いすぎて今すぐには無理…試したけど普通に防がれてた」
「…そうだったな…じゃあどうすんだよ…熟練度を引き合いに出されて無理だって成るならどんな力を新しく出しても無理じゃねーか」
「貴方の回路は今は一つしか無い…なら後一つは回路の補正を受けれる…後一つの能力を考えてみるべき…私はそれを貴方に与える事が出来る」
「成るほど…じゃあ何にしようか」
「情報系は既に持ってるから避けるべき」
「情報系は強いのばっかだけど確かに流石に一つで十分か…シンプルに打ち消し系とか?」
「最初の内は大質量の相手には一面を守る盾程度にしか役に立ちませんよ?…全方向から来る攻撃を防がなきゃだから別の奴を推奨します」
「拒絶系?」
「最初は攻撃が出来ませんしあの力には防御も貫通されていたのであまりお勧めしません」
「取り除くとかは?」
「悪くは有りませんが出力が足りません」
「そう言うことなら候補に残しとこう…じゃあ次…奪う系は?」
「力を奪うだけでは回路と熟練度が無いので劣化コピーにしか成りません…小説等で使われてる奴は大抵の場合は体の部品を奪う訳では無いので…もしそれをしてるなら激痛に苛まれるべきです…体が組変わるので…奪うってだけだから何もそれについては補正は無いのに無痛の体の仕組み変換って馬鹿じゃね?って話ですよ…頭に情報が一気に大量に流れ込んだら動けなく成るのに能力って情報はそれに匹敵するはずなのに普通に使える…まあだから回路とかは使わずエネルギーを奪ってそれをコピーして量産してるんだと思いますがその場合は回路が無いので劣化コピーにしか成りませんしかも力を奪うと相手の力が使えなくなるってのは自分の中でエネルギーを錬成出来る類いの奴には意味がありません…つまりエネルギー生成まで能力頼りにしてる場合で無ければ能力が奪われたら使えなくなるとか有り得ないんですね」
「おっおう…じゃあラーニング系は?」
「劣化コピーしか使えないで良いなら良いんじゃ無いですか?回路が増えまくるので一定以上の回路が体の中に入ると回路のお互いがお互いを阻害してまともに力が働かなく成りますけど」
「小説とかでは普通に使えてるけど」
「体が無限膨脹するならともかく…回路を張り巡らせる容量が物理的に足りないですよ…似た力だけで数を揃えるならともかく全く違う力ばかりを揃えたら同じ回路を使うとか無理ですので…体の外に外付け端末を用意してそれに能力の回路を入れておくなら話は別ですが」
「再びだがおっおう」
「更に追加で言いますが稀に全知全能とかやる奴も居ますけど人間の頭では一つの能力が何か理由が無い限り限界なんですね…なのにやれてる奴は何らかのブレイクスルーを起こしたことになりますがなにもしてない初心者が出来る類いの物では無いことは確かです…回路が互いを阻害はしないだろって?使う時には阻害しますよ…例えばコンセントが刺さればまくってさらにごちゃ混ぜに成ってたら漏電するのと同じですよ…だから手当たり次第に能力を取れば最強とは成らず漏電する量が増えて逆に弱体化するんですね…だから実際沢山の力を掴めるとしても出来る限り少ない力で沢山の力を使うのがベストです自分の力だけで説明出来る力に限りますけどね根本を増やしたら普通は漏電するので…うちの能力なら漏電しないもん?しないとしても管理が大変になってプレイヤースキルが滅茶苦茶求められますよね…場合によっては条件反射レベルで戦わなきゃ成らない時に沢山有る力から選ぶなんてしてられるか…そう言う時は結局は一番使ってる力が出るんだよ…長く失礼しました」
「……なんと言うかその…凄いな…選ぶ力なんにしよっか」
「…テンプレートな力には実際大抵の場合問題点が有るんですよね…超能力として使う場合は演算能力が求められる場合も有りますし……だから超能力では万能は目指さない方が無難です…普通なら頭が持ちませんし」
「だからなんにしよっか」
「私のお奨めは受けたダメージを無かったことに出来る力の類いでしょうか」
「それこそテンプレートだぞ…」
「いえダメージを取り除くって感じでやるので違いますね」
「決定…ダメージを取り除くで」
「それじゃ力の範囲が狭すぎます…ダメージを何かに例えましょう」
「負担とか負債とか負荷とか?」
「負債はともかく負担と負荷を取り除く…もういっそ零化する力ってのはどうでしょうか」
「良いなそれ…体のダメージを気にしない無茶苦茶な動きが出来るし大コスト魔術が撃ち放題だ」
「ダメージを負荷や負担と定義すればダメージからの回復も可能です…広い範囲に先に使っておけば情報の奔流にも僅かにでも抗えるはずです」
「よし…それでいこう」
「話は終わりましたか?」
医師が話し掛けてきた
「ああすみません」
「それだけ元気ならもう大丈夫ですね…出てった出てった」
「失礼します」
「お騒がせしてすみませんでした」
二人は医務室を後にして人気の無い場所へ能力を掴みに行くのだった
…アーガスが暴走しておりますが気にしないでください…
次回は敗者復活戦の話です